SLIMプロジェクトチームは6日X(旧: Twitter)を更新し、1月1日付でプロジェクトチームを解散したことを公表しました。

上記ポストにある通り、SLIMの運用自体は8月に終了していました。さらにいえば、5月以降通信ができていなかったので、実質的なミッション期間は4月の末までということにはなります。
また、SLIMミッションチームとしては、8月23日にてミッションを終了したとしています。

JAXAでは12月26日にSLIMについての成果総括の記者会見を実施しており、いわば「まとめ」は完了したことになりますが、チームとしても正式に解散したという形です。

 

SLIMは2023年9月に打ち上げられ、12月に月に到着、2024年1月20日に月面への着陸に成功しました。
この時点では搭載されていた太陽電池が発電していないというトラブルがありましたが、これは着陸時に姿勢が本来と異なる方向へ向いてしまったためでして、1月29日に(太陽が月の夕方になり西側に太陽光が当たったタイミング)でSLIMの発電が回復しました。搭載されていた科学機器であるマルチバンドカメラ(MBC)による観測も順調に行えました。
また、SLIMの腫瘍目的である、画像照合航法を利用した高精度(ピンポイント)着陸にも成功したことがJAXAより発表されました。この高精度着陸という目標は、目標地点から100メートルというものでしたが、実際には55メートルでした。ただこれは、着陸直前にエンジン1機が破損したためのもので、もしそれがなければなんと3〜4メートルの高精度での着陸ができたであろうという大変重要な成果を挙げました。

繰り返しになりますが、このような成果を挙げたSLIMは2月1日、着陸地点が夜になったため休止しました。
「本来であれば」ここでミッションが終了するはずだったのですが、2月下旬になってSLIMが再度復活したことが確認されました。また、カメラなども動作しました。夜を越えること(越夜)に成功したわけです。これも大変画期的な成果です。
そして、3月末に2度め、4月末に3度めの復活を果たしました。

その後、5月末以降は通信ができない状態となっておりました。繰り返しますが、夜を越える装備を持たない探査機が3回も「生き返った」こと自体が本来ありえないことだったわけです。そして、8月末にミッションチームは、これ以上の復活の可能性はないとしてミッションを終了しました。
その後、各種整理などを経て、このたびミッションチーム自体が解散となったものです。

改めて、日本初の月面着陸を果たしたSLIM、そしてSLIMミッションチームの偉業を称えると共に、その成果が今後の月面探査に生かされることを願いたいと思います。

なお、月探査情報ステーションのSLIMページでは、ミッション終了の8月末までの状況を時系列的にすべてまとめておりますので、こちらもぜひお読みください。