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About 寺薗淳也

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編集長の著書と本サイトをベースにしたプラネタリウム番組の制作が進んでいます

今年(2018年)1月5日に発売された編集長(寺薗)の書籍『夜ふかしするほど面白い「月の話」』(以下「月の話」)と、本サイト(月探査情報ステーション)をベースにしたプラネタリウム番組、その名もずばり『夜ふかしするほど面白い「月の話」』が、現在、島根県のプラネタリウム「島根県立三瓶自然館サヒメル」にて制作が進められています。

「月の話」は、月について多くの方が抱く疑問や質問を、Q&A形式で解説した本です。1月5日にPHP研究所(PHP文庫)より出版されました。多くの方に手軽にお手にとっていただき、お読みいただけるよう、文庫形式で出版しています。
発売以来、書評でも「改めて月について知ることができた」「タイトル通り、面白い」といった評価をいただいています。日本経済新聞の書評欄でも、「最新研究を交えて軽快な語り口で解説していく手並みが鮮やかだ」と、大変好評をいただいております。

月探査情報ステーションについては改めて説明する必要はないかもしれませんが、月と月・惑星探査について解説している日本最大級のウェブサイトであり、20年にわたってこれらの話題を「わかりやすく」「正しく」「すばやく」解説することに努めてまいりました。また、「月の話」は本サイトのQ&Aコーナーがベースとなっており、ここからより一般的な質問を加える形で構成されています。

月は本当に不思議な天体です。月についてはまさに疑問は尽きません。「月はどうやってできたのか」「月はどれくらいの大きさなのか」「月がもしなかったら、地球はどうなってしまうのか」…。疑問には思うけれど、でも誰に聞いていいのかもわからない、そんな月の疑問を、書籍と同様、プラネタリウムではわかりやすく、そしてビジュアルも交えて楽しく解説していきます。

今回のプラネタリウムで月の疑問を解き明かす手助けをしてくださるのは、落語家の立川志ら乃さんです。立川流落語家、真打の志ら乃さんが、本と同様、小気味よく月のふしぎの世界へご案内して下さいます。

プラネタリウム番組の公開は、新春1月2日を予定しております。
皆様ぜひ、三瓶自然館サヒメルにお越しいただき、プラネタリウム番組をお楽しみ下さい。

番組収録中の立川志ら乃さん

プラネタリウム番組集録中の立川志ら乃さん(三瓶自然館サヒメルのウェブサイトより)

2018年12月8日(土)|Categories: お知らせ|

サイト記事更新遅延のおわび

編集長多忙により、10月9日より、月探査情報ステーションの記事更新が停止しておりました。本日より記事更新を再開いたします。

今年は「はやぶさ2」や火星大接近などに関連して講演やイベントの依頼が大変多く、また本業である大学の仕事も多忙であったことから、特にイベントが集中した7〜10月につきましてはページ更新が非常に遅いペースとなってしまっておりました。ことに10月はイベントが集中し、週2回ペースでの講演やイベント、学会などの出張が入る状態でした。
これらが一段落した11月後半も、延期されていた業務などの処理が必要となり、サイトの更新が行えない状況でした。さらに、多忙のため精神的にサイト更新への余裕がなくなってしまうという状態にもなってしまいました。

結果として、2006年の3ヶ月にわたるサイト更新途絶に次ぐ、約2ヶ月にわたる長期のサイト更新中断という状態を招くことになってしまいました。
この間、「はやぶさ2」のローバー着陸や第1回タッチダウン延期、火星探査機「インサイト」の到着、小惑星探査機「オサイレス・レックス(オシリス・レックス)」の到着など、月・惑星探査の大ニュースが続いておりましたが、これらをタイムリーにお伝えすることができませんでした。
ニュースを楽しみにして下さった皆様には大変申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます。

本日、12月7日より、徐々にではありますが更新を再開してまいります。前述の通り精神的な負荷もあり、一気にペースを上げるとまた更新に問題が出てくる可能性もあるため、他の仕事の状況などをみながら少しずつペースを上げ(調整し)、他の仕事に影響を及ぼさないような範囲での更新を続けられるよう、仕事量を見極めてまいります。

また、月探査情報ステーションが月・惑星探査情報のアーカイブとして機能していることから、あとから振り返っても記事内容が時系列的に整合性が取れるよう、記事自体はその状況が発生した時点(例えば、火星探査機「インサイト」着陸であれば11月27日からそれほど離れていない日時)の記事として掲載いたします。このため、実際の掲載日時と記事の日時とに差が発生いたしますが、これにつきましては「最新情報」にて記事更新をお知らせするなど、フォローを行ってまいります。

月探査情報ステーション20周年という最も華やかで活動的であるべきタイミングで、自ら動けなくなってしまうという大変恥ずかしい状況を招いてしまったことを反省し、今後は仕事の分量の見極めやスタッフ雇用などの業務負荷分散策の検討などを総合的に進めていく所存です。
皆様におかれましても、月探査情報ステーションが現在1名のみで行われているという状況にご理解をいただきたく思います。また、本サイトがより発展し、スタッフを雇用して本格的に動けるようになるためには経済的な基盤の強化も必要となりますので、ご寄付などのご支援をぜひお願いできればと思います。

引き続き、月探査情報ステーションをご支援、ご愛顧いただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2018年12月7日
月探査情報ステーション編集長  寺薗 淳也

2018年12月7日(金)|Categories: お知らせ|

火星探査機インサイト、着陸に成功

今年(2018年)5月に打ち上げられた火星探査機インサイトは、約半年の飛行を経て、11月26日、火星に無事着陸しました。火星の地下を調べるという史上初のミッションがいよいよ始まります。インサイトの着陸によって、現在火星で活動中の探査機は合計で9機、そのうち地表で活動する探査機は3機(ローバー2台、着陸機1機)となりました。

火星表面に着陸したインサイト探査機の想像図

火星表面に着陸したインサイト探査機の想像図。手前の丸いものは地震計。(Photo: NASA/JPL-CALTECH)

インサイトは、5月5日に打ち上げられ、火星までの4億8500万キロの旅を経て、火星の赤道付近にあるエリシウム平原に着陸しました。到着の信号は午前11時52分(アメリカ太平洋標準時。日本時間では翌27日の午前4時52分)に地球に到着しました。

今回の到着の信号は、同時に打ち上げられた超小型衛星(キューブサット)である「マーズ・キューブ・ワン」(MarCO)によって中継されました。このキューブサットは2つあり、両者でインサイトの電波の中継を試みました。なお、火星へのキューブサットの打ち上げは史上初となり、それが動作したということも史上初です。MarCOは、インサイトの火星大気圏突入、降下、着陸まで全ての過程を見守りました。
実はこのMarCO、活躍はこれだけで、あとは任務終了となります。たったその瞬間だけの活躍でしたが、任務を立派に果たしたことになります。

「カバンほどの大きさの小さな衛星にとって、これはまさに偉大な第一歩だ。キューブサットには地球外に大きな未来があり、我々はその未知を切り開けたことをうれしく思っている。」(MarCOの開発責任者である、JPLのジョエル・クライェフスキー氏)

到着を喜ぶJPL担当者

インサイト到着を確認し喜ぶ、ジェット推進研究所(JPL)の運用担当者、クリス・ブルボルド氏(左)とサンディ・クラウスナー氏(右)。11月26日、JPLのミッションサポートエリアにて。
(Photo: NASA/Bill Ingalls)

毎度のこととなりますが、火星への着陸は決して簡単なことではありません。
火星には薄いながらも大気があります。通常の火星探査機(着陸するもの)は、この大気との摩擦で減速して着陸するわけですが、うまい角度で大気圏に突入しなければ大気に跳ね返されるリスクがあります。また、軌道をちょっと間違っただけで、大気圏内で燃え尽きたり、逆に原則が不十分で火星の地表に激突してしまうケースもあります。火星への着陸は緊張と危険に満ちています。これを称して「恐怖の7分間」ともいうことがあります。

インサイトのプロジェクトマネージャーのトム・ホフマン氏は、「インサイトは火星大気に時速1万9800キロという高速で突入した。大気圏突入から着陸までは6分半。この間、数十にわたる全ての動作はインサイト自身が自動で行うが、探査機はこれを完璧にこなした。」と、探査機をたたえています。過去うまくいかなかった火星への着陸も多かった中、無事着陸をこなせたということはそれだけでも重要なことなのです。

もちろん、着陸すれば全て終わりというわけではありません。まず着陸したら、自身の電力を確保する必要があります。
インサイトには、特徴的な十角形の太陽電池パネルが2つありますが、着陸後16分後からその展開を開始、さらに16分かけて展開する必要があります。これについては26日中には正常な展開を確認できる予定です。なお、こちらの信号は上空を飛行するNASAの周回探査機「2001マーズ・オデッセイ」が中継して地球に送ってくれます。受信は着陸から約5時間半後の予定です。
「太陽電池によるエネルギーが得られれば、インサイトはいよいよすてきな科学ミッションに取りかかることができる。火星の内部がどうなっているのか、いよいよその謎に徹底的に挑むときが来るのだ。」(ホフマン氏)

インサイトは1週間以内にさっそく科学データを集め始める予定です。ただ、最初はまずは機器が正常に動くかどうかを確かめるのが運用チームの仕事になるようです。着陸後少なくとも2日後には、インサイトに搭載された長さ1.8メートルのロボットアームを動かし、火星の写真を撮影する予定です。

インサイトがはじめて撮影した写真

インサイトがはじめて撮影した写真。これは着陸機下部に取り付けられた機器モニターカメラ (ICC: Instrment Context Camera)によって撮影されたもの。写真の黒いものは火星の砂などがレンズについたもの。おそらく着陸の際に吹き上げられたものと推定される。2018年11月26日撮影。
(Photo: NASA/JPL-Caltech)

もっとも、インサイトはさっそく火星から写真を送ってくれてはいます。これは、探査機の下部に取り付けられたカメラが撮影した火星の地表です。黒く写っているのはカメラの汚れで、おそらく着陸の際に付着した火星表面の砂などではないかと思われます。

火星の地表を撮影するのには理由があります。着陸機がちゃんと火星に降りられたかどうかを確認するためです。信号だけでなく、実際の写真で撮影することが重要というわけです。
(ところで、インサイトのつぶやきは「私」なんですね。最近NASAの探査機のつぶやきが一人称になるケースが増えてきましたが、これ、ひょっとすると「はやぶさ」の影響かも知れません。)

インサイトは火星の内部を調べるため、地震計と熱流量計を使います。内部から伝わる地震波と、内部から伝わる熱の量で、火星の内部がどのようになっているかを調べようというものです。
そこで、そのための機器類…火星地震計(SEIS)と熱流量測定装置(HP3)を設置する必要があります。とりわけ、HP3はドリルで穴を掘って地下に設置する必要があるので、ちょっと大変です。
インサイトの主任研究者であるブルース・バーナード氏は、「着陸はスリリングだったが、今度はドリリングが必要だ」と述べています。
「最初の画像(上記)がやって来たとき、いよいようちらの仕事が始まることになる。まずはどこに科学機器を設置するのかを検討しなくてはならない。2〜3ヶ月をかけて、ロボットアームを使ってSEISとHP3を設置することになる。」(バーナード氏)

インサイトの運用期間は2年間となっており、2020年11月24日までを予定しています。

NASAの探査機を含め、火星への着陸はこれで8回目の成功となります。NASAが目指す有人火星探査にとっても、この成功の積み重ねは非常に重要といえるでしょう。
JPLのマイケル・ワトキンス所長は、「火星への着陸は毎回非常に手強いものだが、今回インサイトがそれを乗り切り、無事火星に着陸したことで、私たちは火星の新たな科学へ進めることになる。また、MarCOが無事機能を果たしたことで、惑星探査への超小型衛星の応用可能性が広がった。今回、非常に特徴的なミッションが実現することに際し、この実現のために能力を捧げ、この日を迎えることに貢献した何百人もの有能な技術者、科学者たちに感謝を伝えたい。」と述べています。

NASAのブライデンスタイン長官は、「今日、私たちは人類として8回目となる火星への着陸に成功した。インサイトは火星の内部を調べることで、多くの科学的な知見を得ることになるだろう。それは宇宙飛行士を月へ、その後火星へと送ることにもつながる。今回の成功はアメリカ、そして協力してくれた国々の技術の証であり、私たちのチームの献身と忍耐の証ともなるものだ。NASAの最良のときはこれからであり、それは間もなくやってくる。」と、来たるべき有人火星探査につながる期待を語っています。

2年にわたる史上初の火星内部構造探査ミッションで、どのようなことが明らかになるのか。これまでの火星探査と全く異なる新たな探査に、大きな期待が集まっています。

2018年11月27日(火)|Categories: インサイト|

オサイレス・レックス(オシリス・レックス)、小惑星ベンヌの画像上の大きさが100ピクセルにまでみえる距離に

小惑星ベンヌに接近中のアメリカの小惑星探査機「オサイレス・レックス(オシリス・レックス)」、ちょっと前の「はやぶさ2」と同じように、次第に目的地ベンヌの姿が大きくなっています。

このほど、小惑星ベンヌの姿が画像上で100ピクセルほどになった写真が公開されました。

距離330キロからみたベンヌ

距離約330キロからみた小惑星ベンヌ。リュウグウそっくりのひし形の形状がはっきりみえてきている。 (Photo: NASA/Goddard/University of Arizona)

 

距離330キロからみたベンヌ(ズーム)

距離約330キロからみたベンヌの写真をズームアップしたもの。
(Photo: NASA/Goddard/University of Arizona)

この写真は距離が約330キロのところから撮影されています。撮影日は10月29日です。
写真は探査機に搭載の複合カメラで撮影されており、写真を取得する約1分間で、ベンヌは1.2度ほど自転しています。
取得した8枚の写真を重ね合わせて高い解像度を得る「スーパー・レゾリューション・アルゴリズム」という手法で、鮮明なベンヌの写真が得られました。画像上ではベンヌは約100ピクセルほどの大きさとなっています。また、上がベンヌの北極になっています。

ベンヌの姿は、まるで「はやぶさ2」の目的地である小惑星リュウグウと見間違えるのではないかというほどよくにたひし形をしています。
地球近傍小惑星、あるいは少なくとも、リュウグウとベンヌが属するC型小惑星が全てこのひし形なのか、なぜこのような形になったのか。まだ100ピクセルで、到着まで1ヶ月以上ありますが、興味と疑問が次々に湧いてきます。

2018年11月1日(木)|Categories: オサイレス・レックス|

ボイジャー2号もいよいよ太陽系を脱出へ

ボイジャー1号に続き、ボイジャー2号も太陽系の縁に近づいてきたようです。
NASAは10月6日、ボイジャー2号が太陽系の端に近づいていると発表しました。ボイジャー2号が捉えた、太陽系の外からやってくる宇宙線の量が増加しているのです。
現時点でボイジャー2号は地球から約177億キロというとてつもない距離を飛行しており、この距離は太陽-地球間の距離の約118倍にあたります。

打ち上げから40年経過し太陽系を飛行中のボイジャー探査機の想像図

打ち上げから40年経過し太陽系を飛行中のボイジャー探査機の想像図 (Photo: NASA)

ボイジャー探査機は1号と2号の2機からなり、いずれも1977年に打ち上げられました。その大きな目的は、外惑星、つまり木星・土星・天王星・海王星の探査です。
ボイジャー1号は木星と土星を、ボイジャー2号は木星・土星・天王星・海王星を探査しました。特に天王星と海王星については、いまだ人類が送った探査機はボイジャー2号だけです。
1989年に海王星の探査を終えたあと、ボイジャー2号は1号と同様、ひたすら太陽系の外へ向けての飛行を続けています。2013年、ボイジャー1号は太陽系を脱出し、現在は恒星間空間を飛行しています。人類が作った人工的な物体が太陽系の外に出たのは、ボイジャー1号がはじめてのことになります。

ボイジャー2号は2007年以来、太陽から吹き付ける電気を帯びた粒子(荷電粒子)である太陽風が届く範囲である「太陽圏」(ヘリオスフェア: heliosphere)の最も外側の部分を飛行しています。このあたりは荷電粒子の泡が広がっている範囲でもあります。
このヘリオスフェアと恒星間空間、すなわち太陽系の外との境目をヘリオポーズ(heliopause)といいます。

ボイジャー探査機とヘリオポーズ

ボイジャー1号・2号の現在位置と、太陽圏(ヘリオスフェア)およびヘリオポーズの模式図。なお、太陽から探査機までの距離など、距離については実際と大きく異なる点に注意が必要である。太陽風の減速が始まる場所が末端衝撃波面(Termination Shock)、そこから太陽風が減速していく領域がヘリオシース(Heliosheath)、太陽風と恒星間空間からの物質が混ざり合うところがヘリオポーズ。ボイジャー1号はすでにヘリオポーズを抜け、恒星間空間を飛行している。Photo: NASA

この8月終わり頃より、ボイジャー2号に搭載されている宇宙線サブシステムが検知する宇宙線の量が、8月初め頃と比べて5パーセントほどの上昇を示しています。また、同じく探査機に搭載されている低エネルギー荷電粒子検出装置も同じような値の上昇を示しています。
2012年に、ボイジャー1号が今回と同じような宇宙線の量の上昇を検知しています。これは、ボイジャー1号がヘリオポーズを通過したと考えられる時期のほぼ3ヶ月ほど前のことでした。

ですが、ボイジャー探査機の運用チームは慎重で、宇宙線の量の上昇は必ずしもヘリオポーズ通過のサインだと断定することはできないと考えています。そもそも、ボイジャー2号は、ヘリオシースと呼ばれる、宇宙線と太陽風が入り混じった領域を現在飛行していますが、ボイジャー1号とは異なる方向を飛行しています。ですから、ボイジャー1号と同様に、「3ヶ月経てばヘリオシース突破」と考えることはできない、というのが探査チームの見方です。
いずれにしても、ボイジャー1号と同様、ボイジャー2号がヘリオポーズへ近づいている、ということは間違いがないようです。

また、ヘリオポーズ自身、太陽活動が活発になる11年周期で、張り出したり縮んだりします。太陽は11年の周期で活発な活動と低調な活動を繰り返していますが、その周期に合わせて太陽風の勢いも変わります。太陽風が活発に(高速に)吹き出すときはヘリオポーズは恒星間空間へと大きく張り出し、逆に勢いが弱いときには「押し込まれて」縮んでしまいます。

今回の量の変化について、ボイジャー計画のプロジェクトマネージャーとして探査機を40年にわたって見守り続けてきたジェット推進研究所(JPL)のエド・ストーン博士は、「私たちはボイジャー2号周辺の環境が何らかの形で変化しているということをみていて、そのこと自体疑う余地はない。今後数カ月間、私たちはいろいろなことを知ることになるだろうが、少なくとも今、(ボイジャー2号が)ヘリオポーズに近づいているかどうかはわからない。間違いなくいえることは…私たちはまだそこ(ヘリオポーズ)までは行っていない、ということである。」と述べ、慎重な見方を示しています。
ただ、今回はボイジャー1号という先例もありますし、どのようなことが起きるかを我々もある程度予測できることから、時間の問題として、いずれはヘリオポーズを越すだろうということは間違いありません。そして、ボイジャー2号がそのヘリオポーズにぐんと近づいているということもまた、確かでしょう。
ボイジャー1号に続き、ボイジャー2号が「人工物体として2番めに太陽系を脱出した物体」となるのか、というより、なるのはいつか、楽しみです。

さて、今回題名に「太陽系脱出」と書きましたが、太陽系の境目を何で定義するかという点については様々な考え方があります。カイパーベルト天体の一部も、このヘリオポーズの外側に出るような軌道を公転しているものがあると推測されますので、必ずしも「ヘリオポーズ=太陽系の境界」とならないということだけは一応ご注意いただければと思います。今回は記事のわかりやすさや、「恒星間空間の物質と太陽系内の物質がせめぎ合うところ」という意味での境目として「太陽系の境目」という言い方をしております。

2018年10月9日(火)|Categories: ボイジャー|