中国の月探査機。サンプルリターンを実施。2020年12月に打ち上げられ、月からのサンプルリターンに成功した。

【追記あり】嫦娥5号で採取された月サンプルの配布開始

昨年12月に月からのサンプル採取を実施した中国の月探査機「嫦娥5号」について、中国国家航天局は12日、サンプル採取の第1弾を開始したと発表しました。 嫦娥5号のサンプル引き渡し第1弾を記念したセレモニー。壇上の参加者が持つ赤い冊子は配布されたサンプルの目録と思われる。Copyright: © CNSA https://www.youtube.com/watch?v=_KRpXCDW7ng 嫦娥5号は世界で3カ国目(アメリカ、旧ソ連に次ぐ)となる月からのサンプルリターンに成功しました。回収したサンプルの総量は1.7キログラムを超えます。これらのサンプルに関しては科学的な研究のために、研究機関への配布が行われることが告知されていました。 人民網日本語版によると、教育部(日本の省に相当)、工業・情報化部(以下同)、自然資源部(以下同)、中国科学院、原子力工業集団、航天科技集団など23の科学研究機関から85件もの申請があったとのことです。今回の配布は、これらの申請から審査を通った13科学機関の31件の申請が認められ、配布が行われました。配布されたサンプルの総量は17.4764グラムで、これは回収されたサンプルのおよそ100分の1ということになります。 中国中央テレビの報道では、サンプルの様子なども映されています。樹脂で固められて円筒状(ケーキのような形)となった月サンプルや、容器に小分けされた岩、あるいは石などが映されています。おそらくそれぞれが(厳密に分量などが測られた上で)研究機関へ配布されたのではないかと思われます。 [...]

By |2023-07-10T10:01:16+09:002021年7月14日|嫦娥5号|【追記あり】嫦娥5号で採取された月サンプルの配布開始 はコメントを受け付けていません

嫦娥5号の飛行プランが明らかに

今年11月30日に打ち上げられるとみられる中国初の月無人サンプルリターン機「嫦娥5号」。ここのところ情報が多数出てきていますが、今度は打ち上げからカプセル帰還までのシナリオが明らかになりました。人民網日本語版が伝えています。 記事そのままというのはあまりいいものではないのですが、この記事から、箇条書きに直した形で飛行の様子をたどっていきましょう。  打ち上げ(おそらく海南宇宙センターから)。重さは打ち上げ時に8トン以上。  月トランスファー軌道(月遷移軌道。地球から月へ向かう軌道)を飛行。途中に軌道修正。  月周辺で逆噴射し、月周回軌道に投入される。  月周回中に、月に着陸する着陸・上昇モジュールと、月を周回する軌道・帰還モジュールの2つに分離。  着陸・上昇モジュールを分離。予定地点に向けて軌道を変更し、減速、着陸。  着陸・上昇モジュールは、着陸地点においてサンプル回収を実施。  サンプル回収終了後、上昇モジュールが月面から上昇(着陸モジュールはそのまま月面に残る)。  上空で、上昇モジュールは月を周回していた軌道・帰還モジュールとドッキング。 [...]

By |2023-07-10T10:01:35+09:002017年6月15日|嫦娥5号|0 Comments

嫦娥5号の打ち上げは11月30日か?…ロシアメディア「スプートニク」が伝える

昨日、中国の嫦娥5号の着陸場所が月のリュムケル山という場所であることをお伝えしたばかりですが、間髪を入れずまた重要な情報が入ってきました。嫦娥5号の打ち上げ日が11月30日であるというものです。 この情報は、ロシアメディア「スプートニク」が(日本語と英語で)伝えています。 スプートニクは、中国国家航天局(CNSA)の国際協力部門長であるXu Yansong氏の話として伝えています。 これまで、嫦娥5号の打ち上げは「2017年年末」とされてきましたが、具体的な日付がいよいよ出てきました。11月30日ですから、これまでいわれてきた「年末」という表現と大きな矛盾はありません。 また着陸点の情報も公開されました。いよいよ中国は、月周回、月着陸に続く第3のステップ「月サンプルリターン」へ、最終ステップを進み始めたようです。 スプートニク日本語版の該当記事 https://jp.sputniknews.com/science/201706083729738/ スプートニク英語版の該当記事 https://sputniknews.com/asia/201706071054384653-china-space-program/ [...]

By |2023-07-10T10:01:36+09:002017年6月8日|嫦娥5号|0 Comments

嫦娥5号の着陸点は月の表側の「リュムケル山」に…上海日報が報道

中国の新聞「上海日報」が、今年末打ち上げ予定の中国初のサンプル・リターン機「嫦娥5号」の着陸点が月の表側の「リュムケル山」に決定した、と報じています。 月面から帰還モジュール部分が離陸する、嫦娥5号の想像図。(出典: 新華社) リュムケル山 (Mons Rümker) は月の表側のやや北側、「嵐の大洋」の北西の端のあたりにあります。位置としては北緯41度、西経58度(月経度では302度)という位置にあります。 直径が約70キロメートルもある溶岩ドーム(火山)です。高さは約1100メートル、周囲はかなり切り立った崖となっています。 [...]

By |2023-07-10T10:01:36+09:002017年6月7日|嫦娥5号|0 Comments

嫦娥5号、8月にも打ち上げ場所へ移動、11月末に打ち上げ予定

このところ月探査関係の話題が多いですが、中国の月探査機「嫦娥5号」についての話題も入ってきました。 中国はいまちょうど、政治協商会議という大きな政治的な会議の時期で、それに合わせた国家的プロジェクトの発表が多くなっています。当然その中には、月探査なども含まれるというわけです。 この会議の席で、今年(2017年)打ち上げ予定の月探査機「嫦娥5号」が、8月にも打ち上げ場所である海南省の文昌衛星発射場に移動することになったとの発表がありました。人民網日本語版が伝えています。 さらに、打ち上げは11月末になるとのことです。 嫦娥5号は、中国がはじめて月からのサンプルリターン(試料回収)を行う探査機です。すべての工程は無人で行われ、地球の打ち上げからサンプル回収までは約1ヶ月を見込んでいます。 今回政治協商会議で発表を行ったのは、中国の月探査の総指揮を執る葉培建氏です。彼は全国協商委員の肩書も持っており、その席での発表はまさにふさわしいものであったといえるでしょう。 今回の嫦娥5号は、これまで中国が打ち上げてきた3機の月探査機に比べるとはるかに複雑なミッションになることが予想されます。そのため、早めに打ち上げ場所に移動し、しっかりと最終試験を行ったうえでの打ち上げを目指すようです。なお、嫦娥5号自体はすでにほぼすべての大型試験(重要な試験という意味でしょうか)を完了しているそうです。 海南省にある文昌衛星発射場は、中国でいちばん南に位置するロケット打ち上げ場所です。一般に、ロケットの打ち上げは南であればあるほど有利であることはご存じの方も多いでしょう。日本でも種子島に打ち上げ場があるのはそのような理由です。文昌衛星発射場は海南島のいちばん東にあり、東方向への打ち上げも有利です。 中国で最も新しいこの衛星発射場は2007年に建設許可がおり、昨年(2016年)には中国最大のロケット、長征7号の打ち上げに成功しました。基本的にこの文昌衛星発射場は、大型ロケットの打ち上げをメインに行っていくようです。今回の嫦娥5号も、中国の大型ロケット、長征5号を使用します。 今回早期に打ち上げ場所に運びこむ理由として、葉氏は衛星の複雑さを挙げています。 [...]

By |2017-03-11T21:59:57+09:002017年3月6日|嫦娥5号|0 Comments
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