昨日は前編として、1〜6月の月・惑星探査の話題をまとめました。
本日は後編として、7〜12月の月・惑星探査の話題を振り返ります。

【7月】
探査自体に大きな動きはなかったのですが、これまでの月・惑星探査の成果が出てくる月でした。
ブラウン大学の研究者により、月にこれまで予想されていたよりも多くの水が存在する可能性が指摘されました。水の存在は、今後の有人月探査におけるポイントにもなりますので、かなり期待される話題になりそうです。
また、金星探査機「あかつき」の初の観測データセットの公開がありました。
はやぶさ2」に関する機器開発や初期の科学的成果についての多数の論文公開もありました。

【8月】
冥王星を探査した「ニューホライズンズ」が次の目的地(2019年1月1日接近予定)としているカイパーベルト天体「2014 MU69」の不思議な素顔が明らかになりました。どうやらこの天体、2つの天体からなるというかなり珍しいもののようです。
また、日本の月探査機「スリム」の打ち上げが、当初予定されていたイプシロンロケットからH-IIAロケットに変更され、天文衛星「ひとみ」の後継機と一緒に打ち上げられることになりました。そのため、打ち上げが1年延期され、2020年度となりました。

【9月】
9月はなんといっても、土星探査機カッシーニのミッションの最後「グランドフィナーレ」が大きな話題でした。一般のテレビや新聞などのニュースとしても取り上げられたので、多くの方が目にしたのではないでしょうか。9月15日、カッシーニは土星大気に突入、打ち上げから20年、土星到着から13年にわたるミッションを完了しました。
その他の話題としては、中国の火星探査の話題があります。2020年に打ち上げが予定され、2030年頃にはサンプルリターンも計画されているとのことです。

【10月】
日本の月探査機「かぐや」が発見した月の縦穴。その縦穴周辺に大きな地下空間が広がっていることが明らかになりました。このような巨大な地下空間は、将来の月面基地の候補地として大いに期待されます。
また、中国の火星探査の話題も引き続き報じられ、2020年後から開始されることが伝わってきています。

【11月】
宇宙メディアspace.comが、ロシア富豪などによる土星の衛星エンケラドゥスの探査計画を報じています。実現すれば、民間部門で純粋な科学探査を行う世界初のプロジェクトとして注目されます。
アポロ12号で月に向かったリチャード・ゴードン氏が亡くなりました。ユージン・サーナン氏の死去と共に、アポロ時代がまたさらに遠くなったことを象徴するニュースとなりました。
韓国の月探査が無期延期となる可能性が報道されるなど、月探査に関しては逆風となるニュースが多い月でした。

【12月】
11月の「逆風」が一転して、月探査に関して大きな進展が次々に出てきました。
アメリカのトランプ大統領が、NASAに対して有人月探査を実施するように命令する大統領令に署名しました。一方、NASAが検討している月上空の宇宙ステーション「深宇宙ゲートウェイ」(ディープ・スペース・ゲートウェイ)に日本が参加を検討するというニュースが大きく報じられました。将来の有人月探査が大きく動き出し始めた一方、巨額の費用や技術的な問題など、これから検討すべき課題もまだ多数あります。
無人月探査でも、JAXAがインド宇宙研究機関と月極地域の着陸探査検討を開始するなどの動きが出ています。人類がふたたび月へと動き始める月となったようです。

以上、2017年の月・惑星探査のトピックをまとめました(なお、一部の記事については現時点でも執筆できていないため、リンクを設定しておりません。ご了承ください)。
来年も多くの月・惑星探査の話題を伝えられるよう、編集長も努力してまいります。月探査情報ステーションにどうぞご期待下さい。