月探査情報ステーションとは

月探査情報ステーションは、月・惑星探査の情報を中心として、月の科学、さらには月や月・惑星探査にまつわる様々な情報を皆様にお届けする、「月・惑星探査のポータルサイト」です。

このサイトでは、月を中心として、「科学」という視点を中心に取り上げ、月についてどのようなことがわかり、どのようなことがわかっていないのかを解説しています。

そして、まだわからないことを調べようとする「探査」(ミッション)について、最新情報をいち早くお知らせするほか、その背後にある科学などについて、わかりやすく解説しています。

月について、私たちはどの程度のことを知っているのでしょうか? ここでは、月の不思議や謎、解明された事実などをまとめました。科学だけではなく、雑学などの広い話題も網羅しています。

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月は、見て楽しむものでもあります。このカテゴリーには、いろいろな楽しみ方ができるよう、クイズや参加型プロジェクト、ギャラリーなどを取り揃えてあります。

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人間は月に降り立ち、惑星へ探査機を飛ばしてきました。そのチャレンジは今も続いています。ここでは、そういった私たちの外の世界への挑戦をご紹介します。

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お知らせ

211, 2020

月探査情報ステーションは満22年を迎えました

本日、2020年11月2日、月探査情報ステーションは満22年を迎えました。
1998年11月2日に、前身となる「インターネットシンポジウム ふたたび月へ」が始まってから、22年の歳月が流れました。
宇宙開発、月・惑星探査でもその間、本当にさまざまなことがありました。もともとサイトの設立目的であった日本の月・惑星探査衛星「かぐや」は2007年に打ち上げられ、2009年にミッションを終了、データは今も解析が続けられています。宇宙開発組織自体も、当時は宇宙科学研究所・宇宙開発事業団・航空宇宙技術研究所の3組織体制でしたが(前身のサイトはこの宇宙科学研究所と宇宙開発事業団が共同で運営する形でスタートしています)、いまはそれらがJAXA(宇宙航空研究開発機構)に統合され、一体となって動いています。

22年の歳月で、月探査も大きく変わりました。
1998年は、新たな月探査の時代の夜明けであったともいえます。この年に打ち上げられたアメリカの月探査機「ルナープロスペクター」は、月面に水の痕跡を発見します。これが、いまに続く「月の水」の端緒となりました。
その後21世紀に入ると、前述の「かぐや」を含め、中国、インド、ヨーロッパ、アメリカによる月探査が相次いで実施され、月の素性が一気に明らかになってきます。さらに、2010年代には40年ぶりとなる月着陸を中国が実施、2019年には同じ中国の「嫦娥4号」が、史上初となる月の裏側への着陸を果たします。

その先にあるのは、まさに「ふたたび月へ」、有人探査です。
アメリカはアルテミス計画を全面的に推進しており、2024年には宇宙飛行士(そのうち1名は史上初の女性)を月面に着陸させることを狙っているようです。そして、その後も有人月面探査を推進し、2030年前後には月面基地も設営することを目指しています。一方、中国やロシアも同じ2030年頃をめどに月面基地構築を構想しているようで、にわかにアポロ時代の「米ソ対立」に近い様相を呈してきています。
このアルテミス計画には日本も積極的に参加することになっています。先月13日には、日本を含めた8カ国が「アルテミス協定」に署名、本格的な協力体制の構築に向けて第一歩を記しました。先ごろ13年ぶりの日本人宇宙飛行士の募集が報じられましたが、ここで選ばれた宇宙飛行士は、間違いなくその活躍の場が月面になることでしょう。
22年前に構想し、CGでその姿を描いていた「ふたたび月へ」は、いまや私たちが現実の問題として語る状況になってきています。

月と私たちの関係は古代から身近でした。そのような私たちの心と月とのつながりを大切にすることが、月探査情報ステーションの大きなコンセプトです。アルテミス計画が進行し、月面で人間が活動することが当たり前という時代になったとしても、私たちが受け継いできた月への思い、月との共存ということを決して忘れてはならない。そのように私は思います。
日本人が長い歴史の間で培ってきた月への思いが、最新の宇宙開発技術による有人月探査につながっていくのであれば、諸外国とはまた異なる、日本独自の月探査を世界に見せることができるでしょう。それはきっと、世界に対して、「よい」影響を与えるものになるに違いありません。

誕生から22年、月探査情報ステーションに課せられた役割はますます重くなってきています。しかし一方、編集長の多忙状態はますますひどくなり、定期的なブログ記事のアップデートもままならない状態となっています。情報をクリップしただけで下書き状態になっている記事は400に迫ろうとしています。
これに対して今すぐ有効な処方箋はなかなか思い浮かびません。本業をおろそかにするわけにはいきませんので、ともかくもいまは、細く長く出会っても続けていくことを第一に考えていきたいと思います。
そして、皆さんのより強いご支援をいただければ、将来的には月探査情報ステーションをはじめとする月・惑星探査の広報普及啓発が私自身の職業として成立することもあるかと思います。
ぜひ今後とも、皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
2020年11月2日
月探査情報ステーション編集長
合同会社ムーン・アンド・プラネッツ 代表社員
寺薗 淳也

2209, 2020

日本でも宇宙資源についての法整備実施へ – 産経新聞報道

9月21日付の産経新聞が、超党派の国会議員による宇宙資源に関する立法を進めており、早ければ次の通常国会に法案を提出すると報じています。

この法案をまとめたのは、自民党や立憲民主党などの国会議員からなる超党派の議員連盟「宇宙基本法フォローアップ議員協議会」です。自民党の河村建夫衆議院議員と立憲民主党の前原誠司衆議院議員が共同議長を務めています。
ちなみに、河村議員は自民党「宇宙族」のトップであり、長年にわたって宇宙開発、宇宙政策に提言を続けてきたほか、実際に宇宙政策にも大きな影響を与えています。例えば、情報収集衛星の実現に尽力したのは河村議員ともいわれています。
また、前原誠司議員は、民主党政権時代には宇宙担当大臣を務めた経験もあります。

産経新聞の記事によると、法律案は「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案」となっています。月や小惑星など、宇宙空間における資源の利用について定めたものとなっており、資源探索・採掘を行うための宇宙機の打ち上げに際し特例を設けるとされています。また、宇宙資源を採掘した事業者がその使用(おそらくは売却なども含まれます)により利益を上げること、ないしその利用を許可するという内容になっています。
なお、22日現在、編集長はこの原案を入手していないため、詳細については記事以上の情報はありません。

法案については国際的な協調も念頭に入れ、一方では日本の宇宙産業強化を目指すものとなっているとのことです。ただ、宇宙資源採掘は現時点で国際的に完全な合意が取れているものではないこともあり、法案には「宇宙空間の探査や利用の自由を行使する他国の利益を不当に害しない」との留意事項が設けられているとのことです。

宇宙資源探索・採掘を巡る動きは、近年ますます加速しています。その背景にあるのが、アメリカの有人月探査計画「アルテミス計画」です。
アルテミス計画は、2024年までに月に再び人を送り込むのみならず、その後も継続的に月に人を送り込み、恒久的な月面基地を構築することを目指しています。当然、長期間にわたって人間が滞在するために必要な物資を「何とかしなければ」ならないわけです。特に人間が生きていく上で欠かせない水をどうするかが大きな問題です。
近年、特に月の極地域(南極と北極)に水が存在する可能性が探査により指摘され、この水を有人基地で利用できるのではないかという期待が盛り上がっています。水はまた、酸素と水素に分解してロケット燃料にも使えますので、月面移動用や将来の火星探査機用などに使うこともできるでしょう。
日本もアルテミス計画への参加を表明しており、アイスペースのように月の水資源探索・採掘を狙うスタートアップ企業も出てきています。日本としても宇宙資源についての法整備を行い、こういった動きにすばやく追随していこうということではないでしょうか。

なお、宇宙資源の利用について国内法を定めているのは、アメリカとルクセンブルクです。日本がこの法律を制定すれば3カ国目となります。なお、記事によれば、カナダやオーストラリア、ニュージーランドでも検討が進められているとのことです。編集長(寺薗)はオーストラリアで検討されているという情報は耳にしたことはありますが、ほか2カ国については情報を聞いたことがありません。

宇宙資源は人類の宇宙進出を大きく進める要素になりうる一方で、先に進出した国が全て使ってよいのかという法的・倫理的な問題、科学的に価値がある場所や物体を損ねてしまい、宇宙の科学的な価値を毀損するおそれもあります。また、宇宙開発における「憲法」といってもよい宇宙条約でも実は宇宙資源採掘(といいますか、宇宙の民間利用)については定義が曖昧で、この点で現在は各国が独自に法律を定めることになってしまっているのです。
宇宙資源の利用を促進し、ひいては宇宙開発を促進する意味からも、一日も早い国際的な枠組みの成立と、日本として世界の役に立つような(もう少しいえば、世界の模範となるような)宇宙資源利用を進めていくことを願います。

産経新聞の記事
https://www.sankeibiz.jp/business/news/200921/cpc2009212048002-n1.htm
宇宙条約 (月探査情報ステーション Q&A 資料室)

宇宙条約・全文


月協定 (月探査情報ステーション Q&A 資料室)

月協定・全文

1809, 2020

YouTubeチャンネル「惑星科学チャンネル」と連携を開始します

月探査情報ステーションは、YouTubeの「惑星科学チャンネル」と新たに連携を開始し、月・惑星探査についての最新情報をよりわかりやすくお届けしていきます。

惑星科学チャンネルは、YouTubeで惑星科学についての解説を行っているチャンネルです。惑星科学者が自ら動画を制作しており、その高いクオリティと科学的な正しさには定評があります。
惑星科学チャンネルと月探査情報ステーションは、「惑星科学の話題をわかりやすく、また正しい情報を伝える」という点で大きな共通点があります。
今回、月探査情報ステーションでは、惑星科学チャンネルの理念に共鳴し、本チャンネルと連携、特に月・惑星探査の動画について、サイト内に参考動画として掲載すると共に、随時告知なども行うこととしました。
既に、惑星科学チャンネルで公開されている動画のうち、「日本人が知らないUAEの火星探査機HOPE(ホープ)を解説」をアル・アマルのページから、「知られざる中国の火星探査機「天問1号」を研究者が解説」を天問1号のページからご覧いただけるようにいたしました。
今後は、動画で解説されている内容も月探査情報ステーションのページに盛り込み内容を強化するなど、動画リンクだけではない連携も実施していく予定です。
皆様もこの機会に、惑星科学チャンネルにご登録いただき、最新の惑星科学情報に触れてみてはいかがでしょうか。

惑星科学チャンネル (YouTube)
https://www.youtube.com/user/muso0

1809, 2020

「月探査」のページを更新しました

月探査情報ステーションの中核ともいえる「月探査」のページを更新しました。
探査情報を最新のものに更新すると共に、嫦娥各号について、先ほどご紹介した「嫦娥計画」の新サイトページへのリンクに修正するなどの変更を行っています。

1809, 2020

中国の月探査プログラム「嫦娥計画」のページを新サイトに移行しました

中国の月探査プログラム「嫦娥計画」のページを新サイトに移行しました。
これまで、10年にわたって情報が更新されておらず、嫦娥2号までの情報にとどまってしまっていましたが、今後は嫦娥3号・嫦娥4号と共に、今年打ち上げが予定されているサンプルリターン機、嫦娥5号の情報についても情報を加えていく予定です。
なお、新サイトへの移行に際して、現在のトピックス(ブログ内)へのリンクを各号最新のものに修正・追加しました。また、旧ページからは新ページへ転送されます。

現在のところ、各号のトップページは用意されておりません。また、表組みの中で箇条書きの位置がおかしくなっているなど、レイアウト上の問題が発生しています。これらについては今後追加、修正してまいります。
また、現時点でリンクされているページは情報が古いものが多いのでご注意下さい。こちらについても今後順次現時点での内容に更新されていく予定です。

1509, 2020

NASA、民間企業から月資源を購入へ

NASAは10日、月探査を実施する民間企業から、月の水や石などの月資源を購入する方針であると発表しました。NASAのブライデンスタイン長官が直接メッセージを発しています。

NASAは現在、有人月探査計画「アルテミス計画」を進めています。この計画では2024年に男女の宇宙飛行士を月面に到達させる予定です。そしてその後は、おそらくは定期的に月面に人間を送り込み、有人拠点も構築することになるでしょう。
人類が月面で活動するとなれば、当然必要になるのが水です。そして、月に水が存在する可能性については多くの探査で指摘されてきました(ただ、注意すべきなのは、「確実に存在する」とわかっているわけではないということです。可能性は高いですが100パーセントではありません)。
NASAは将来的な月面有人活動に、この月に存在する(とされる)水を利用する方針を固めています。

9月10日にNASAが発出した要請書(下記のリンク参照)によりますと、NASAは契約者(月面探査を実施する民間企業)から、月の石、及びレゴリス(月の表面を覆う非常に細かい砂)を購入する契約を結ぶとのことです。
NASAのブライデンスタイン長官によると、この要請書は月資源を利用するための「重要な一歩」であり、また、宇宙条約の第2条にある「天体はいかなる手段によっても国家の取得の対象にならない」という方針に沿ったものであるということです。ここは、5月に発表した「アルテミス協定」において、月(を含めた宇宙)資源の利用は宇宙条約に完全に沿った形で行うとしたことに従ったものと考えてよいでしょう。

アルテミス計画は、NASAが行うとはいえ、民間企業の力をフルに活用することを考えています。一方、いくつかの民間企業は既に月への探査ミッションを計画しています。さらに、トランプ大統領は今年4月6日付で、月を含めた宇宙資源の利活用を促進する大統領令に署名しており、アメリカとしては民間企業が月(を含めた宇宙)資源の探索・採掘を積極的に行い、それらを活用することを促進したいと考えています。
政府としては法律(例えば、2015年アメリカ宇宙法。宇宙資源について、それを採掘した民間企業に所有権を認めている)による後押しを行い、民間企業がそれに沿って探索・採掘を進めていく、という方針を取りたいようです。

上記の要請書について長官は、月探査を行う民間企業が月の「砂」や石を「少量」採取し、その収集した場所などについての情報を記録した上で、「その場で」NASAに所有権を移転する形を取ると説明しています。つまり、月資源については地球への持ち帰り、あるいは少なくとも有人月面拠点などへの移送の責任を民間企業が負うのではなく、発見場所やその資源の詳細をNASAに報告すれば、あとはNASAがそれをその場にある形のまま買い上げるということになります。

また、NASAではこれらの民間企業についてはアメリカ企業に限定しないとしています。
実際、アメリカ以外でも月資源に注目している企業はあります。例えば日本のアイスペースがそうです。月の水資源開発による月面開発を目指す同社は、2022年に月面への初の着陸機を送り込むことを目指していますが、それ以降、月の水資源探索のための探査機を送り込むことを狙っています。今回のNASAの提案は、こういった企業にも大きなビジネスチャンスをもたらすことでしょう。
なおNASAでは、買い上げる対象はレゴリスのみとし(石をなぜ含めないのかはわかりませんが)、買収資金のうち、10パーセントは認定時、次の10パーセントは(おそらく資源回収ミッションの)打ち上げ時、そして残り80パーセントはNASAへの権利移転の完了時に支払うと述べています。またレゴリスの利活用方法については今後決定するとのことです。

NASA、といいますかアメリカの将来宇宙探査の究極の目標は有人火星探査です。そこでは月と同様に、現地にある資源を利用する「その場資源利用」(in-situ resource utilization)が重要視されます。NASAでは、月(アルテミス計画)での資源利用はその前段階と捉えており、月における資源利用の経験を将来の有人火星探査に活かすことを考えているようです。

今回のNASAの月資源についての声明は、これまでも述べられてきた月の水資源利用についてNASAがアルテミス計画と絡めてさらに一歩踏み出したものと考えてよいでしょう。
実際にNASAが月面で「取得」した資源は一体法的に誰のものとなるのか、さらにいえばそれは国家の所有とならないのかどうかなど、法的には微妙な点は依然残ります(「所有権移転」といういい方も、宇宙条約に触れないように巧みに編み出されたものかも知れません)。ですが、月資源の利用、とりわけ水資源の利用は、長期的な有人月探査では避けて通れないものかと思います。
もちろん、それは月に水があれば、の話であって、まだこれには結論が出ていません。今後のミッションで月の水資源について、その有無や量を科学的に推測し、さらにその利用プランを考えていくというプロセスを取っていくことになるでしょう。今後のNASAや月を目指す民間企業の動きを、注意深く見守っていきましょう。

ブライデンスタイン長官の声明 
https://blogs.nasa.gov/bridenstine/2020/09/10/space-resources-are-the-key-to-safe-and-sustainable-lunar-exploration/
月の石・レゴリスを民間企業から購入するNASAの調達要請書 
https://beta.sam.gov/opp/77726177617a45d0a196e23a587d7c14/view

協賛企業

渡辺教具製作所
ウイルネット
リポビタンD

提携企業・団体

TeNQ