中国の新聞「上海日報」が、今年末打ち上げ予定の中国初のサンプル・リターン機「嫦娥5号」の着陸点が月の表側の「リュムケル山」に決定した、と報じています。

嫦娥5号の想像図

月面から帰還モジュール部分が離陸する、嫦娥5号の想像図。(出典: 新華社)

リュムケル山 (Mons Rümker) は月の表側のやや北側、「嵐の大洋」の北西の端のあたりにあります。位置としては北緯41度、西経58度(月経度では302度)という位置にあります。
直径が約70キロメートルもある溶岩ドーム(火山)です。高さは約1100メートル、周囲はかなり切り立った崖となっています。

アポロ15号により撮影されたリュムケル山

アポロ15号により撮影されたリュムケル山。原画のNASAにおける分類番号はAS15-92-13252HR。本画像はWikipedia英語版よりダウンロードした。

記事では場所の詳細については述べていません。
嵐の大洋の中でもあり、また火山でもありますので、おそらく採取される岩石は海の岩石、玄武岩になるかと思われます。
また、着陸という点では山のように険しい地形は危険が高く、また中国のミッションでは最初のミッションは安全性を重視しますので、おそらく山そのものではなく、このリュムケル山周辺の嵐の大洋のどこかに着陸するのではないかと考えられます。

上のアポロ15号の写真をみると、リュムケル山は大きく目立ちますが、その周辺は比較的なだらかな場所も存在します。このような場所を選んで着陸、サンプルリターンを実施すると考えられます。
さらにおそらく、次のサンプルリターン機である嫦娥6号はより挑戦的な場所として、月の高地(陸)のどこかに降りるのではないかと考えられます。高地は海と比較して起伏が大きく、着陸そのものにも困難が伴います。そのため、嫦娥5号ではまず「安全」を重視すると共に海の典型的なサンプルを取得し、嫦娥6号ではより挑戦的に月の高地でのサンプル取得に挑む、というストーリーが考えられます。

さらに、来年打ち上げ予定の嫦娥4号が、史上初の月の裏側への無人着陸を行う、という点も注目されます。
月の裏側は主に高地からなっており、嫦娥4号の着陸地点もこの高地になる可能性があります。そうすると、嫦娥6号は月の裏側の高地からのサンプルリターンを目指す可能性もあります。もちろん実現すればこれも世界初となります。

いずれにしても、まだ嫦娥5号の着陸場所の詳細な情報(座標など)は出てきていません。中国当局からの発表を待ちましょう。