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About 寺薗淳也

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2022年、編集長より新年のごあいさつ

皆様、新年あけましておめでとうございます。
旧年中は月探査情報ステーションをご愛顧いただきまして、ありがとうございました。

* * *

新型コロナウイルスのパンデミックで世界的に暗い1年であった2021年ですが、宇宙開発という面からみると、将来につながるような大きな発展が見受けられました。

7月、民間宇宙企業のヴァージン・ギャラクティックブルーオリジンが相次いで初の民間人を乗せた試験有人宇宙飛行に成功しました。これは、民間企業が一般の人を乗せて宇宙飛行を行う、いわゆる「商業宇宙飛行」あるいは「宇宙旅行」にとっての画期的かつ大きなステップでした。これまで何年も、民間宇宙飛行の実現が叫ばれながらもズルズルと先延ばしになってきていたのです。
この2つの飛行、そしてスペースXなども実施している有人飛行などが、今年以降定常的かつ安全に実施されていけば、有人宇宙飛行へのハードルが劇的に下がると期待されます。
民間人の宇宙飛行という意味では、前澤友作さんが12月にソユーズ宇宙船でISSに赴いたことも大きな話題となりました。宇宙への敷居が少しずつ、また確実に下がり始めています。

月・惑星探査の分野でも着実な前進がみられました。
2月には2020年に打ち上げられた3機の火星探査機がいずれも無事に火星に到着しました。この中には、初の火星探査となるインドとアラブ首長国連邦(UAE)の探査機が含まれます。3機とも2021年末現在順調に稼働しています。特に中国の天問1号は、中国初の火星探査機ながら、周回・着陸・ローバーのフルセットであり、それらをすべて成功させました。ここでも中国が持つ月・惑星探査レベルの高さが示された形です。
10〜11月には、アメリカの小惑星探査機が2機、相次いで打ち上げられました。10月に打ち上げられたルーシーは、初の木星のトロヤ群探査を目指す探査機であり、太陽系のごく初期の頃の物質がそのまま残っている小惑星を探査できるのではないかという期待が高まっています。また、11月に打ち上げられたダートは、小惑星の地球衝突問題に焦点を当てたはじめての探査機であり、その探査の成果が注目されます。
月探査については、アルテミス計画をはじめ、いろいろな計画で進捗がありました。ただ、11月22日を目指していたアルテミス1の打ち上げは延期となり、現在2022年春頃の打ち上げが有力視されています。
JAXAでも12月に宇宙飛行士の公募が始まりましたが、岸田首相がつい先日の宇宙開発戦略会議で述べたように、2020年代後半には日本人宇宙飛行士の月面着陸を目指すという、日本政府としての方針が示されました。現在募集中の宇宙飛行士はまさに「アルテミス世代」として月面探査に関わる可能性が非常に高いといえます。月探査は日本にとっても日本人にとっても他人事ではなく、いろいろな意味で自分たちのこととして考えなければならない時代となってきました。

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2022年の宇宙開発、そして月・惑星探査はどのようになるでしょうか。

2022年は、2年に一度やってくる火星探査機打ち上げの好機です。ただ、現時点で打ち上げが予定されているのは、2020年の打ち上げが延期されたヨーロッパとロシア共同の探査機「エクソマーズ」だけです。この2022年のミッションでは、ヨーロッパ(ヨーロッパ宇宙機関=ESA)が開発した初の火星ローバー「ロザリンド・フランクリン」と、ロシアが開発した着陸モジュールが打ち上げられます。打ち上げは秋(9月〜10月)が予定されています。

小惑星探査については、新たな打ち上げ機として「サイキ」が予定されています。サイキは、金属質の小惑星「プシケ」の探査を目指すもので、8月に打ち上げ予定です。金属質小惑星はこれまで近接探査されたことがないだけに、科学的な発見も大いに期待されます。また、金属質小惑星は宇宙資源という観点からも重要で、サイキがもたらすデータは将来の宇宙資源採掘に大きな影響を与えるかも知れません。
また、昨年打ち上げられたダートは、9月にいよいよ、小惑星への衝突実験を行います。この実験の結果は、将来、小惑星の地球衝突問題の解決にも活かせるかも知れません。また、数年後にはこの衝突実験の跡を探査する探査機も打ち上げられる予定です。

そして、やはり気になるのは、月探査でしょう。
延期されたアルテミス1は春にも打ち上げとのことですが、こちらもNASAからはまだ正式なアナウンスがありません。すでにSLSと宇宙船は完成しているだけに、諸々の問題を解決し、1日も早い打ち上げを迎えることを期待したいと思います。ただ、そのためには安全の確保が絶対条件であり、拙速な打ち上げだけは絶対に避けて欲しいものです。
また、同じNASAによる民間ベースの月輸送プログラム「商業月輸送プログラム」(CLPS: Commercial Lunar Payload System)も、今年からいよいよ本格化します。最初の打ち上げは2022年当初とされていますが、こちらも現時点で日程のアナウンスはありません。第1回の輸送はアストロボティック社のローバーとなっており、これに同乗する形で、日本の超小型ローバー「YAOKI」が打ち上げられます。成功すれば、はじめて月面に到達する日本の探査機となるだけに、大きな注目をしていきたいところです。
民間ベースの月探査は、今年中に日本の宇宙ベンチャー企業「アイスペース」もHAKUTO-Rの打ち上げを予定しています。今年打ち上げの探査機は月着陸機です。来年にはローバーも打ち上げ、月面探査を本格化させる予定です。
この他にも、7月には韓国初の月探査機「韓国極周回月探査機」(KPLO)が、第3四半期(7〜9月)にはインドの月探査機「チャンドラヤーン3」がそれぞれ打ち上げられる予定で、世界が官民揃って月探査に本格的に挑む年になります。
そのような中で、日本としての月探査の意味付けをどう行っていくのか、また国民に対してこの巨額のプロジェクトの意義をどのように説明していくのかも問われていくことになりそうです。

* * *

さて、昨年は編集長(寺薗)にとって落ち着かない1年となりました。
2020年12月の転職で一旦は落ち着きを取り戻すという期待もありましたが、半年強での退職というまさかの事態に直面し、そのために自身の合同会社(月探査情報ステーションの運営を中心事業とした合同会社)の強化を急遽行わなければならず、引っ越しの片付けもままならないまま、会社の各種手続きに忙殺されるという状況でした。2021年末現在でもまだこの混乱は続いており、引っ越し荷物が家の中でまだ開封されていないままになっているという状況は1年前とそう大きく変わっていません。
また、打ち続くコロナ禍は講演やイベントの中止、あるいは制限という形でも影響を与えてきました。

それでも、期せずしてではありますが、私自身が人生の目標としていた「アウトリーチで飯を食う」、すなわち、月・惑星探査の広報・普及啓発で食べていくということが実現することになりました。もちろん、食べていくための十分なお金をまだ払えない状況ではありますが、私自身、これがライフワークであったのだということを改めて認識しています。
今年は会社としてしっかりとした収益を上げ、経営そのものや経営基盤を安定させ、本格的に事業としてのウェブ運営を軌道に乗せていくことが必要です。
また、コロナ禍の状況を見据えながらではありますが、講演やイベントも積極的に再開していきたいと思います。幸い、年明けより少しずつ講演などのお話をいただいております。リアルとバーチャル、両方を組み合わせながら、月・惑星探査の広報・普及啓発を図っていきたいと思います。

月探査情報ステーションは、合同会社の事業のコアとなるものです。このサイトを構築する過程で入手した情報や培われた知識、さらには研究者とのネットワークが、事業として活きてきています。
ここ数年、私自身の多忙もあって、月探査情報ステーションに力を入れていくことが難しくなってきています。月探査情報ステーションが弱くなることは本業が弱くなることでもあります。かといって今までのやり方では強化が難しいこともわかってきています。人を入れるにしても、これまでのテイストを活かしながら進めていく必要があります。数年来、あるいは10年近くにわたって続いている課題ではありますが、立場も状況も変わったいまこそ、ここにドラスティックに手を入れていくことが可能になっているかも知れません。
皆さまからもお知恵を拝借しつつ、新しい、あるいは現代にあった形での情報発信を模索していきたいと思います。

本年も月探査情報ステーションをご愛顧・ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年1月2日
月探査情報ステーション 編集長
合同会社ムーン・アンド・プラネッツ 代表社員
寺薗 淳也

 

2022年1月2日(日)|Categories: 月探査情報ステーション|

小惑星探査機「ダート」のページに「探査の概要」を追加しました

明日(24日)打ち上げが予定されている小惑星探査機「ダート」のページに、「探査の概要」を追加しました。
これまではトップページとトピックスだけでしたが、探査についてわかりやすく解説したページが加わったことで、さらにダートについての理解を深められるかと思います。打ち上げの前に(もちろん、打ち上げ後にも)ぜひお役立てください。

なお、ダートのトップページにも、明日の打ち上げに備えて速報ページを加えるなど、更新を行いました。

2021年11月23日(火)|Categories: 最新情報|

月探査情報ステーションは満23年を迎えました

本日11月2日、月探査情報ステーションは23回目の誕生日を迎えました。1998年11月2日の誕生以来、23年の月日が流れたことになります。

1998年当時、本サイトは、当時の宇宙開発事業団、文部省宇宙科学研究所などが主催する「インターネットシンポジウム ふたたび月へ」というサイトでした(現名称になったのは2000年11月より)。そのサイトの目的は、当時開発が進められていた日本の月探査衛星「かぐや」(当時の名称は「SELENE」=セレーネ)をより多くの方に知ってもらうことでした。ただ、単に探査機開発についての情報だけを掲載するのでは誰の目も惹きません。そのため、日本人が古来から月に特別な感情を抱いていたことに着目し、「月と月探査の情報」(この場合にはSELENEの情報となりますが)を掲載し、多くの人に月探査だけでなく、月そのものに対しても知ってもらおう…そのような思いと共にサイトをスタートさせました。

あれから23年。「月」探査情報ステーションが扱う範囲は大幅に広がり、月探査だけでなく、火星探査惑星探査全般へと進歩しました。つい先日の小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げも、打ち上げから衛星分離、太陽電池パネル展開までを、サイト及びツイッターで随時お伝えするなど、月・惑星探査の今を伝えようという動きは今も変わらずサイトの根幹をなしています。

今年は私にとって、人生が大変大きく動いた年でした。
2020年11月に、長年勤めた会津大学を退職し、情報通信研究機構に移籍、しかし7ヶ月後の6月末で退職し、その後は自分自身の合同会社で生計を立てていく道を選択し、まさに月探査情報ステーションを根幹とした「(月・惑星探査)アウトリーチで食べていく」人生の実践を行うことになりました。
しかし、言うは易く行うは難し、生活を維持していけるだけの収入を得ることはなかなか難しい状況です。

そのような状況であっても、人生ではじめて、月・惑星探査アウトリーチに全力を投球できるという今の状況は、何者にも代えがたい幸せな時間となっています。
もちろん、上記のような生活面をはじめ心配なことは多数あります。しかし、23年間突っ走ってきた自分自身を見つめ直したとき、いまやるべきこと、今後なすべきことが、次第にみえてきた感じがします。
それは、自分自身が落ち着いて考えることができる時間が、少しずつでも持てるようになったこととも関係していると思います。

折しも、国際共同の有人月探査計画「アルテミス計画」が進んでいます。来年2月には1号機「アルテミス1」の打ち上げが行われます。アルテミス1は無人とはいえ、2024年に予定されている有人月探査に向けた重要なステップになります。23年前「ふたたび月へ」というスローガンを掲げて誕生したウェブサイトが、再び人類が月に赴く姿を解説し、速報する、そのような時代がいま目の前に来つつあります。
そして、アルテミス計画には日本も参加しています。いつかこのサイトで、日本人宇宙飛行士の月面着陸の様子を実況するときが来るかも知れません。
それは、100年来ともされるパンデミックに見舞われた私たち人類にとっても大きな希望の火となるに違いありません。

23年間実績と情報を積み重ねてきたこと、その間、「正しく」「すばやく」「わかりやすく」という方針をブレずに貫いてきたこと。月探査情報ステーションの大きな価値は、そこにこそあるのだと思います。それをこれからも愚直に貫いていくこと、私にとってはそれこそが求められていることであり、またすべきことであると認識しています。

そして、このサイトをきっかけとして始まった月・惑星探査アウトリーチというライフワークをどう発展させていくか、それがまた私にとっての新たな、大きな目標となりました。私としてはその目標を楽しく、しかししっかりと追いかけていくことで、日本という国の宇宙開発がより大きく進み、未来の世代が当たり前のように宇宙を目指す世界を作る、その役に立てればと思っています。

今後とも、月探査情報ステーションを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

2021年11月2日

月探査情報ステーション 編集長
合同会社ムーン・アンド・プラネッツ 代表社員
寺薗 淳也

2021年11月2日(火)|Categories: お知らせ|

小惑星探査機「ルーシー」のページを更新しました

昨日(10月16日)の小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げを受けまして、ルーシーのトップページ、及び「探査の概要」のページを、打ち上げ後の最新情報に更新しました。

2021年10月17日(日)|Categories: 最新情報|

NASA、木星のトロヤ群小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げに成功

NASAは10月16日、木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」を打ち上げました。打ち上げは成功し、ルーシーはこれから12年にわたる長旅に出発しました。

ルーシー打ち上げの航跡

木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」の打ち上げ。ロケット打ち上げから2分30秒にわたって露出を行って撮影され、ロケットの航跡がきれいにみえている。打ち上げはアトラスVロケットが使用され、成功した。
Photo: NASA/Bill Ingalls

ルーシーの打ち上げは現地時間(アメリカ東部夏時間)2021年10月16日午前5時34分(日本時間では同日午後6時34分)、アメリカ・フロリダ州のケープカナベラレル打ち上げ基地から、アトラスV 401ロケットで行われました。打ち上げ後約58分でロケットから探査機が分離され、打ち上げは成功しました。
その後、太陽電池パネルの展開にも成功し、ルーシーは自分自身が発電する電力で探査機として動作し、まさに「独り立ち」したというわけです。
午前6時40分(アメリカ東部夏時間。日本時間では午後7時40分)にはルーシーからの最初の信号が送信されました。

現在ルーシーは太陽を回る軌道にいます(人工惑星となっています)。
このあと、2022年には一度地球に戻り、地球の引力で探査機自身を加速される「地球スイングバイ」を行います。そこで速度をましていよいよトロヤ群小惑星へと向かいます。
その途上、2025年ころには、火星と木星の間にある小惑星帯を飛行、その途中で、この探査機が「ルーシー」と名付けられた理由を作った科学者の名前にちなんで名付けられた小惑星「ドナルドヨハンソン」をフライバイ探査します。

目的地となる木星のトロヤ群小惑星に到達するのは2027年。トロヤ群小惑星は2つのグループに分かれますが、そのうち1つ目のグループ「L4」にある5つの小惑星に連続してフライバイ探査を実施します。
このあと一旦地球公転軌道付近まで戻って2031年にもう一度地球スイングバイを実施、さらにもう1つのトロヤ群小惑星のグループ「L5」に向かい、ここにある2つの小惑星を同じくフライバイ探査します。木星のトロヤ群小惑星を7つ、小惑星帯の小惑星を1つ、合計で8つの小惑星を1つのミッションで探査するという意欲的な計画です。

全ての探査が終了するのは2033年とされています。これから12年間をかけて、ルーシーは太陽系を「股にかける」壮大な旅へと向かいます。

ルーシーが探査するのは、木星のトロヤ群小惑星です。

トロヤ群小惑星は、惑星の公転軌道の上に位置している小惑星です。惑星の前方60度及び後方60度に位置しています。
この惑星の前方及び後方60度は、太陽と惑星との引力が釣り合い、天体が安定して存在できる場所です。このように重力が釣り合って安定している点を「ラグランジュ点」といいますが、トロヤ群小惑星はそのうち「L4」(前方60度)と「L5」(後方60度)という2つのポイントに存在します。
なお、一般的にただ「トロヤ群小惑星」という場合には、数が最も多くかつ最初に発見された、木星のトロヤ群小惑星を差します。しかし、トロヤ群小惑星自体は木星だけではなく、天王星や海王星、さらには地球にすら存在します。

なお、この「トロヤ群小惑星」という名前ですが、これは1906年にはじめて発見された木星のトロヤ群小惑星の名前が、トロヤ戦争の勇者にちなんだ「アキレス」と命名されたことから来ています。

木星のトロヤ群小惑星はトロヤ群小惑星の中でも群を抜いて数が多く、L4とL5で合計1万個を超えます。L4がそのうち3分の2近くを占めています。

木星のトロヤ群小惑星

木星のトロヤ群小惑星の状況を示したアニメーション。右上は日付。もっとも外側の円は木星の公転軌道。その上にあるオレンジ色の点が木星、その60度前方と60度後方に密集している緑色の点がトロヤ群小惑星。
出典: https://www.nasa.gov/mission_pages/lucy/overview/index、Photo: Astronomical Institute of CAS/Petr Scheirich (used with permission)

木星のトロヤ群小惑星は重力的に安定していることから、小惑星がそこから逃れることなく、太陽系形成期からそのまま存在していると考えられています。すなわち、木星のトロヤ群小惑星は「太陽系の化石」ともいえる存在なのです。太陽系ができた頃の物質がまさにそのまま「閉じ込められている」といってもよいでしょう。

今回この探査機の名前となった「ルーシー」は、1974年に発見された、300万年以上前のものとされる猿人の骨です。全身のかなりの部分の骨格が見つかったこの人骨は、人類の大きな特徴である直立二足歩行を行っていることが確認され、まさに人類の祖先、最初の人類の骨ともいえる存在でした。
今回のミッションは、太陽系の「祖先」、太陽系ができた頃の物質を探しに行くということで、まさにこの「ルーシー」の名前がふさわしいものとなっています。

なお、この人骨を発見したチームの一員であったのが、当時ケースウェスタンリザーブ大学准教授であった人類学者、ドナルド・ヨハンソン氏でした。

ドナルド・ヨハンソン氏はこの「ルーシー」の打ち上げにも招かれていました。

ルーシー打ち上げについて、NASAのビル・ネルソン長官は「ルーシーは、科学と探査のために宇宙へと向かい、宇宙と私たちの地球の理解を深めるという、NASAのあくなき探求を具現化したものといえます。このミッションによってどのような謎が解き明かされるのか、待ち切れません。」と述べ、この大胆で冒険的なミッションへの期待を述べています。

NASAの副長官であり、科学ミッション部門長であるトーマス・ザブーチェン氏は、「このミッションは、私がNASAの仕事に就いてからわずか数カ月後の2017年に、私自身としてはじめて承認したミッションです。ですから今回の打ち上げは、またそのときに戻ってきたような瞬間といえたでしょう。ルーシーはまさに発見のミッションであり、謎に包まれた木星のトロヤ群小惑星の理解を進め、太陽系の初期の進化や形成についての謎を明らかにしてくれるでしょう。」と述べています。ザブーチェンさんはNASAの月・惑星探査では必ず出てくる方ですが、その方にとっても印象深いミッションだったのかと思います。

ルーシーのプロジェクトマネージャーであり、NASAゴダード宇宙飛行センターのドニヤ・ダグラス-ブラッドショー氏は、「今日はルーシーにとって信じられないほど素晴らしいマイルストーンだ。ルーシーが行ってくれるであろう大発見で、謎が解明されることを楽しみにしている。」と述べています。

テキサス州サンアントニオに本拠を置き、月・惑星探査にも積極的に関与しているサウスウェスト研究所(SwRI)に所属するルーシーの主任科学者、ハル・レビソン氏は、「私たちがルーシーの概念検討を開始したのは2014年の早期だったので、ここまで来るのには長い道のりでした。この先、最初の木星のトロヤ群小惑星に到達するにはまだ数年かかりますが、その計り知れない科学的な価値を考えれば、それだけ待つ価値はあろうかというものです。木星のトロヤ群小惑星は、まさに空に浮かぶダイヤモンドのようなものです。」と述べています。宝石ではないにしても、それは科学者にとって、宝石以上の価値を持つものなのでしょう。

この先、ルーシーの旅は長く続きますが、これまで人類が到達したことがない天体へ向かうという旅にはワクワクさせられます。
ルーシーがどのような発見を成し遂げ、それが私たちの太陽系の理解、さらには生命の誕生などの理解に貢献するのか、楽しみにしたいと思います。
まさに「冒険は始まったばかり」といえるでしょう。

2021年10月17日(日)|Categories: ルーシー|