昨年12月に月からのサンプル採取を実施した中国の月探査機「嫦娥5号」について、中国国家航天局は12日、サンプル採取の第1弾を開始したと発表しました。

嫦娥5号サンプル引き渡しセレモニー

嫦娥5号のサンプル引き渡し第1弾を記念したセレモニー。壇上の参加者が持つ赤い冊子は配布されたサンプルの目録と思われる。
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嫦娥5号は世界で3カ国目(アメリカ、旧ソ連に次ぐ)となる月からのサンプルリターンに成功しました。回収したサンプルの総量は1.7キログラムを超えます。これらのサンプルに関しては科学的な研究のために、研究機関への配布が行われることが告知されていました。

人民網日本語版によると、教育部(日本の省に相当)、工業・情報化部(以下同)、自然資源部(以下同)、中国科学院、原子力工業集団、航天科技集団など23の科学研究機関から85件もの申請があったとのことです。今回の配布は、これらの申請から審査を通った13科学機関の31件の申請が認められ、配布が行われました。配布されたサンプルの総量は17.4764グラムで、これは回収されたサンプルのおよそ100分の1ということになります。

中国中央テレビの報道では、サンプルの様子なども映されています。樹脂で固められて円筒状(ケーキのような形)となった月サンプルや、容器に小分けされた岩、あるいは石などが映されています。おそらくそれぞれが(厳密に分量などが測られた上で)研究機関へ配布されたのではないかと思われます。

サンプル配布の審査委員長を務める中国科学院地質・地球物理研究所の朱日祥院士によると、サンプルは旧ソ連やアメリカが月から持ち帰ったものと異なり(場所が異なるのでそれはそうでしょうけど)、「月と惑星の進化、惑星の居住可能性などの新たな認識が生まれるだろう」とのことです。
いずれにしても、これまでとは異なる場所からの月のサンプルが、月についての新たな知見をもたらすことは間違いありません。

国家航天局月探査・宇宙事業センターの裴照宇副センター長によると、配布は今後も続き、次の審査は9月に行われるとのことです。それまでに月サンプルを用いた研究を行いたい研究機関、研究者は申請に向けた準備を行えるかと思います。なお、海外への配布については言及されていません(まずは国内機関優先かとは思われます)。

【7月14日午後6時30分追記】宇宙開発のエキスパートであるレオナード・デービッド氏による、本件を紹介したブログ記事、及びこの記事の中で紹介されている中国中央テレビ(CCTV)の英語版のYouTubeビデオ2本を追加しました。