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前澤友作氏、月に一緒に行く「パートナーの女性」を募集

「あの」前澤友作さんが、また新たなことを始めたようです。
今度はなんと、「月に一緒に行く」女性を募集するのだそうです。

すでに皆様ご存知の通りですが、前澤友作氏は2018年秋、アメリカのスペースX社が開発するロケット及び宇宙船を使い、2023年に月飛行を行うと発表しました。月飛行とは、月に着陸するのではなく、月の周りを回って帰ってくるという飛行ですが、もし実現すれば、アポロ17号で1972年に月に最後に人類が行って以来、月周辺に51年ぶりに人類がふたたび赴くことになります。
その後昨年秋には創業者として立ち上げた会社であるZOZOをYahoo!(Zホールディングス)に売却、自身は月飛行に向けての準備に専念すると発表していました。

今回、前澤氏が発表した企画は、この2023年の月飛行に「一緒に行ってくれる」人生のパートナーを募集するというものです。
実はこの募集、下のページをみるとわかる通り、インターネット放送局「AbemaTV」のドキュメンタリー(リアリティ番組)「FULL MOON LOVERS」の企画のようです。
募集しているのは前澤氏のお見合い相手で、「20歳以上の独身女性」「宇宙渡航およびその準備に参加する興味のある方」など、6つの条件がついています。
募集はインターネット(下記ウェブページからリンクされています)を通じて行い、1月17日午前10時締め切り。その後、1月下旬には東京及び大阪で選考を開始、2月中旬には前澤氏とのお見合いデート、3月中旬には特別デートとステップアップしていき、3月末までにはパートナーを決定するという段取りになっています。実質2ヶ月ちょっとでパートナーが決まるということで、かなりのハイペースです。

前澤氏は下記ページの中で、忙しい社長業などの中で一人の女性を愛し続けるということができなかったと述べ、『「人生のパートナー」を見つけたい。そしてその未来のパートナーと共に、宇宙から愛を叫びたい、世界平和を叫びたい。』と、今回のお見合い企画に賭ける抱負を述べています。

さて、前澤氏のお見合いの成否はとりあえず置くとして、「宇宙開発(宇宙探査)とリアリティ番組」というと、編集長(寺薗)が思い出すのは、「片道火星飛行計画」として有名になったマーズ・ワン計画です。
マーズ・ワン計画は、有人火星飛行計画ではあるのですが、その大きな特徴は「火星に行ったまま帰ってこない」というものです。戻るからこそ大型の宇宙船・大型のロケットが必要になる、それならば現地にとどまるとすればより早く有人火星飛行を実現できるのではないか、という大胆(というより無茶)な発想に基づいた計画でした。

マーズ・ワン計画は、もちろんそれでも費用は必要となります。その費用の捻出方法として計画実施者が表明していた方法が、この片道火星有人飛行に加わる人たちの選考や訓練の過程を記録し、リアリティドキュメンタリーとして放送し、その放送権料をプロジェクト費用に充当するというものでした。
いくら全世界で放送するとしたとしても、番組で稼げる費用で火星飛行の費用が賄えるとは到底思えなかったのですが、プロジェクト実施者は真剣にそう唱えていたのです。その後、このマーズ・ワン計画についてはいろいろなスキャンダルが明らかになり、昨年には実施主体のマーズ・ワン社が破産するというニュースが入ってきました。その後音沙汰がないところをみると、計画は破綻したのでしょう。

今回の企画とマーズ・ワンの話とを直接結びつけることはできませんが、実施まであと3年となると月飛行計画そのものの進捗もそろそろ気になるところです。ともかくもまずは、リアリティ番組という形を取るのであれ、前澤氏が生涯のパートナーとめぐり逢い、それをきっかけに月飛行計画にも弾みをつけて欲しい、と願うものです。

 

2020年1月14日(火)|Categories: 月探査 (ブログ)|

はやぶさ2、地球帰還後に再び小惑星へ、金星フライバイも – 共同通信報道

共同通信は9日、小惑星探査機「はやぶさ2」が、今年末に予定されている地球帰還後に、再び小惑星探査を行うことを検討していると報じました。

人工クレーターにタッチダウンする「はやぶさ2」

「はやぶさ2」に搭載された衝突装置によって形成されたクレーターにタッチダウンする「はやぶさ2」の想像図 (出典: JAXAデジタルアーカイブス、© 池下章裕)

記事によると、プロジェクトチームでは現在、地球に帰還し、帰還カプセルを切り離したあとの「はやぶさ2」本体について、軌道を替えて再び小惑星観測に向かわせる可能性について検討を行っているとしており、近く対象天体について公表する見込みと報じています。

先代「はやぶさ」は、地球帰還の際に、帰還カプセルだけではなく本体も地球大気圏に突入し、燃え尽きました。多くの人が感動の涙を流したあの燃え尽きる際の明るい光ですが、本来の予定では本体まで大気圏に突入することはありませんでした。しかし、ミッションの途中で制御用の燃料をすべて失い、帰還カプセルを地球帰還軌道に投入するために、本体ごと「突っ込まざるを得なかった」のです。

転じて今回の「はやぶさ2」。ミッション全体は至極順調で、このまま行けば今回はカプセルだけを地球に戻せる予定です。
そうなれば制御用や推進用の燃料にまだ残りが生じます。そこで、記事によると、ミッションチームでは帰還カプセル切り離し後、まだ順調な本体を使用して次の探査に向かわせることを検討しているとのことです。

記事によれば、探査先としては火星と木星の間にある小惑星帯の小惑星を狙うことも可能だそうですが、観測機器や太陽電池の能力なども考え(すでに探査機は打ち上げてから6年以上経過しています)、リュウグウと同様、地球付近の小惑星(地球近傍小惑星)を狙うことを検討しているようです。すでに候補となる354個の天体を抽出しており、その中から科学的価値や到達可能性などを考慮して目的地を選定するようです。

なお、記事で気になる言葉が一つありました。「金星へのスイングバイ」です。上記の354個の小惑星という数値は、実はこの金星へのスイングバイを前提とした数値です。
記事では、2024年に金星へのスイングバイ、2029年に到達可能な小惑星について検討を進めているとあります。また、金星へのスイングバイの際には搭載機器で金星の観測を実施し、いま金星で観測を続けている探査機「あかつき」の観測結果との比較も行うとのことです。

さらに、記事では「小惑星への着陸を含む接近探査」を検討しているという内容がありました。燃料に余裕があれば、サンプル回収(地球へのサンプルリターン)はできないものの、着陸は可能ですから、挑戦する価値は大いにあるでしょう。もし実現すれば、小惑星に複数回着陸した世界初の探査機ということになります。

実は、今回の記事は、編集長(寺薗)が独自に掴んでいた情報(内容はいえませんが)とも合致する部分があります。もともと、「はやぶさ2」が地球帰還後別の小惑星、あるいは天体の探査を行う可能性については、これまでもしばしば言及されてきました。プロジェクトチーム内からもその可能性には言及がありました。
ただ、今回のように「金星をスイングバイし、10年以内に到達可能な小惑星に向かい、可能なら着陸も検討する」という具体的な内容が出てきたのははじめてのことです。

ここまで具体的な内容について検討されていることが記事となった以上、プロジェクトチームからも近いうちに何らかの発表があるかも知れません。ワクワクしながら見守りたいと思います。もちろん、しっかりと地球に帰還カプセルを届けることが、大きな前提ではありますが。

2020年1月10日(金)|Categories: はやぶさ2|

中秋の名月のFAQ及び関連ページを更新しました

月探査情報ステーションで最もアクセスが多いページ、中秋の名月のFAQ「今年の中秋の名月はいつですか?」のページを更新しました。
今年(2020年)の中秋の名月は、10月1日(木曜日)です。

合わせて、Q&Aの「資料室」にある中秋の名月の日付のうち、21世紀の過去分、及び21世紀の将来分(2030年まで)も、最新の情報に更新しました。

2020年1月6日(月)|Categories: 最新情報|

2020年、編集長より新年のごあいさつ

皆様、新年あけましておめでとうございます。
旧年中は月探査情報ステーションをご愛顧いただきまして、ありがとうございました。

昨年の今日、1月1日は、ニューホライズンズによる史上初のカイパーベルト天体「アロコス」(当時の名称は「ウルティマ・トゥーレ」)へのフライバイで盛り上がりました。日本では正月3月日はお休みで正月気分となりますが、その翌々日、3日には中国の月探査機「嫦娥4号」がこれまた史上初の月の裏側への着陸に成功、昨年の正月3が日は月・惑星探査の大ニュースが次々に入ることになりました。

しかし、なんといっても昨年の月・惑星探査のニュースを盛り上げたのは「はやぶさ2」の活躍であったといえるでしょう。
2月に第1回のタッチダウンに成功、4月には先代「はやぶさ」にはなかった衝突装置の運用に成功、7月にはその衝突装置によって作られたクレーターの近くへの第2回タッチダウンに成功と、まさにありとあらゆることがパーフェクトに進んだといってよいミッションでした。先代「はやぶさ」にかかわってきた編集長にとっては隔世の感を感じると共に、先代があったからこそこのパーフェクトな成功があったのだと、自らに言い聞かせる部分も少しあります。

そして、月探査をめぐる情勢も目まぐるしく変わりました。
5月、アメリカ・NASAは新たな有人月探査計画「アルテミス計画」を発表しました。2024年までにアメリカ人を月に送り届け、初の女性の月着陸を成し遂げるという計画です。もちろんその後には、長期滞在型の月面基地という動きも出てくるでしょう。
これに呼応して、日本は10月にこのアルテミス計画に参加することを発表しました。これは日米同盟維持という観点から発表された、いわば政治的な側面の強い決定ではありますが、今後必要とされる費用の問題など、懸案は全て今年以降に先送りされた形となっています。
何よりも、アルテミス計画そのものが計画通り進められるかどうかすら予測できません。計画自体がアメリカの政治的な産物の色合いが濃いだけに、今後のアメリカの政局次第では計画が大きく揺れ動き、最悪の場合停止してしまう可能性もないとはいえないでしょう。

月に関しては、アメリカ以外、さらには民間部門の動きも目立ちました。
2月にはイスラエルの月探査機「べレシート」が月に向けて打ち上げられ、4月に着陸の予定でしたが失敗、月面に激突したとみられています。7月にはインドとしては2機目となる月探査機「チャンドラヤーン2」が打ち上げられ、9月はじめに月に到達しましたが、月面着陸機・ローバーは月面に激突し、失敗してしまいました。相次ぐ月面着陸の失敗は、月が「そう甘くはない」天体であることを示しています。2021年度に月着陸を予定し、その後そのインドと共に月極地探査を予定している日本としても人ごとではありません。
一方、民間部門での月への動きは着実に加速しています。アメリカではブルーオリジンが月着陸船「ブルームーン」を発表。ライバルとなるアストロボティック社でも月着陸船の開発が進んでいます。
日本ではアイスペースが月探査計画を着実に進める一方、ダイモンが新たに小型月ローバー「ヤオキ」の開発を表明、前述のアストロボティック社の月面着陸機に搭載することを発表しました。
月に限らず宇宙ベンチャーの勃興が著しかった2019年は「民間宇宙開発元年」と振り返られることになるかも知れません。しかし、その勢いが持続するためには、長期にわたる宇宙開発ビジョンや、官民挙げてのサポートなど、一時の勢いで終わらせないための多段の工夫が必要になるでしょう。

***

2020年。新たな年の始まりというだけではなく、2020年代という新たな10年代の始まりでもあります。
2010年代の始まりは、初代「はやぶさ」の帰還でスタートしたといってもよいでしょう。これがやがて「はやぶさ2」へとつながり、あメリカの「オサイレス・レックス(オシリス・レックス)」を含めた小惑星探査の勃興へとつながりました。2020年代は、もし今のまま進むのであれば、有人月探査、そして民間月探査の時代となっていくと考えられますが、一方で中国の月探査の動きにも留意する必要があります。

今年、2020年における月・惑星探査としては、年の終わりになりますが、なんといっても「はやぶさ2」の帰還が大きなイベントとして挙げられると思います。先代の帰還から10年、今回は微粒子レベルではなく、かなり大量のサンプルを地球に持ち帰ってくると期待されます。帰還だけではなく、その先のサンプル分析などの動向も期待したいところです。
一方、「はやぶさ2」は帰還カプセルを切り離したあと、軌道を変更し、新たな探査に出ることが想定されています。その探査先がどこになるのか、またどのような探査を行うのか、この点についても注目です。

今年は2年に一度の火星探査の打ち上げ好機です。前回、2018年の打ち上げ好機では「インサイト」1機しか打ち上げられませんでしたが、今年は7月から9月にかけて4機もの火星探査機の打ち上げが計画されています。1年に4機もの火星探査機が打ち上げられるのは史上はじめてとなります。
アメリカの大型火星ローバー「マーズ2020」、アラブ首長国連邦(UAE)が開発し、日本のH-IIAロケットで打ち上げられる「アル・アマル」、2016年に先行周回機・着陸実証機が打ち上げられたヨーロッパとロシア共同の火星探査計画「エクソマーズ」、そしてまだ情報が少ない、中国の火星探査機。これらが約2ヶ月の間に次々に火星へと向かうのです。
2020年代の火星探査についてはまだ計画があまり多く出ていません。しかし、いろいろな情報を総合すると、今後は火星からのサンプルリターンが主になると考えられます。実際、マーズ2020は、その後のサンプルリターンを想定した探査になっています。
日本も2024年度の打ち上げを目指して、火星衛星探査機MMXの開発を進めています。MMXは火星衛星からのサンプルリターンを目指しています。

そして、大きな動きが続きそうなのが月探査です。
アメリカのアルテミス計画をはじめとした月探査計画は今年も進んでいきそうです。今年は特に、「アルテミス1」と名付けられた、NASAの有人宇宙船「オライオン」(オリオン)の打ち上げが待ち構えています。NASAが10年以上もかけて開発してきたオライオンと、スペース・ローンチ・システム(SLS)の組み合わせが、実際に月という天体に向かうことができるかどうか、これがいよいよ本番として試されることになります(但し、無人ですが)。その進捗次第では計画の今後を左右する可能性もあります。
NASAだけではなく、民間企業による月へのアプローチも今年以上に盛んになってくるでしょう。また、JAXAのスリム計画など、各種月探査計画の進捗も楽しみです。
ただ、これらには多くの不確定要因があります。現在月探査を推進しているアメリカのトランプ政権は、2020年、大統領選挙という試練を迎えます。再選についてはいろいろな予測がありますが、再選されなかった場合に月探査が今後どのようになっていくのかも気をつけてみていかなければなりません。
民間企業による月探査についても、景気の動向に大きく左右されます。一部では「ベンチャー疲れ」という言葉も聞こえてくるようになってきました。これまでの宇宙ベンチャー企業の勢いが持続できるかどうかも試されることになるでしょう。
さらに、中国の動向も気になります。今年は、中国初の無人サンプルリターン探査機「嫦娥5号」の打ち上げが予定されています。昨年、世界初の月の裏側への着陸を成功させた中国は、着実に月への歩みを進めています。サンプルリターン探査機の打ち上げに成功すれば、その先にある有人月探査についても何らかの動きをみせてくるかも知れません。ただ、これも米中対立などによる経済の悪化などが影を差してくる可能性があります。

***

2020年もまた、月・惑星探査の話題には事欠かない1年になりそうです。

月探査情報ステーション、そして編集長(寺薗)にとって、昨年は決してよい年とはいえませんでした。
21年目となる昨年は、本業の多忙に加え、体調を崩してしまい、更新が滞ってしまいました。特に6月には1ヶ月の休養を余儀なくされる事態にまで陥りました。ここ数年、書籍出版などを契機として、講演やイベントの依頼が多く、加えて本業である大学の仕事が増加の一途をたどっていることから、全てを達成しようとして体と精神に大きな無理がかかってしまったようです。

7月以降は体調を回復させつつ、無理をせず運営を行ってきましたが、結局「無理をせず」は「最低限」と同義となってしまい、やはり頻繁な更新を行えませんでした。
私としても、記事やサイトの更新は、自分自身の知識を更新していく作業の一環でもありますので、更新が低調に推移するということは、自分自身の知識が追いつかないということでもあります。そのような意味で、自分の中にも欲求不満はたまっていますが、それを解消しようとして無理をすればまた同じことになります。

皆様にもなかなか最新の記事、あるいは月・惑星探査の最新情報をお届けできず、大変申し訳ないと思っておりますが、上記のような事情もあり、自分自身の問題の全体的な解決をみるまでは、しばらくの間どうぞご猶予をいただければと思います。
私自身にとっても、月・惑星探査の情報、そして魅力をより多くの方にわかりやすく(そしてできればすばやく)お伝えしていくことはライフワークであると思っております。本業や他の仕事との両立を模索しながら、今年も月探査情報ステーションをしっかりと運営していきたいと考えております。

本年も月探査情報ステーションをご愛顧いただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年1月1日
月探査情報ステーション 編集長
合同会社ムーン・アンド・プラネッツ 代表社員
寺薗 淳也

2020年1月1日(水)|Categories: 月探査情報ステーション|

新しいイベント情報を追加しました

イベント情報に、2月1日〜2日に行われる、あぶくまロマンチック街道2020年冬のツアーの情報を追加しました。
毎年夏と冬に行われる恒例のツアーですが、今回の冬ツアーは、いつもの天文講座・星空観望に、編集長(寺薗)に加え、新たに編集長の盟友でもある杉中慎氏が加わります。
ぜひ皆様、奮ってご参加下さい(オンラインでは参加申し込みができません。申し込み方法は上記ページをご参照下さい)。

2019年12月26日(木)|Categories: 最新情報|