月探査情報ステーションとは

月探査情報ステーションは、月・惑星探査の情報を中心として、月の科学、さらには月や月・惑星探査にまつわる様々な情報を皆様にお届けする、「月・惑星探査のポータルサイト」です。

このサイトでは、月を中心として、「科学」という視点を中心に取り上げ、月についてどのようなことがわかり、どのようなことがわかっていないのかを解説しています。

そして、まだわからないことを調べようとする「探査」(ミッション)について、最新情報をいち早くお知らせするほか、その背後にある科学などについて、わかりやすく解説しています。

月について、私たちはどの程度のことを知っているのでしょうか? ここでは、月の不思議や謎、解明された事実などをまとめました。科学だけではなく、雑学などの広い話題も網羅しています。

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月は、見て楽しむものでもあります。このカテゴリーには、いろいろな楽しみ方ができるよう、クイズや参加型プロジェクト、ギャラリーなどを取り揃えてあります。

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人間は月に降り立ち、惑星へ探査機を飛ばしてきました。そのチャレンジは今も続いています。ここでは、そういった私たちの外の世界への挑戦をご紹介します。

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お知らせ

3009, 2017

オサイレス・レックス(オシリス・レックス)が地球スイングバイ時に撮影した地球や月の写真が公開

これまで地球スイングバイした小惑星サンプルリターン探査機は…といっても、「はやぶさ」と「はやぶさ2」ですが…全て地球の写真を撮影してきました。その例にならってなのか、22日(日本時間23日)に地球スイングバイを実施したアメリカの小惑星探査機「オサイレス・レックス(オシリス・レックス)」も、地球の美しい写真を撮影しました。

この美しい地球の写真は、地球スイングバイでの地球最接近から約1時間後に撮影されたもので、ちょうど太平洋が全面に写っている形になっています。そのため、陸地があまりみえませんが、左下にはオーストラリア大陸、写真の上の方には北アメリカ大陸(右側はメキシコ付近、左側はアラスカ付近)が写っています。地球からの距離は約17万キロメートルです。

また、白黒ですが、より近いところから地球を撮影した写真も公開されています。

撮影距離は地球から約11万キロです。この写真では地球の北極が上になるように修正を施しています。白黒なので若干みえにくいですが、中央やや右上のところに、北アメリカ大陸(カリフォルニア半島)が写っているのがわかります。
また、写真右端のところには、大西洋上の2つの渦…ハリケーン「マリア」(南側=下側)と「ホセ」(北側=上側)が写っています。

惑星探査機は遠くを飛んでいますので、地球と月を同時に収めることもできます。オサイレス・レックスもそのような写真を撮っています。

写真右下が月、左上が地球です。地球と月の距離はかなり離れていて約40万1200キロ、写真撮影時の地球との距離は約129万7000キロメートルとなっています。

このような写真を撮るのは、「美しい地球の姿を収める」ということもありますが、それ以上に重要な目的があります。探査機のカメラの試験です。
探査機のカメラが打ち上げ後正常に動作するかを確かめるため、よくわかっている被写体である地球や月を撮影することで、確認を取るのです。特に「スペクトル」と呼ばれる光の波長を分けて観測する場合、正しく光を分けられているかどうかなどは、地球を撮影することで非常によくわかります。
そのような意味で、美しい地球や月の写真が得られるのは、いってみれば探査の「おすそ分け」なのですが、それでもそのような写真を得られるということは大変貴重なことです。

地球をスイングバイし、加速したオサイレス・レックス探査機は、来年10月ころには目的地の小惑星ベンヌに到着する予定です。「はやぶさ2」に続き、小惑星での探査を繰り広げるオサイレス・レックス。どのような展開が起きるか、これから楽しみでもあります。

カラーの地球写真 (オサイレス・レックス探査チームのサイト) 
http://www.asteroidmission.org/?latest-news=osiris-rex-views-earth-flyby
モノクロの地球、地球と月の写真 (オサイレス・レックス探査チームのサイト) 
http://www.asteroidmission.org/?latest-news=nasas-osiris-rex-snaps-pictures-earth-moon
「はやぶさ2」の地球スイングバイ時の写真 (はやぶさ2プロジェクトサイト)
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151224_04/
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151224_03/
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151214/
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151203/
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151201_02/
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151127_02/
「はやぶさ」地球スイングバイ時の地球や月の画像 (宇宙科学研究所)
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/0518.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/0519_gif.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/0520_3.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/0520_2.shtml
オサイレス・レックス (月探査情報ステーション)

オサイレス・レックス (オシリス・レックス) – OSIRIS-REx

3009, 2017

編集長が翻訳記事を執筆した物理科学雑誌『パリティ』が発売されました

編集長(寺薗)が翻訳記事「惑星ハンターが見つけた奇妙な星」を担当した、丸善出版の物理科学雑誌『パリティ』2017年10月号が本日(29日)に発売されました。
この記事では、恒星KIC 8462852、あるいは「ボヤジアンの星」とも呼ばれる、現代天文学において最も奇妙で謎の多い天体についての情報を平易に解説しています。
皆様ぜひお手にとってお読みください。

パリティ
http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/magazine/pub-zassi-j.html
パリティの購入 (Amazon.co.jp)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0742YTPXP/fujishobo-22/

2809, 2017

中国、2030年までに火星サンプルリターン探査を計画か

ここのところ中国の火星探査に関する情報が相次いで流れてきています。
中国の火星探査についても相変わらず情報が少ないですが、少なくとも中国が2020年(頃)に火星へ探査機を打ち上げることはほぼ間違いなさそうです。
さらに、2030年までに、火星からサンプルを持ち帰る(サンプルリターン)探査を実施するという情報が入ってきました。中国の英字紙チャイナ・デイリーが報道しています。

この発言をしたのは、ミッションのチーフデザイナーを務めるZhang Rongqiao氏(中国語読みは不明)です。
彼によると、2020年(?)の火星探査は、周回機・着陸機・ローバーからなるもので、これは以前からお伝えしていた通りです。この2020年の火星探査機には13の科学機器が搭載されるとのことで、そのうち7つが周回機に、6つがローバーに搭載されます。
問題は、このローバーが、2025〜2030年にかけて実施される火星サンプルリターン探査で使われる(であろう)機器のテストを行う、ということです。これは、このローバーの目的が火星着陸だけでなく、次のステップも見据えた探査であることを意味しています。

Zhang氏は、「現在科学者は火星から送られてくるであろうデータについての基礎的な研究を行っている。したがって、(探査機到着後)我々は早いうちにその解析についての速報を出せるだろう。探査全体は非常にスムーズに進行しており、予定通りである。」と述べており、2020年打ち上げへの自信をみせています。

さらに、同じ記事の中に驚くべき記述がありました。中国は2036年に木星へ、2046年には天王星への探査機を送るという計画を持っているとのことです。木星へはすでにいくつかの探査機が探査を実施していますが、天王星は過去、ボイジャー探査機が通過しながら(フライバイ)探査を実施しただけで、これまで人類が天王星をじっくり探査したことはありません。もし実現すれば史上初となりますが、記事でたった1行書かれているだけですので、詳細は不明です。

いずれにせよ、まずは2020年の中国の火星探査計画がどのように進んでいるのか、みていく必要がありそうです。

チャイナ・デイリー紙の記事 
http://usa.chinadaily.com.cn/china/2017-09/20/content_32245077.htm

2209, 2017

中国、火星探査プロジェクトを2020年から開始、多数の探査機を投入

中国が火星探査に乗り出すという話はこのブログでもこれまで何回かお伝えしておりますが(記事1、記事2、記事3)、その詳細が少しずつ明らかになってきました。しかも、思ったよりもかなり大規模なものになるようです。

新華社が伝えた記事を人民網日本語版が伝えた記事によりますと、今回第3回北京月・深宇宙探査国際フォーラムにおいて、中国科学院重大科学技術任務局の徐帆江副局長がその進行状況と現在検討されている探査内容を明らかにしました。

それによりますと、中国の火星探査は2020年からスタートするとのことで(これは既報の通りです)、それに向けて着実に準備が進められているとのことです。そして「火星の宇宙環境、形状的特徴、表層構造、大気環境などの重要データ」を取得する(張栄橋チーフデザイナー)とのことです。
もともと中国の火星探査は、最初から周回・着陸・ローバー探査の3つをいっぺんに行うという非常に意欲的なもので、周回衛星で火星の全休の様子を明らかにし、着陸機およびローバーで地表や大気の様子を明らかにするということが考えられます。いってみれば中国が一気に他の「火星探査先進国」に追いつく、あるいはライバルのインドについていえば「(アジア初の)周回衛星投入の座は逃したが、(アジア初の)火星軟着陸はうちがやる」ということを示したいのでしょう。

さらに驚くべきことに、この火星探査プロジェクトには、探査機7機、着陸機6機が投入されるということです。これらを一気に2020年に打ち上げるということは考えにくいですが、2020年以降、約2年毎に到来する火星探査の好機に各1機、あるいは2機ずつ打ち上げる可能性はあります。
これが本当だとすれば、中国が本当に一気に火星探査で他国を追い抜こうとしているといえなくもありません。

2020年は火星探査機の打ち上げラッシュになりそうです。アメリカの「マーズ2020」、日本のH-IIAロケットで打ち上げ予定のアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「アル・アマル」、ヨーロッパとロシア共同の「エクソマーズ」第2次探査(ローバー)の打ち上げがすでに2020年に決定していますが、ここに中国の火星探査も入りそうです。

今回の火星探査プロジェクトは、おそらくは月面探査計画「嫦娥計画」に続く、中国の大規模火星探査プロジェクトになる可能性があります。どのような探査をいつ行うのか、今後も詳細な情報が入り次第、お伝えします。

人民網日本語版の記事
http://j.people.com.cn/n3/2017/0921/c95952-9272010.html
これからの火星探査 (月探査情報ステーション)

これからの火星探査

2209, 2017

オサイレス・レックス(オシリス・レックス)地球スイングバイ、アマチュア天文家・一般の方向けのキャンペーン

アメリカの小惑星探査機、オサイレス・レックス(オシリス・レックス)が、9月23日未明(日本時間)に地球に最接近します(地球スイングバイ)。これに合わせて、オサイレス・レックスのチームでは観測キャンペーンと共に、一般向けに「オサイレス・レックスに手を振ろう」というキャンペーンを呼びかけています。
ぜひ、小惑星探査機を応援してみてはいかがでしょうか。

■アマチュア天文家の皆様へ…観測キャンペーンご協力のお願い
オサイレス・レックスを捉えることは、探査機の正確な軌道決定につながるだけでなく、今後増えると思われる月・惑星探査機の地上からの観測という意味でもよい機会となるかと思います。できるだけ多くの観測事例を集めることがこれらの目的に役立ちます。特に、観測は天候の影響を大きく受けやすいため、できるだけ広い地域で観測を実施していただくことが重要かと思われます。
観測に必要な情報は、日本惑星協会のキャンペーンページにあります。

小惑星探査機 OSIRIS-REx 地球スイングバイ観測キャンペーン (日本惑星協会)
http://www.planetary.jp/OSIRIS-REx/index.html
OSIRIS-REx スイングバイ観測情報 (倉敷科学センター・三島和久氏提供 日本惑星協会)
http://www.planetary.jp/OSIRIS-REx/notes.html

観測の好機は、9月22日(本日)午後10時〜11時とみられています。望遠鏡をお持ちで、かつお時間がある方は、ぜひ観測にチャレンジしてください。
三島さんの情報をまとめますと、みえる方向は南東〜南南東、夜空を0.1度/時程度の速度で動きます。等級は14〜15度程度と予想されますが、太陽光パネルに光が当たるなど、好条件が重なれば、より明るくみえる可能性もあります。
上記のページをお読みになり、ぜひ観測にチャレンジしてみてください。

■一般の皆様へ…「オサイレス・レックスに手を振ろう」キャンペーン
こちらはどなたでもご参加可能なキャンペーンです。地球のそばを飛び去っていくオサイレス・レックスに向けて手を振り、その写真をソーシャルネットワークに投稿する、というものです。

方法は以下の通りです。なお、ツイッターまたはインスタグラムのアカウントを事前に登録しておくことが必要です。

空を向けて手を振っている写真を撮影してください。もちろん、みなさまのアイディア次第でいくらでも面白い写真が撮影できると思います。アイディアと工夫をお願いいたします。
なお、撮影時間は、オサイレス・レックスが接近する今夜〜明日未明がいいとは思いますが、いつ撮影しても構いませんので、撮影がしやすい昼間、という手もあります。
こだわりたい方は、オサイレス・レックスが接近する南側(南南東〜南東)を向くとよいでしょう。
文章が必ずしも英語である必要はありません。
ツイッター及びインスタグラムへ投稿の際に、ハッシュタグ「#HelloOSIRISREx」をつけてください。(もちろん、カギカッコ「」は不要です)
ミッションチームのアカウントを投稿に含めてください。先頭にアカウントを持ってくる「メンション」の形ではなく、投稿に含まれていれば大丈夫です。

ツイッターであれば @OSIRISREx
インスタグラムであれば @OSIRIS_REx

さらに、以下にあるイラストも投稿に含めると完璧です!

すでに多くの投稿が行われていますので、これらを参考にしてもいいですし、自分の投稿がその中にあるということを確認するのも楽しいでしょう。

「#HelloOSIRISREx」で検索したツイッター投稿一覧
https://twitter.com/search?q=%23HelloOSIRISREx&src=tyah

皆様からのすてきなメッセージをお待ちしています。

ミッションチームからの投稿要領 

<投稿に含めたい写真>

オサイレス・レックス(オシリス・レックス) (月探査情報ステーション)

オサイレス・レックス (オシリス・レックス) – OSIRIS-REx

2009, 2017

土星探査機カッシーニ、探査を終了

打ち上げから20年、土星到達から13年にわたって活躍してきた土星探査機カッシーニが、ついに最後を迎えました。
NASAは15日(アメリカ東部夏時間)、土星探査機カッシーニが土星大気に突入し、探査を終了したと発表しました。

カッシーニが土星大気に突入し、ミッションを終了した瞬間の管制室(アメリカ・カリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所(JPL)内)。カッシーニからの信号(信号画面で飛び出ていた部分)が消失したことを運用担当者がミッションマネージャーに報告したあと、ミッションマネージャーが探査終了を宣言、チームの努力をたたえ、すばらしいミッションを達成できた旨声をかけた。(Video: NASA/JPL)

 

「偉大なるミッションの最後の章の終わりでもあり、また新たなる始まりでもある。カッシーニが発見したタイタンやエンケラドゥスの海の存在は、すべてを変えた。私たちのこれまでの常識を根底から揺さぶるものであり、私たちがこれから、生命の存在を探検しに行くべき場所であることを示してくれた。」(NASA科学ミッション部門副部門長のトマス・ザーブチェン氏)

カッシーニは、最後まで予定通り、きっかりと、その任務を果たしました。信号は当初の予定通り15日の午前7時55分(アメリカ東部夏時間。日本時間では午後8時55分)に消失しました。最後まで信号を受信していたのは、NASAの深宇宙通信網(DSN)のオーストラリア・キャンベラ通信局でした。
カッシーニは土星大気に突入しながらも、その大気の様子を調査、最後まで信号を地球に送り続けていました。
これから数週間にわたって、ミッションチームではこの最後の信号の分析を行い、土星の形成と進化に関わるようなデータが含まれていないかどうか、また大気がどのような成分になっているのかについて調べていく予定です。

JPLのマイケル・ワトキンス所長は次のように述べています。
「ミッションの終わりというのは甘酸っぱい感情がこみ上げてくるものだが、一方で私たちはその終わりに対して、愛を込めたさよならを送りたい。それは、私たちに信じられないほど大量の発見という業績を残し、私たちの土星、そして太陽系に対する見方を完全に変えた、カッシーニに対してである。私たちはこれからも、この天体にアプローチし、探査を続けていくことだろう。」

カッシーニは今年4月から、最後のミッションとなる「グランドフィナーレ」を実施していました。このミッションは、探査機に土星本体と輪の間の狭い領域を通過させ、輪や土星大気などについて調べるというミッションでした。合計22回にわたって探査機は土星の輪と本体の間を通過し、これまで得られることがなかった様々な写真、科学データを取得しました。もちろん、本格的な解析はこれからです。

「カッシーニの運用チームは、その偉大なる最後まで探査機を制御・運用し続けるという、極めて優れた仕事を成し遂げた。私たちがこの軌道を7年前に考え、ハラハラドキドキの展開を呼ぶ、22回にわたる土星の輪と本体の間の狭い空間のくぐり抜けという探査を実施できたのは、まさしく名うての狙撃手とでもいうべき、科学者と技術者のグループの存在があってこそだった。彼らこそが、偉大なるミッションにふさわしい最後を探査機に迎えさせたのだ。何という終わり方だろう。まさにカッシーニは、偉大なる栄光と共に、その探査を終えたのだ。」
カッシーニのミッションマネージャー、アール・メイズ氏は、やや感極まった様子でこう語り、ミッションチーム、とりわけ最後の「グランドフィナーレ」を支えた運用チームを讃えました。

「カッシーニ探査機が消滅したいま、私を含めた探査チームのメンバーがこれまでと同じような日々を送る、ということはもうないだろう。しかし、私たちが土星を見上げるとき、そこにその一部となったカッシーニがいる、そのことに私たちは安らぎを得ることだろう。」
長年カッシーニ探査に関わってきたJPLのプロジェクト科学者、リンダ・スピルカー氏は、カッシーニがいなくなったことの寂しさをこう表現しています。

カッシーニは、1997年10月に打ち上げられ、2004年6月に土星に到着しました。
2005年1月には、一緒に打ち上げられた突入機「ホイヘンス」が史上はじめてタイタンの大気へ突入、着陸に成功し、写真を送ってきました。赤茶けた写真が物語るタイタンの表面は、炭化水素(要は石油)で覆われ、メタンやエタンからなる海と陸とを持つ、一見地球のようではあるが極めて不思議な世界でした。
そしてカッシーニは小さな衛星エンケラドゥスで水の噴出を発見、後にそれは地下の海からの噴出であることがわかります。地球外で液体の水の海を持つことが確認された天体は木星のエウロパに続いて2例目となり、このような氷衛星が生命を宿す可能性を私たちに示しました。
その他にも、新たな衛星の発見、土星の輪の詳細な観測、土星大気の詳細の観測、土星の極地域の渦模様の観測、土星の数多くの衛星へ接近しての詳細観測など、カッシーニはこの13年間、働きに働いたといってよいでしょう。
そして、燃料が残り少なくなり、制御不能となってしまうこと、特に生命の可能性が取り沙汰されるエンケラドゥスに悪影響を与える(カッシーニは猛毒の放射性元素、プルトニウムを使用した原子力電池を搭載しています)可能性を考え、土星大気に突入させて消滅させる、という最後を迎えることになりました。

カッシーニはこうして土星大気に突入し、消滅しました。
しかし、カッシーニが残した膨大な量のデータは、これから何十年にもわたり、土星本体やその磁気圏、衛星や輪などについての科学者の探求を待つことになるでしょう。

「カッシーニは消滅したが、その科学的な見返りは今後長い間、科学者を引き止めてやまないだろう。私たちはまだ、カッシーニが送ってきた山のようなデータの、ほんのごく一部を引っかいただけなのだ。」(スピルカー氏)

探査に関わってきた編集長(寺薗)にとって、探査の終了が「ほろ酸っぱい」思いになる気持ちは痛いほどわかります。長年心血を注ぎ、打ち上げの心配をし、データを送り続けてきた探査機は、いつしかまるで自分自身の友、場合によっては子どものように思えるときすらあるのです。ミッションチームは探査機中心の生活をし、探査機のために寝起きの時間からライフスタイルまですべてを変更し、それを準備も含めて何十年も送ってきたのです。
あらためて、カッシーニという偉大な探査機の最後を祝福すると共に、偉大なる探査を見事にやり遂げたカッシーニの探査チームにも大きな祝福を送りたいと思います。
そして、カッシーニの遺産ともいうべき膨大な科学データが、この先また新たな科学的発見を生み出すことを期待したいと思います。

そして、人類はいずれ、カッシーニが見つけた膨大な数の謎の探求のため、新たな土星探査を行うでしょう。カッシーニ自身が1970〜1980年代のボイジャー探査機による土星観測から生まれたように、カッシーニがまた新たな探査を生み出すのです。場合によっては…おそらくずっと未来でしょうが…人類がエンケラドゥス表面に降り立ち、地下の海の探査を行う、そのようなこともあるかもしれません。
ザーブチェン氏が述べた「始まり」とは、私たちの好奇心が尽きない限り続く、新たな探査への意欲を示しています。私たちはきっと、またこの神秘的な世界へと戻っていくことでしょう。カッシーニの思い出を胸に。

NASAのプレスリリース 
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-s-cassini-spacecraft-ends-its-historic-exploration-of-saturn
カッシーニ/ホイヘンス (月探査情報ステーション)

カッシーニ/ホイヘンス (Cassini / Huygens)

協賛企業

渡辺教具製作所
ウイルネット

提携企業・団体

TeNQ