月探査情報ステーションとは

月探査情報ステーションは、月・惑星探査の情報を中心として、月の科学、さらには月や月・惑星探査にまつわる様々な情報を皆様にお届けする、「月・惑星探査のポータルサイト」です。

このサイトでは、月を中心として、「科学」という視点を中心に取り上げ、月についてどのようなことがわかり、どのようなことがわかっていないのかを解説しています。

そして、まだわからないことを調べようとする「探査」(ミッション)について、最新情報をいち早くお知らせするほか、その背後にある科学などについて、わかりやすく解説しています。

月について、私たちはどの程度のことを知っているのでしょうか? ここでは、月の不思議や謎、解明された事実などをまとめました。科学だけではなく、雑学などの広い話題も網羅しています。

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人間は月に降り立ち、惑星へ探査機を飛ばしてきました。そのチャレンジは今も続いています。ここでは、そういった私たちの外の世界への挑戦をご紹介します。

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お知らせ

1706, 2017

NASA、小惑星捕獲計画(アーム計画)を中止へ – space.comが報じる

以前から月探査情報ステーションが興味を持って追いかけてきた、NASAの小惑星探査フレームワーク「小惑星イニシアチブ」。その中でも大きな柱を占めていた、小惑星捕獲計画「アーム」(ARM: Asteroid Redirect Mission)が、正式に中止となる模様です。space.comが報じています。

この「アーム計画」は、地球近くにある小惑星(地球近傍小惑星)に無人探査機を送り込み、その表面の岩を捕獲すると共に、自身のエンジンで軌道を変更する実験を実施、捕獲した岩を地球-月付近の軌道へ送り込んだあと、地球から有人宇宙船で宇宙飛行士を送り込み、ドッキングして探査、一部サンプルを地球に持ち帰る、という計画です。
そもそもの計画はより大胆で、大きさ数メートル〜数十メートルサイズの小惑星をまるごと持ち帰る(!)というものでしたが、現在では上記のようなより「マイルドな」案に落ち着いています。アーム(ARM)の「R」が「Redirect」(軌道からそらす)となっているは、この当時の大胆な発想の名残りともいえます。

この小惑星イニシアチブ計画は、オバマ政権当時の2013年にNASAが提案したものですが、それ以降、このアーム計画については検討の遅延、技術上の困難(だからこそ中身が変更になったわけですが)、科学者からの批判などにさらされてきました。
この状況はアメリカ議会も感じ取ったようで、議会では「中止すべき」という意見が多数を占める状況となりました。さらに、2018会計年度(2017年10月〜2018年9月)のNASAの予算にこの「アーム計画」検討分が上程されていないことが明らかになるなど、計画は大きな試練を迎えている、というのが最近の状況でした。
実は編集長(寺薗)自身、知人から「どうもアームは中止になるらしい」という情報を複数受け取っておりましたので、今回の記事は「やっとオフィシャルになったか」という感想です。

今回の発表は、6月13日(アメリカ現地時間)に開催された「小天体アセスメントグループ」(SBAG)という団体の会合において、アーム計画の責任者であるミシェル・ゲーツ氏が明らかにしたものです。それによると、3月にはホワイトハウスより、ミッションを終了とすべきという予算に関する方向性が示され、それに従った形で4月のNASAの予算要求ではアーム計画を予算案に盛り込まない形としたとのことです。この4月の時点での情報は先のブログのタイミングとも合います。

ゲーツ氏は、「ミッション(アーム計画)は段階的な『店じまい段階』(closeout phase)にあり、今回の計画で得られた様々な技術的な進展は、今後他のミッションに活かしてく予定だ。」と述べています。
この「今回の計画で得られた様々な技術的な進展」がどのようなものなのかをゲーツ氏および記事は詳細に記していませんが、おそらくは、この無人探査機に向けて開発された太陽光を利用した電気推進計画(かなり強力な電気推進機構とのこと)、小天体への接近・離脱技術、小惑星(の一部)の捕獲技術(おそらくこれは、将来の小惑星資源採掘などにも活かせると思われます)などが考えられます。

議会からは歓迎の声が聞かれます。テキサス州選出の共和党議員で、下院の科学技術委員会の議長であるラマー・スミス議員は、8日に行われたこの委員会の下部委員会である宇宙科学省委員会の聴聞会のあと、「前政権の意向によるよろしくない発想に基づく計画が終了を迎えるのは歓迎すべきことである。今後その代わりに、より必要とされる他の技術が、他の計画のもと開発されることを望む。」と述べています。
ラマー議員の発言は、共和党議員ということ(さらにいえばテキサス選出)ということもあり、トランプ政権の意向が働いている可能性もあります。まだトランプ政権の宇宙政策の方向性は明確には打ち出されていませんが、共和党が伝統的に「月回帰」の傾向を持つことなどを考えると、(2000年代のブッシュ政権のように)「再び月へ」という政策を打ち出すかもしれません。「NASAはそのために働け」というやや高圧的なニュアンスさえ、上記の発言からは読み取れます。

一方、NASA側としては、上で述べたように、アーム計画で開発された技術を少しでも将来のために温存したいという考えのようです。NASAのロバート・ライトフット長官代行は(現時点でまだNASAの新長官は決まっていません)、同じく8日に開催された、下院の歳出委員会の下部委員会である商取引・司法・科学小委員会の聴聞会において、上で述べた太陽光電気推進技術は2020年早期に実現できる見通しであり、NASAが提案する、地球-月遷移軌道(地球-月間の軌道)に設置する「深宇宙ゲートウェイ」への輸送手段に使えると述べています。
NASAとしては、これまで膨大な資金をつぎ込んでアーム計画を検討してきただけでなく、アーム計画を有人火星探査構想の1ステップとしてまで位置づけてきただけに、ここで大胆な変更をされてしまっては、科学者・技術者の士気がそがれるだけではなく、すべての計画の見直しによりまた余計な費用と時間がかかってしまうという考え方なのでしょう。できる限り小規模な変更、あるいは既存技術の活用方法を探ることを考えているようにみえます。
「これ(深宇宙ゲートウェイ)は、我々がアーム計画のために開発してきた技術を使えばすぐにでも開発可能だ。さらには、商業的に利用するという方向性も考えられる。」(ライトフット長官代行)

なお、小惑星イニシアチブのもう1つの柱は、地球に危険を及ぼす小惑星を発見・監視するプログラム「小惑星グランドチャレンジ」です。こちらについては、その具体的な名前は出ていないものの、「有人探査の一側面として研究を続行する」(ゲーツ氏)とのことです。ひとまずこの点は安心です。

「アーム計画において開発してきた技術は、『アームだけで使える』というものではない。より広いミッションで使用できるようなものでなければ我々は開発はしないだろう。」と、アーム計画の研究者、ダン・マザネック氏は述べています。と同時に、彼が長年(といっても4年程度ですが)関わっていたアーム計画が中止になることに、当然ではあるにしても落胆と悲しみを述べています。
「私が知る限り、アーム計画は最良のミッションの1つだと思うし、ある意味夢のあるミッションだった。アーム計画はありとあらゆる異なる種類の考え方、異なる種類の概念を集めたものであった。いつか、何らかの形で、アーム計画が形を変えて復活してくれることを望みたい。私はいまでも、このミッションは素晴らしいものだと思っている。」(マザネック氏)
マザネック氏の言葉からは、政治に翻弄された現場の悔しさが伝わってきます。

そもそもアーム計画、というか小惑星イニシアチブは、その前に計画されていた月経由の有人火星探査計画(正確には有人火星探査を念頭に置いた有人月探査計画)『コンステレーション計画」の代わりとして出てきたものでした。コンステレーション計画が、やはり同様に予算超過とスケジュール遅延で、オバマ政権になってから中止され、その後立案されたものが小惑星イニシアチブだったわけです。
もちろん、アメリカの宇宙開発における究極の目標が有人火星探査であることにはここしばらく(少なくとも21世紀になってから)変化はありません。しかし、やってはダメで潰し、やってはダメで潰し、ということを繰り返しているうちに、アメリカの宇宙開発の体力全体が落ちてきてしまっているのではないか、という危惧を編集長(寺薗)としては抱いています。
それはまた、スペースXに代表される民間宇宙企業の勃興という形で現れているともいえますが、いくら民間セクターが頑張ったとしても、国家セクター部門に元気がなかったとすれば、いずれ足を引っ張る形になってしまうでしょう。
現に小惑星イニシアチブ計画の検討には小惑星資源採掘会社が加わっており、ある意味民間へお金を回し、民間宇宙企業を支えるもととなっていました。今後もしアーム計画がなくなり、これらの企業にお金が回らなかったとしたら、巨額の開発費を必要とする小惑星(宇宙)資源開発にも暗雲が垂れ込めることになります。いくらリスクを取る国、アメリカだからといって、やはり国という究極のバックがついていないものにはなかなか資金を呼び込めないと思います。

NASAはいまのところ公式にアーム計画の中止を宣言したという情報はないですし、そうするのかどうかもわかりません。ですが、アーム計画の(さらにいえば小惑星イニシアチブの)運命がほぼ決まったいま、そして共和党政権(トランプ政権)の先がみえない中で、アメリカの宇宙開発、とりわけ月・惑星探査がどのような方向へ向かうのか、注意深くみていかなければならないと思います。アメリカの宇宙政策は、同盟国である日本にも少なからぬ影響を与えるからです。

space.comの記事 
https://www.space.com/37196-nasa-closing-out-asteroid-redirect-mission.html
小惑星イニシアチブ (月探査情報ステーション)

小惑星イニシアチブ – Asteroid Initiative

1606, 2017

嫦娥4号、月探査史上初の生物実験を実施へ

ここのところ情報が相次いでいる中国の月探査機「嫦娥」シリーズ。来年打ち上げられ、史上初の月の裏側への着陸を目指す嫦娥4号についてまた新しい情報が入ってきました。もう1つの史上初「月面での生物飼育実験」を行うとのことです。

人民日報が重慶晨報(Chongquing Morning Post.朝刊紙)の報道として伝えたところによりますと、嫦娥4号は植物の種と昆虫の卵が入ったコンテナが搭載されるということです。なお、この機器の開発者であるZhang Yuanxun氏によれば、植物はジャガイモとシロイヌナズナ(シロイヌナズナは遺伝子に関する実験などでよく用いられます)、昆虫はカイコとのことです。特殊なアルミニウム合金製のこのコンテナは、月面において植物や動物の成長過程を調べることを目的にしていると、人民日報は報じています。もちろんこのようなデータは、将来の有人基地における植物や動物の生育にも貴重なデータになることでしょう。

Zhang氏によれば、カイコは二酸化炭素を発生し、その二酸化炭素をジャガイモが光合成で吸収するという「ミニ地球」ができる可能性があるとのことですが、一方ではそのためのエネルギー源の供給や温度調整などが非常に大きな課題とのことです。また、特に月面は昼間は100度、日の当たらない夜間はマイナス100度まで冷えるという過酷な世界ですので、長期にわたるこのような生物実験では、この温度差から中を守る必要があります。
そのため、容器には特殊な断熱層が施され、また夜間などの日が当たらない状況に備えて光を発するパイプが装備されるそうです。こういった装置の駆動には強力なバッテリー(どのようなバッテリーか詳細は書いてありません)が使用されるとのことです。

機器開発には重慶大学をはじめとした国内28の大学が参加し、機器の長さは18センチメートル、重さは3キログラムとのことです。個人的には意外と大きな装置のように思います。

「ジャガイモ」といえば、昨年(2016年)に日本で公開された映画『オデッセイ』(原題: 『火星の人』)を思い出される方も多いのではないでしょうか。主人公が火星にひとりぼっちで取り残されながらも、身の回りのあらゆる材料でジャガイモを飼育し、それによって生き延びていくというストーリーは印象深いものでした。実際、火星の土(もちろん模擬の土ですが)を使ったジャガイモ飼育に成功したというニュースもあり、またジャガイモ自身がエネルギー価が高いこともありますので、将来実際に宇宙での食物栽培が行われるときに候補となる作物ではあると思います。
一方、カイコについても同様です。「カイコ(昆虫)を食べる」というと大変気持ち悪いイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、実は、火星(や宇宙空間)における食物として、高栄養価のカイコはその筆頭といってもよい候補です。日本でもカイコを粉末にしてクッキーに混ぜるなど、食物としての利用が研究されており、将来の月面、あるいは火星滞在、さらにはその往復帰還の飛行などで、カイコを食料として利用することは大いにありうる話です。

今回の実験がそれらを念頭に置いたものなのかどうかはわかりませんが、選ばれたものがものだけに、将来的に中国が恒久的な月面基地、すなわち長期にわたって人が滞在する基地を作ることに非常に熱心に動き始めたのではないか、という予想がますます強く感じられます。

人民日報の記事 
http://en.people.cn/n3/2017/0613/c90000-9227854.html
嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/

1606, 2017

「はやぶさファン!」の「はやぶさ関連書籍」コーナー不具合のお詫び

月探査情報ステーションの探査機「はやぶさ」コーナーの一部となっているコーナー「はやぶさファン!」の中にある「はやぶさ関連書籍」のページで、書籍情報が全く表示されていなかったというトラブルが発生していたことがわかりました。なお、現在は復旧しています。

原因ですが、書籍を表示させるプログラム内で、データにアクセスする部分が、サーバー更新の際に変化してしまい、その変更を反映していなかったためでした。昨年6月に「KUSANAGI」サーバーに移転したときから約1年間にわたって、書籍情報が表示されていなかった可能性があります。

皆様にはご迷惑をおかけいたしまして大変申し訳ありませんでした。
現時点で「はやぶさファン!」および「関連書籍」のページは旧サイトに属しておりますが、こちらはなるべく早く新サイトに移行していきます。その際にはコンテンツを1つ1つチェックし、問題がないことを確かめながら進めていきたいと思います。
なお、現時点でも「関連書籍」についてはSSL通信が完全にできていない旨表示されていますが、閲覧そのものには支障はありません。こちらの問題も早急に解決するか、新サイトへの移行と同時に解決する予定です。

月探査情報ステーションにおいて、ページの一部が表示されていなかったり、ページの表示が大幅に乱れるといったトラブルがありましたら、ぜひお問い合わせ窓口からご連絡をいただきますよう、お願い申し上げます。

1506, 2017

嫦娥5号の飛行プランが明らかに

今年11月30日に打ち上げられるとみられる中国初の月無人サンプルリターン機「嫦娥5号」。ここのところ情報が多数出てきていますが、今度は打ち上げからカプセル帰還までのシナリオが明らかになりました。人民網日本語版が伝えています。

記事そのままというのはあまりいいものではないのですが、この記事から、箇条書きに直した形で飛行の様子をたどっていきましょう。

 打ち上げ(おそらく海南宇宙センターから)。重さは打ち上げ時に8トン以上。
 月トランスファー軌道(月遷移軌道。地球から月へ向かう軌道)を飛行。途中に軌道修正。
 月周辺で逆噴射し、月周回軌道に投入される。
 月周回中に、月に着陸する着陸・上昇モジュールと、月を周回する軌道・帰還モジュールの2つに分離。
 着陸・上昇モジュールを分離。予定地点に向けて軌道を変更し、減速、着陸。
 着陸・上昇モジュールは、着陸地点においてサンプル回収を実施。
 サンプル回収終了後、上昇モジュールが月面から上昇(着陸モジュールはそのまま月面に残る)。
 上空で、上昇モジュールは月を周回していた軌道・帰還モジュールとドッキング。
 月面サンプルが上昇モジュールから帰還モジュールへと移送される。
 作業完了後、上昇モジュールを切り離し(おそらくは投棄)。
 軌道・帰還モジュールは月から地球への軌道(月・地球トランスファー軌道。地球遷移軌道)に入り、地球へ向かう。
 地球上空で帰還モジュールを切り離す。
 帰還モジュールは大気圏に突入し、その後所定の着陸地点(陸上)に帰還。

嫦娥5号は4つの異なるモジュールからなるかなり複雑な構造であることがわかります。また、月への飛行はこれまでの嫦娥シリーズで得た経験を、地球帰還については有人宇宙船「神舟」シリーズでの経験などを活用するものと思われます。初挑戦となるのは、上記7.〜9.にあたる、上昇モジュールが月サンプルを持ったまま上空で周回しているモジュールとドッキングし、その後上昇モジュールの中のサンプルを帰還モジュールに移送する部分です。この部分の成功が、嫦娥5号のミッション成功の鍵になるのではないかと筆者は見ています。
もちろん、他の部分が決して問題ないわけではありません。ミッションというのは同じことをやっていてもどこかでトラブルというのが起きるものですから、各工程でトラブルがないよう、当局にはしっかりとした点検・確認を行ってほしいものです。

人民網日本語版の記事
http://j.people.com.cn/n3/2017/0612/c95952-9227265.html
嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/

1406, 2017

嫦娥4号には外国の科学機器も搭載される予定

史上初の月の裏側への無人着陸を目指して2018年に打ち上げられる予定の中国の月探査機「嫦娥4号」。この探査機に、海外製(つまり、中国以外の国で作られたもの)の4つの科学機器が搭載されることになりました。
人民網日本語版の記事によれば、それらはオランダ製の低周波観測装置、ドイツ製の月面中性子・放射線量探査装置、スウェーデン製の中性原子探査装置、サウジアラビア製の月小型光学イメージング探査装置4点とのことです。これらは事前に行われた機器搭載募集(一般的にはAOと呼ばれます)に応募し、審査の結果搭載が決まったものです。

記事ではこれらの装置の詳細については特に書かれておらず、また、中国で開発されるであろう搭載機器についても特に説明がありませんが、その名称からどのような機器なのかを推定してみることにしましょう。

まず、オランダ製の低周波観測装置ですが、これはどのようなものの「低周波」なのかについて特に説明はありません。おそらくは電波ではないかと思われますが、具体的にどの波長帯の電波(低周波)を使うのかは不明です。
「かぐや」では電波を使って地下の様子を探る「レーダサウンダ−」という装置が搭載されていました。このとき観測に使っていた周波数は5メガヘルツとのことです。この周波数は、例えば携帯電話などに使われている「ギガヘルズ帯」の周波数に比べるとかなり低いですので、これを持って「低周波」と称しているとすれば、同様の電波による地下探査装置の可能性があります。

ドイツ製の月面中性子・放射線量探査装置ですが、これは月面の中性子を測る装置で、おそらくはルナー・リコネサンス・オービターに搭載されている「月探査中性子観測装置」(LEND)と呼ばれるものと類似した装置ではないかと思われます。
中性子は、水分子とも関係するため、月の水の存在を検知するのに有効とされています。また、「放射線量」という点については、ガンマ線などの放射線を測るというよりは、中性子の量を測ることを目的にしている(高エネルギーの中性子を測る?)のではないかと思われます。

スウェーデン製の中性原子観測装置ですが、おそらく、月のごく薄い大気における中性原子(電離していない原子)の量を測ることで、月の大気の層の性質を探るものではないかと思われます。同様の機器は火星探査機「マーズ・エクスプレス」にも搭載されています。

最後のサウジアラビア製の装置はカメラの可能性が非常に高いのですが、サウジアラビアがこれまで宇宙探査用のカメラを開発したという話は聞いたことがないため、開発実証のためのカメラではないかと思われます。サウジアラビアと中国はこの3月に宇宙開発の相互協力協定を締結しているため、その一環としてカメラ搭載が決定したのではないかと思われます。

また、搭載した機器の開発元をみますと、ヨーロッパ3カ国、中東(サウジアラビア)1カ国となっています。中国としては今後ヨーロッパとの宇宙開発協力を加速していきたいという思惑もあるのではないでしょうか。また、中東(サウジアラビア)が含まれているということは、宇宙開発への関心が高まっている中東で中国の存在感を高めたいという思惑もあるのでしょう。
特に、火星探査機の開発などで一歩進んでいるアラブ首長国連邦(UAE)、さらには火星探査機の打ち上げ受託なども含めて宇宙開発で関係を強化している日本との競争という意味も込められているかもしれません。

人民網日本語版の記事
http://j.people.com.cn/n3/2017/0607/c95952-9225380.html
嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
http://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/

1306, 2017

編集長(寺薗)監修の「はや2くんの冒険日誌」が毎日新聞ニュースサイトでスタートします!

あの「はやぶさ」の帰還からはや7年…
「はやぶさ」をメジャーにし、映画のモチーフにもなった、「はやぶさ」の物語を描いた絵本『はやぶさ君の冒険日誌』。
この冒険の物語が、舞台も新たに、現在進行中のミッション「はやぶさ2」に場を変えて戻ってきます!

イラスト・タイトル…小野瀬直美
本日より、毎日新聞のウェブページ上で、連載「はや2くんの冒険日誌」がスタートします。
筆を執るのは、「はやぶさ君の冒険日誌」を描いた小野瀬直美さん、そしてこの本と同様、編集長(寺薗)が監修します。また、「はやぶさ2」プロジェクトチームも協力します。

「はやぶさ君の冒険日誌」は、2001年当時宇宙研(文部科学省宇宙科学研究所、現・JAXA宇宙科学研究所)の大学院生であった小野瀬直美さんと奥平恭子さん(現・会津大学准教授)の2人が、「はやぶさ」をより多くの方に知ってもらおうということで始めた企画です。
年1回、夏休み期間に開催される宇宙研の一般公開(現・JAXA相模原キャンパス特別公開)で配布することを念頭に、その時点での「はやぶさ」ミッションの内容を、親しみやすい絵とわかりやすい文章で解説し、来場者に一躍人気となりました。ちなみに2001年はまだ「はやぶさ」は打ち上げられておらず、当時はそれまでの名称である「MUSES-C」からとった「ミューゼスシー君の冒険日誌」でした。

その後、「はやぶさ」は様々な試練があり、また小惑星イトカワへの到着やサンプル採取、イトカワからの離脱や帰還途中でのエンジン故障など各種の出来事がありましたが、一般公開での配布のたびにそれらを盛り込んだ最新版として配布しました。そして「はやぶさ」帰還後の2010年7月の一般公開配布版が最終版となりました。
なお、月探査情報ステーションでは、過去配布されたすべてのバージョンをご覧いただけます(下のリンクをご参照下さい)。

今回は、「はやぶさ君の冒険日誌」のテイストとコンセプトをそのままに、まさに現在進行中の「はやぶさ2」ミッションを追いかけるという全く新しい企画です。配布も紙ではなく、ウェブ公開となります。
今後約、1ヶ月に1回程度の割合で新しいストーリーを公開していく予定です。なお、これらのストーリーの全ては月探査情報ステーションのコーナー「はやぶさ2ファン!」でもリンクをかけ、追いかけてまいります。

新たに始まる冒険物語(ただし、今回はより安全運転で進める予定ですが)、みなさまぜひご期待下さい。

はや2くんの冒険日誌
http://mainichi.jp/ch170672314i/%E3%81%AF%E3%82%84%EF%BC%92%E3%81%8F%E3%82%93%E3%81%AE%E5%86%92%E9%99%BA%E6%97%A5%E8%AA%8C
はやぶさ2 (月探査情報ステーション)

はやぶさ2


はやぶさ2ファン! (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/hayabusa/2/fun/
はやぶさ君の冒険日誌 (月探査情報ステーション「はやぶさファン!」)
https://moonstation.jp/ja/hayabusa/fun/hayabusakun/
『はやぶさ君の冒険日誌』 (Amazon.co.jp)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4620320250
配布版『はやぶさ君の冒険日誌」をもとに、それら前編に加え、「冒険日誌」に関わった面々での対談、監修の寺薗によるあとがきなど盛りだくさんの内容となっています。20世紀FOXの映画『はやぶさ/HAYABUSA』の原案ともなっています。紙の本のほか、電子書籍(アマゾン・キンドル用)もお求め頂けます。

協賛企業

渡辺教具製作所
ウイルネット

提携企業・団体

TeNQ