小惑星帯にある金属質小惑星プシケを探査するアメリカの小惑星探査計画。2023年打ち上げ予定。

2023年、編集長より新年のごあいさつ

皆様、新年あけましておめでとうございます。 旧年中は月探査情報ステーションをご愛顧いただきまして、本当にありがとうございました。 * * * 2022年は、世界と日本の月探査が再び動き出した年として、後世に記憶されることでしょう。 その象徴は、なんといっても「アルテミス計画」第1弾となる「アルテミス1」ではないでしょうか。 アルテミス1は、昨年3月にお披露目が行われ、そのときには6月にも打ち上げか、との情報が流れていました。 しかし、4月に行われた最終点検(最終リハーサル)ではトラブルが相次ぎ、打ち上げは8月末へと延期。しかしその打ち上げも度重なるロケットのトラブルでの延期を余儀なくされました。さらに9月末に延期された打ち上げにハリケーンが直撃、最終的に11月半ばの打ち上げとなりました。 しかし、アルテミス1…打ち上げロケットとなるSLSと、月へ向かうオライオン宇宙船…は共に打ち上げ後はパーフェクトな動作を行いました。最終的に無事帰還し、計画は成功裏に終了しました。延期など、ロケットの信頼性にはまだまだ課題があるとはいえ、2025年にも予定されている人類の月面着陸に大きく前進したことは間違いありません。 一方、12月には世界初の純民間企業による月探査機の打ち上げが行われました。そしてそれは日本の企業でした。アイスペースによるハクトR(HAKUTO-R)1号機の打ち上げです。こちらも打ち上げは成功し、現在(12月末)月に向けて順調な飛行を続けています。今年4月末にも月面に着陸する予定です。 民間企業による本格的な月探査、あるいは月輸送への進出、またそれが日本企業によリ世界ではじめて達成されたことは大きな意義があるでしょう。日本における宇宙開発、特に宇宙ベンチャー企業による宇宙開発が活発になり、それが低迷気味の日本経済を引っ張るきっかけになれば、これ以上うれしいことはありません。 [...]

By |2023-07-10T10:01:12+09:002023年1月1日|アルテミス計画, エクソマーズ, オサイレス・レックス, サイキ, ジュース, ハクト, 月探査情報ステーション|2023年、編集長より新年のごあいさつ はコメントを受け付けていません

NASA、小惑星探査「サイキ」ミッションの2022年打ち上げを断念

NASAは6月25日、今年(2022年8月)に打ち上げられる予定であった小惑星探査ミッション「サイキ」の打ち上げを延期し、2022年中には打ち上げないと発表しました。なお、延期されたあとの具体的な打ち上げ日程は発表されていません。NASAは探査機飛行用ソフトウェア納入の遅れなどが原因としています。 探査目標である小惑星プシケに近づく探査機「サイキ」の想像図Photo: Maxar/ASU/Peter Rubin サイキは、火星と木星の間の小惑星帯にある金属質の小惑星「プシケ」を探査するミッションです。これまで世界中でいくつかの小惑星ミッションが実施されましたが、金属質の小惑星を探査するのは史上初となります。そのため、科学的な面、また小惑星の資源開発という面などから、ミッション成果に期待が集まっていました。 サイキの打ち上げは2022年8月に予定されていましたが、直前になって中止ということになってしまいました。 NASAは原因として、探査機が飛行するために使用するソフトウェア、及び試験装置の納入が遅れているためと説明しています。なお、遅延の理由など詳細についてはプレスリリースでは伝えられていません。打ち上げ可能期間は今年の10月11日までとなっていますが、NASAは、この納入遅延によって、その期間中に必要な試験を完了できないとして、今年中の打ち上げ断念を決定したものです。 今回の「飛行ソフトウェア」は、誘導ナビゲーションのソフトウェアのようです。これは、探査機がプシケへの飛行中、目的地へと正しく導けるようにするためのもので、重要というよりもまさに探査機の根幹をなす不可欠なソフトウェアといえるでしょう。 [...]

By |2023-07-10T10:01:14+09:002022年7月6日|サイキ|NASA、小惑星探査「サイキ」ミッションの2022年打ち上げを断念 はコメントを受け付けていません

【一部記述修正】NASA、新しい2つの小惑星探査計画を将来探査として選定

NASAは5日、低予算の月・惑星探査ミッションプログラム「ディスカバリー計画」において、新たに2つの小惑星探査計画を将来的な打ち上げ候補として選定したと発表しました。小惑星探査計画が2つ同時にディスカバリー計画として選定されるというのははじめてのことです。 今回選定されたミッションは、トロヤ群と呼ばれる小惑星を探査する「ルーシー」(Lucy)と、金属質の小惑星を探査する「サイキ」(Psyche)の2つです。 https://www.youtube.com/watch?v=nYdCU1QQQro ディスカバリー計画は、NASAが進める低コストでの月・惑星探査です。かつての大型ミッションが多額の予算を使いすぎ、ミッションの進捗が遅くなってしまうなど、動きが鈍くなったことを反省し、科学者が自分の目標とするものを探査することを念頭に、小型で低予算、かつ打ち上げまでの期間を早くできるようなミッションを実現することを目標としています。その代わり、ミッション実現に際してはNASAの審査を経る必要があります。 過去には、火星への着陸、そして超小型ローバーが活躍した「マーズ・パスファインダー」や、世界初の水星周回を実施した「メッセンジャー」、月の重力探査を行った「グレイル」などがディスカバリー計画のプログラムとして承認され、実施されました。 今回の選定には、5つのミッションが残っていました。上記2つに加え、 DAVINCI(ダビンチ)…金星の大気を降下する探査機によって金星の大気を調べるミッション VERITAS(ベリタス)…金星を周回しながら金星(大気に覆われているため直接地表を観測できません)の高精度マッピングを実施するミッション NEOCam(ネオカム)…地球近傍小惑星のうち、地球に潜在的に衝突する危険がある小惑星(PHA: 潜在危険小惑星)のうち、未発見のものを発見することを目的とした宇宙赤外線望遠鏡 [...]

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