以前から中国の火星探査の状況についてはお伝えしてきましたが、さらに新しい情報です。
中国科学院重大科学技術任務局の徐帆江副局長は、20日から3日間にわたって開催された第3回北京月・深宇宙探査国際フォーラムにおいて、中国の火星探査が2020年前後に開始されると発言しました。新華社の報道を元に人民網日本語版が伝えています。

これまでお伝えしてきた内容とも整合性があるもので、ものすごく新しい情報というわけではありませんが、この「前後」というのがクセモノです。
ご存じの方も多いかと思いますが、火星探査は地球からいつでも出発できるわけではありません。火星と地球との位置関係(お互いに太陽の周りを公転しているが、速度が違うため、互いに離れたり近づいたりする)から、火星探査の出発のチャンスは約2年に1回となっています。
次のチャンスは2018年で、この年にはアメリカの火星探査機「インサイト」が打ち上げられる予定です。
その次のチャンスとなる2020年は火星探査機の打ち上げラッシュで、アメリカの「マーズ2020」、アラブ首長国連邦(UAE)の「アル・アマル」(打ち上げは日本のH-IIAロケットを使用)、ヨーロッパとロシア共同の「エクソマーズ」の第2弾(ローバー・着陸機)の打ち上げが予定されています。スペースX社による無人火星探査機打ち上げも予定されています。
次の2022年は今のところ決定した打ち上げはありませんが、日本のMMX探査機がひょっとすると打ち上げになるかもしれません(2024年打ち上げが濃厚とみられます)。
2020年「前後」ということは、来年(2018年)ということはまずありえないと思いますので、ズバリ2020年、あるいは2022年ではないかと考えられます。

これまでお伝えしてきた通り、中国の火星探査計画は、周回機6機、ローバー・着陸機7台という大変豪華なもので、火星の表層や大気、気象などを詳細に調査することになるとみられています。なお、この陣容の探査機を一度に打ち上げるのかどうかはわかっていません。

徐局長は、中国の月探査計画「嫦娥計画」が計画開始(2004年)からわずか3年で第1号機の打ち上げにまで進めることができたことを講演で強調したようですが、これは火星探査も同様に開発を急速に進めることを暗示しているようです。
仮に嫦娥計画と同様、計画開始から3年で打ち上げにこぎつけられるとすれば、2020年の打ち上げ好機に間に合うことになります。

中国は月探査、火星探査、さらに遠方の天体への探査など、次々に深宇宙探査計画を打ち出しています。科学技術への投資がそれだけ手厚いということであるのでしょう。この火星探査がどのように、どのくらいのスピードで進んでいくのかは引き続き注目していきたいと思います。