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ボイジャー2号もいよいよ太陽系を脱出へ

ボイジャー1号に続き、ボイジャー2号も太陽系の縁に近づいてきたようです。
NASAは10月6日、ボイジャー2号が太陽系の端に近づいていると発表しました。ボイジャー2号が捉えた、太陽系の外からやってくる宇宙線の量が増加しているのです。
現時点でボイジャー2号は地球から約177億キロというとてつもない距離を飛行しており、この距離は太陽-地球間の距離の約118倍にあたります。

打ち上げから40年経過し太陽系を飛行中のボイジャー探査機の想像図

打ち上げから40年経過し太陽系を飛行中のボイジャー探査機の想像図 (Photo: NASA)

ボイジャー探査機は1号と2号の2機からなり、いずれも1977年に打ち上げられました。その大きな目的は、外惑星、つまり木星・土星・天王星・海王星の探査です。
ボイジャー1号は木星と土星を、ボイジャー2号は木星・土星・天王星・海王星を探査しました。特に天王星と海王星については、いまだ人類が送った探査機はボイジャー2号だけです。
1989年に海王星の探査を終えたあと、ボイジャー2号は1号と同様、ひたすら太陽系の外へ向けての飛行を続けています。2013年、ボイジャー1号は太陽系を脱出し、現在は恒星間空間を飛行しています。人類が作った人工的な物体が太陽系の外に出たのは、ボイジャー1号がはじめてのことになります。

ボイジャー2号は2007年以来、太陽から吹き付ける電気を帯びた粒子(荷電粒子)である太陽風が届く範囲である「太陽圏」(ヘリオスフェア: heliosphere)の最も外側の部分を飛行しています。このあたりは荷電粒子の泡が広がっている範囲でもあります。
このヘリオスフェアと恒星間空間、すなわち太陽系の外との境目をヘリオポーズ(heliopause)といいます。

ボイジャー探査機とヘリオポーズ

ボイジャー1号・2号の現在位置と、太陽圏(ヘリオスフェア)およびヘリオポーズの模式図。なお、太陽から探査機までの距離など、距離については実際と大きく異なる点に注意が必要である。太陽風の減速が始まる場所が末端衝撃波面(Termination Shock)、そこから太陽風が減速していく領域がヘリオシース(Heliosheath)、太陽風と恒星間空間からの物質が混ざり合うところがヘリオポーズ。ボイジャー1号はすでにヘリオポーズを抜け、恒星間空間を飛行している。Photo: NASA

この8月終わり頃より、ボイジャー2号に搭載されている宇宙線サブシステムが検知する宇宙線の量が、8月初め頃と比べて5パーセントほどの上昇を示しています。また、同じく探査機に搭載されている低エネルギー荷電粒子検出装置も同じような値の上昇を示しています。
2012年に、ボイジャー1号が今回と同じような宇宙線の量の上昇を検知しています。これは、ボイジャー1号がヘリオポーズを通過したと考えられる時期のほぼ3ヶ月ほど前のことでした。

ですが、ボイジャー探査機の運用チームは慎重で、宇宙線の量の上昇は必ずしもヘリオポーズ通過のサインだと断定することはできないと考えています。そもそも、ボイジャー2号は、ヘリオシースと呼ばれる、宇宙線と太陽風が入り混じった領域を現在飛行していますが、ボイジャー1号とは異なる方向を飛行しています。ですから、ボイジャー1号と同様に、「3ヶ月経てばヘリオシース突破」と考えることはできない、というのが探査チームの見方です。
いずれにしても、ボイジャー1号と同様、ボイジャー2号がヘリオポーズへ近づいている、ということは間違いがないようです。

また、ヘリオポーズ自身、太陽活動が活発になる11年周期で、張り出したり縮んだりします。太陽は11年の周期で活発な活動と低調な活動を繰り返していますが、その周期に合わせて太陽風の勢いも変わります。太陽風が活発に(高速に)吹き出すときはヘリオポーズは恒星間空間へと大きく張り出し、逆に勢いが弱いときには「押し込まれて」縮んでしまいます。

今回の量の変化について、ボイジャー計画のプロジェクトマネージャーとして探査機を40年にわたって見守り続けてきたジェット推進研究所(JPL)のエド・ストーン博士は、「私たちはボイジャー2号周辺の環境が何らかの形で変化しているということをみていて、そのこと自体疑う余地はない。今後数カ月間、私たちはいろいろなことを知ることになるだろうが、少なくとも今、(ボイジャー2号が)ヘリオポーズに近づいているかどうかはわからない。間違いなくいえることは…私たちはまだそこ(ヘリオポーズ)までは行っていない、ということである。」と述べ、慎重な見方を示しています。
ただ、今回はボイジャー1号という先例もありますし、どのようなことが起きるかを我々もある程度予測できることから、時間の問題として、いずれはヘリオポーズを越すだろうということは間違いありません。そして、ボイジャー2号がそのヘリオポーズにぐんと近づいているということもまた、確かでしょう。
ボイジャー1号に続き、ボイジャー2号が「人工物体として2番めに太陽系を脱出した物体」となるのか、というより、なるのはいつか、楽しみです。

さて、今回題名に「太陽系脱出」と書きましたが、太陽系の境目を何で定義するかという点については様々な考え方があります。カイパーベルト天体の一部も、このヘリオポーズの外側に出るような軌道を公転しているものがあると推測されますので、必ずしも「ヘリオポーズ=太陽系の境界」とならないということだけは一応ご注意いただければと思います。今回は記事のわかりやすさや、「恒星間空間の物質と太陽系内の物質がせめぎ合うところ」という意味での境目として「太陽系の境目」という言い方をしております。

2018年10月9日(火)|Categories: ボイジャー|

リポビタンDの「はやぶさ2」応援メッセージ、プロジェクトチームに手渡される

皆さんの願いがこもった「リポビタンD」のラベルが、プロジェクトチームへと渡りました。

大正製薬は3日、今年(2018年)7月に開催されたJAXA相模原キャンパス特別公開において来場者から募集した「はやぶさ2」応援メッセージを、9月18日に「はやぶさ2」プロジェクトチームに贈呈したと発表しました。

応援メッセージと津田プロジェクトマネージャー

「リポビタンD」のメッセージ入り特製応援垂れ幕と、「はやぶさ2」の津田雄一・プロジェクトマネージャー

この特別公開の大正製薬ブースでは、来場者の皆さんに、リポビタンDのラベルの「歯車」部分に「はやぶさ2」プロジェクトメンバーへの応援メッセージを書いてもらうという企画を行っておりました
残念なことに、今年の特別公開は土曜日が台風接近のため終日中止になってしまい、金曜日に訪れた来場者の皆様にお書きいただいたメッセージを手渡すこととなりましたが、それでも合計672件のメッセージが寄せられました。

9月18日、このメッセージを大きなタペストリー状に並べた特製の垂れ幕を、津田雄一・「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーに贈呈いたしました。

「大正製薬と宇宙」というとピンとこない方もいらっしゃるかも知れませんが、ページ最後のリンクをご参照いただきますと、そのご縁が古くて強いものであることがわかります。もともとは初代「はやぶさ」でのエピソードから始まった「大正製薬と宇宙」の結びつきは、2011年の「はやぶさ」帰還記念のイベント「はやぶさi」や「はやぶさ2」打ち上げ時の種子島でのサンプリング(無償配布)など、広範にわたってきております。

大正製薬ではプレスリリースの中で、「引き続きリポビタンDを通じて、宇宙開発に従事する人々、それを支える人々、それを応援
する人々の夢を持ち前に進もうとする気持ちに寄り添いながら、前進する一人ひとりのチャレンジを応援してまいります。」と述べています。
宇宙開発はまさに人類全体が前進するチャレンジです。そしてその宇宙開発を通して、ハラハラドキドキしながら、みている人も成長し、感動していったのは、初代「はやぶさ」で起きたことでもあります。プロジェクトチームだけでではなく、応援する人たち気持ちにも寄り添いながら、一緒に進んでいく、その結びつけるツールがリポビタンDなのです。

今回の応援メッセージ、そしてリポビタンDが、「はやぶさ2」プロジェクトチームの力となり、前人未到のミッションを達成する原動力になれば、これ以上うれしいことはありません。

2018年10月2日(火)|Categories: はやぶさ2|

通信暗号化規格変更により、一部ブラウザーや携帯機器から閲覧ができなくなる可能性があります

月探査情報ステーションでは暗号化通信(HTTPS)を導入していますが、このたび、その通信規格をより安全なものとするため、古い規格のサポートを停止することといたしました。そのため、一部ブラウザーや携帯機器からの閲覧ができなくなる可能性があります。

■暗号化通信の規格変更について

月探査情報ステーションをはじめ、暗号化通信(HTTPS。ブラウザーでは鍵のマークや「安全な通信です」といった表示があります)を導入することは、閲覧のプライバシーを保つことや、個人情報の保護などを行う観点から一般的になりつつあります。月探査情報ステーションでも2017年5月からサイトの通信全体を暗号化で保護しています

暗号化通信を実施するためには、通信内容を暗号化するための規格に沿う必要があります。現在よく使われている暗号化通信の手法はTLS (Transport Layer Security)と呼ばれるもので、バージョンにより、TLSバージョン1.0 (TLSv1.0)、TLSバージョン1.1 (TLSv1.1)、TLSバージョン1.2 (TLSv1.2)、TLSバージョン1.3(TLSv1.3)の4種類があります。なお、TLSv1.3はこの8月20日に正式に承認されたばかりで、現在のところはこれを除いた3つが公式には使われていることになります。

これらのバージョンのうち、TLSv1.0はすでに外部からの攻撃に対して脆弱であることが判明しており、月探査情報ステーションでは使用しておりません。現在、月探査情報ステーションでは、暗号化通信の規格のうち、TLSv1.1とTLSv1.2を有効としております。

ところが、TLSv1.1についても脆弱性が発見されており、これを利用した通信は、第三者の悪意ある攻撃によって内容が漏れてしまう可能性があります。
このため、大手ウェブサイトの多くではTLSv1.1の使用も取りやめ、TLSv1.2に移行する動きを進めています。
今回の月探査情報ステーションの設定変更も、このような動きに沿ったものです。

■変更期日

9月10日(月)正午 (予定)
※変更がありましたらこのページ、あるいは公式ツイッターなどでお知らせいたします。

■影響を受ける環境・ブラウザー

以下の環境が影響を受け、閲覧できない可能性がでてきます。ご自身の環境が当てはまっていないかどうかをご確認ください。
また、以下ご利用している環境やブラウザーのバージョンがご不明の場合は、お手数ですがブラウザーや携帯端末のヘルプなどをご利用の上、バージョンをご確認ください。

  • Google Chrome (グーグル・クローム)
    バージョン32以下
    ※現行最新のGoogle Chromeのバージョンは68です。
  • Mozilla Firefox (ファイアーフォックス)
    バージョン26以下、ESR(長期サポート版)の場合はESR24以下
    ※現行最新のFirefoxのバージョンは61(ESRの場合60)です。
  • Microsoft Edge (マイクロソフト・エッジ)
    影響を受けません。
  • Internet Explorer (インターネットエクスプローラー)
    バージョン10以下
    ※現行最新のInternet Explorerのバージョンは11です。
  • Android標準ブラウザー (アンドロイド)
    Android 4以下
    ※Android 5.0以上は影響を受けません。現行最新のAndroidのバージョンは9です。
  • iOS
    5以下
    ※現行最新のiOSは11です。
  • Safari (サファリ)
    Mac OS X 10.8 “Mountain Lion”以下
    ※現行最新のmacOSは10.13 “High Sierra”です。

基本的に、最新のブラウザー、あるいは携帯端末であればここ3〜4年のうちにリリースされたシステムをご利用であれば影響は受けません。かなり古いシステム、あるいは何らかの理由で最新バージョンにアップデートしていない(できない)システムやブラウザーが対象となります。

■どのようにすればよい?

まず、ご自身がご利用のブラウザーやシステムのバージョン、種類をご確認ください。

その上で、もし上記のリスト(例えば、お使いのブラウザーがGoogle Chromeの30であったなど)に入っている場合、ブラウザーのアップデートをご検討ください。
なお、ブラウザーには頻繁にそれ自身の脆弱性が発見されており、それを修正するため、定期的に新しいバージョンがリリースされています。また、新しいブラウザーではページ閲覧などに欠かせない新しい技術の導入なども行われます。そのため、今回の問題に対応するだけでなく、そういった他の脆弱性から守る意味でも、最新バージョンのブラウザーをご利用されることを強くお勧めいたします

また、WindowsやmacOSについては、最新の修正プログラムを適用するようにしてください。基本システム(OS)に含まれているブラウザーは、最新の修正プログラムの中で脆弱性を含めた修正が行われています。

携帯端末の場合、Android 4以下やiOS 5以下をご利用の場合には、最新のシステムへ買い換えることをお勧めいたします。ただ、Android標準ブラウザーを使用せず、他のブラウザー、例えばGoogle ChromeやFirefoxを利用する手もあります。
(なお、Google ChromeはAndroid 4.1.1以降をサポートしています。Firefoxも現行バージョンはAndroid 4.1以降の対応となっています。)

 

ご利用の皆様にはお手数をおかけいたしますが、プライバシー及びセキュリティ維持の観点から、ご協力・ご了承をいただきますよう、お願いいたします。

2018年8月22日(水)|Categories: お知らせ|

嫦娥4号のローバー・着陸機デザインが公表、命名コンテストも開始

この冬にも打ち上げが予定されている中国の月探査機「嫦娥4号」のローバーと着陸機のデザインが発表されました。国家国防科技工業局月探査・宇宙事業センターが15日に公表したものです。人民日報の日本語版、英語版が伝えています。

嫦娥4号のローバーデザイン

2018年8月15日に発表された、嫦娥4号のローバーのデザイン。出典: 新華社

 

嫦娥4号のローバーデザイン

2018年8月15日に発表された、嫦娥4号の着陸機のデザイン。出典: 新華社

 

嫦娥4号は中国が開発を行っている月着陸機・ローバーで、今回の記事によると打ち上げが2018年12月になるとのことです(これも重要な情報ではあります)。
嫦娥シリーズは、1・2号が周回機、3・4号が着陸機+ローバー、5・6号がサンプルリターン機となっており、1・2・3号はすでに打ち上げられています。3号は現在も月面で運用中です。
また、嫦娥シリーズの通例として、奇数版(1・3・5号)は運用を達成するための「安全運用」に力点が置かれる一方、偶数番号(2・4・6号)は、一度奇数版で実証が済んでいるため、より挑戦的なミッションに向かう傾向があります。今回も、嫦娥4号は史上初の「月の裏側への着陸」という挑戦を目指すとしています。もちろん成功すれば世界初となります。

同センター主任で、中国の月探査事業の総指揮である劉継忠氏によれば、表側の着陸ではなく、裏側に着陸するということは、直接通信ができない中での着陸を行うという意味で「プロジェクト技術及び宇宙科学の二重の飛躍・革新だ」と述べています。単に着陸するだけではなく、より困難な条件の中での着陸ということを意味しているのでしょう。
なお、ローバーのデザイン(おそらく技術的な面も含めて)は、嫦娥3号のローバー「玉兎」(ぎょくと)をほぼ引き継いだ形になるとのことです。

なお、上で「月の裏側とは直接通信できない」と書きましたが、この点についておさらいしておきましょう。月は地球に常に表側しかみせていません。これは、月が「自転していないから」ではなく、「月の公転と自転が(ほぼ)同じ周期だから」です。月が地球を1回回る間に、月は自分自身が1回回ります。この関係で、月は表側を常に私たちに見せており、裏側を見ることは探査機以外できないのです。
では、嫦娥4号はどうやって通信するのでしょうか? 実はすでに5月、そのための通信衛星が打ち上げられています。衛星は「鵲橋」(じゃっきょう)と名付けられていますが、これは七夕の伝説で、織姫と彦星が出会う際に天の川に橋をかける鳥「カササギ」を意味しています。
鵲橋は月と地球の重力が釣り合う点(ラグランジュ点、L2)にとどまって、地球と月の裏側との通信を中継します。

なお同じ8月15日、嫦娥4号の月面ローバー命名キャンペーンもスタートしました。
この命名キャンペーンは5段階に分かれており、まず最初はエントリーから始まるそうです。これが9月5日までで、その後は命名に対する投票を経て、最終的に10月上旬頃に名前を決定・発表するという手はずになっているようです。
同センターでは、このような命名キャンペーンにより、中国の人たち、とりわけ若い世代の関心を高め、中国の月探査や航空宇宙技術についての関心を体外的に表すと共に、より科学に親しんでもらおという意図もあるようです。

なお、本キャンペーンですが、「国際的」となっているものの、エントリーサイトは中国語のみですので、中国語が理解できていないとちょっと難しそうです。

2018年8月20日(月)|Categories: 嫦娥4号|

火星探査機インサイト、火星への旅のちょうど半分が経過

5月に打ち上げられた火星探査機「インサイト」が、火星への旅のちょうど半分の行程に達しました。

インサイトは、火星の内部構造を調べることを目的とした探査機です。内部構造を調べる目的が火星に打ち上げられるのははじめてです。この目的のため、地震計や熱流量計といった、火星内部の情報を捉えるための装置を搭載しています。

インサイトの公式ツイッター(一人称でのつぶやきです。最近のアメリカの探査機は一人称でのつぶやきが多くなっていますね)によると、現在インサイトは3億マイル(約4億8000万キロ)の旅のちょうど半ばにおり、飛行速度は時速6200マイル(時速約1万キロ、秒速換算で約2.75キロ)とのことです。

インサイトの火星への到着は今年11月26日が予定されています。

2018年8月6日(月)|Categories: インサイト|