moonstation

About 寺薗淳也

This author has not yet filled in any details.
So far 寺薗淳也 has created 1505 blog entries.

小惑星探査機「ルーシー」のページを更新しました

昨日(10月16日)の小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げを受けまして、ルーシーのトップページ、及び「探査の概要」のページを、打ち上げ後の最新情報に更新しました。

2021年10月17日(日)|Categories: 最新情報|

NASA、木星のトロヤ群小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げに成功

NASAは10月16日、木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」を打ち上げました。打ち上げは成功し、ルーシーはこれから12年にわたる長旅に出発しました。

ルーシー打ち上げの航跡

木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」の打ち上げ。ロケット打ち上げから2分30秒にわたって露出を行って撮影され、ロケットの航跡がきれいにみえている。打ち上げはアトラスVロケットが使用され、成功した。
Photo: NASA/Bill Ingalls

ルーシーの打ち上げは現地時間(アメリカ東部夏時間)2021年10月16日午前5時34分(日本時間では同日午後6時34分)、アメリカ・フロリダ州のケープカナベラレル打ち上げ基地から、アトラスV 401ロケットで行われました。打ち上げ後約58分でロケットから探査機が分離され、打ち上げは成功しました。
その後、太陽電池パネルの展開にも成功し、ルーシーは自分自身が発電する電力で探査機として動作し、まさに「独り立ち」したというわけです。
午前6時40分(アメリカ東部夏時間。日本時間では午後7時40分)にはルーシーからの最初の信号が送信されました。

現在ルーシーは太陽を回る軌道にいます(人工惑星となっています)。
このあと、2022年には一度地球に戻り、地球の引力で探査機自身を加速される「地球スイングバイ」を行います。そこで速度をましていよいよトロヤ群小惑星へと向かいます。
その途上、2025年ころには、火星と木星の間にある小惑星帯を飛行、その途中で、この探査機が「ルーシー」と名付けられた理由を作った科学者の名前にちなんで名付けられた小惑星「ドナルドヨハンソン」をフライバイ探査します。

目的地となる木星のトロヤ群小惑星に到達するのは2027年。トロヤ群小惑星は2つのグループに分かれますが、そのうち1つ目のグループ「L4」にある5つの小惑星に連続してフライバイ探査を実施します。
このあと一旦地球公転軌道付近まで戻って2031年にもう一度地球スイングバイを実施、さらにもう1つのトロヤ群小惑星のグループ「L5」に向かい、ここにある2つの小惑星を同じくフライバイ探査します。木星のトロヤ群小惑星を7つ、小惑星帯の小惑星を1つ、合計で8つの小惑星を1つのミッションで探査するという意欲的な計画です。

全ての探査が終了するのは2033年とされています。これから12年間をかけて、ルーシーは太陽系を「股にかける」壮大な旅へと向かいます。

ルーシーが探査するのは、木星のトロヤ群小惑星です。

トロヤ群小惑星は、惑星の公転軌道の上に位置している小惑星です。惑星の前方60度及び後方60度に位置しています。
この惑星の前方及び後方60度は、太陽と惑星との引力が釣り合い、天体が安定して存在できる場所です。このように重力が釣り合って安定している点を「ラグランジュ点」といいますが、トロヤ群小惑星はそのうち「L4」(前方60度)と「L5」(後方60度)という2つのポイントに存在します。
なお、一般的にただ「トロヤ群小惑星」という場合には、数が最も多くかつ最初に発見された、木星のトロヤ群小惑星を差します。しかし、トロヤ群小惑星自体は木星だけではなく、天王星や海王星、さらには地球にすら存在します。

なお、この「トロヤ群小惑星」という名前ですが、これは1906年にはじめて発見された木星のトロヤ群小惑星の名前が、トロヤ戦争の勇者にちなんだ「アキレス」と命名されたことから来ています。

木星のトロヤ群小惑星はトロヤ群小惑星の中でも群を抜いて数が多く、L4とL5で合計1万個を超えます。L4がそのうち3分の2近くを占めています。

木星のトロヤ群小惑星

木星のトロヤ群小惑星の状況を示したアニメーション。右上は日付。もっとも外側の円は木星の公転軌道。その上にあるオレンジ色の点が木星、その60度前方と60度後方に密集している緑色の点がトロヤ群小惑星。
出典: https://www.nasa.gov/mission_pages/lucy/overview/index、Photo: Astronomical Institute of CAS/Petr Scheirich (used with permission)

木星のトロヤ群小惑星は重力的に安定していることから、小惑星がそこから逃れることなく、太陽系形成期からそのまま存在していると考えられています。すなわち、木星のトロヤ群小惑星は「太陽系の化石」ともいえる存在なのです。太陽系ができた頃の物質がまさにそのまま「閉じ込められている」といってもよいでしょう。

今回この探査機の名前となった「ルーシー」は、1974年に発見された、300万年以上前のものとされる猿人の骨です。全身のかなりの部分の骨格が見つかったこの人骨は、人類の大きな特徴である直立二足歩行を行っていることが確認され、まさに人類の祖先、最初の人類の骨ともいえる存在でした。
今回のミッションは、太陽系の「祖先」、太陽系ができた頃の物質を探しに行くということで、まさにこの「ルーシー」の名前がふさわしいものとなっています。

なお、この人骨を発見したチームの一員であったのが、当時ケースウェスタンリザーブ大学准教授であった人類学者、ドナルド・ヨハンソン氏でした。

ドナルド・ヨハンソン氏はこの「ルーシー」の打ち上げにも招かれていました。

ルーシー打ち上げについて、NASAのビル・ネルソン長官は「ルーシーは、科学と探査のために宇宙へと向かい、宇宙と私たちの地球の理解を深めるという、NASAのあくなき探求を具現化したものといえます。このミッションによってどのような謎が解き明かされるのか、待ち切れません。」と述べ、この大胆で冒険的なミッションへの期待を述べています。

NASAの副長官であり、科学ミッション部門長であるトーマス・ザブーチェン氏は、「このミッションは、私がNASAの仕事に就いてからわずか数カ月後の2017年に、私自身としてはじめて承認したミッションです。ですから今回の打ち上げは、またそのときに戻ってきたような瞬間といえたでしょう。ルーシーはまさに発見のミッションであり、謎に包まれた木星のトロヤ群小惑星の理解を進め、太陽系の初期の進化や形成についての謎を明らかにしてくれるでしょう。」と述べています。ザブーチェンさんはNASAの月・惑星探査では必ず出てくる方ですが、その方にとっても印象深いミッションだったのかと思います。

ルーシーのプロジェクトマネージャーであり、NASAゴダード宇宙飛行センターのドニヤ・ダグラス-ブラッドショー氏は、「今日はルーシーにとって信じられないほど素晴らしいマイルストーンだ。ルーシーが行ってくれるであろう大発見で、謎が解明されることを楽しみにしている。」と述べています。

テキサス州サンアントニオに本拠を置き、月・惑星探査にも積極的に関与しているサウスウェスト研究所(SwRI)に所属するルーシーの主任科学者、ハル・レビソン氏は、「私たちがルーシーの概念検討を開始したのは2014年の早期だったので、ここまで来るのには長い道のりでした。この先、最初の木星のトロヤ群小惑星に到達するにはまだ数年かかりますが、その計り知れない科学的な価値を考えれば、それだけ待つ価値はあろうかというものです。木星のトロヤ群小惑星は、まさに空に浮かぶダイヤモンドのようなものです。」と述べています。宝石ではないにしても、それは科学者にとって、宝石以上の価値を持つものなのでしょう。

この先、ルーシーの旅は長く続きますが、これまで人類が到達したことがない天体へ向かうという旅にはワクワクさせられます。
ルーシーがどのような発見を成し遂げ、それが私たちの太陽系の理解、さらには生命の誕生などの理解に貢献するのか、楽しみにしたいと思います。
まさに「冒険は始まったばかり」といえるでしょう。

2021年10月17日(日)|Categories: ルーシー|

小惑星探査機ルーシーのページを増強・更新しました

この10月16日に打ち上げられる予定の小惑星探査機「ルーシー」のページを一気に増強しました。
新たに「探査の概要」および「探査の諸元」のページを追加し、探査コンテンツがより充実しました。なお、これに伴ってトップページの内容も更新・追加しています。
なお、今回のページ新設及び更新は、本日開催された「東京とびもの学会2021年大会」の会場にて、月探査情報ステーションのブースにおいてお客様の目の前でライブで作成しております。

2021年10月3日(日)|Categories: 最新情報|

昭島市「はやぶさ2」模型展示イベント

昭島市「はやぶさ2」模型展示イベント

9月18日〜19日、東京都昭島市の施設「アキシマエンシス」にて、「はやぶさ2」の模型展示が行われます。
展示される模型は、「日本一精密」と評価が高い武豊(たけとよ)モデル。愛知県武豊町の有志たちが作り上げた、細部まで成功に再現された模型です。そして、場所によっては動いたり光を発したりと、まさに本物そっくりとなっています。

「はやぶさ2」の帰還カプセル展示が始まるこの時期、はやぶさ2について実物大の模型に触れて、改めてその偉業を感じてみてはいかがでしょうか。

アキシマエンシスはやぶさ2模型展示

(上記のポスターをクリック・タップすると、ポスターのPDFファイルが表示されます。会場案内などにご利用下さい。)

イベント概要

  • 日時
    2021年9月18日(土)〜19日(日)
    それぞれ両日とも、午前10時〜午後6時
  • 会場
    アキシマエンシス (東京都昭島市)
    東京都昭島市つつじが丘3-3-15
    (電話) 042-543-1523
  • 会場へのアクセス
    JR青梅線昭島駅北口より徒歩10分
    JR青梅線中神駅北口より徒歩10分
    立川バス 昭21・22・23・24・26系統「昭島市民会館前」徒歩5分
    駐車場は60台分あり(有料)、施設利用の場合は30分まで無料、それ以降は30分〜3時間が100円、その後は1時間あたり100円。開場時間は午前8時30分〜午後10時。
    ※駐車場が満車の際は近隣のコインパーキングなどをご利用下さい。
  • 事前予約
    不要
    ※9月19日に際しては事前整理券配布制を実施します。以下をご参照下さい。
  • 料金
    無料
  • 共催
    昭島市民図書館、まると
  • 後援
    福生市教育委員会、羽村市教育委員会、青梅市教育委員会

【お知らせ (2021年9月19日午前8時更新)】感染防止対策のため、本日(19日)の公開は終日、整理券による事前配布生徒あります。人数に余裕がある場合には整理券なしでお入りいただくことも可能です。感染防止対策のため1部屋あたりの最大人数が30名に制限されているための措置です。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、現下の最大の問題が感染防止対策であることを鑑みまして、ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。

なお、この展示に先駆け、9月6日(月)〜9月14日(火)にかけて、福生市内の小中学校7校にて、本模型の展示が実施されます。学校展示の様子(一部)については月探査情報ステーションブログにてご紹介いたします。

見どころ

愛知県武豊町の有志たちが、「はやぶさ」への愛を原動力として作り上げた実物大模型。
細部まで徹底的に作り込まれた模型は、「はやぶさ2」チームメンバーをも驚嘆させる出来栄え。
しかも、動く模型というのはこの武豊モデルだけです。
全国各地で展示され好評を博していますが、西多摩地区での展示ははじめてです。

  • 金色に輝くボディ…色が違う?
    はやぶさ2の外側を覆う金色の幕は、宇宙空間で強い太陽の光に照らされ、本体が熱くなりすぎないようにするための断熱幕です。ところがこの幕、製作したメーカーによって微妙に色が異なるのです。この模型ではその違いまで再現。ぜひ探してみて下さい。
  • 光るターゲットマーカー!
    小惑星表面に落ちて「はやぶさ2」を導くターゲットマーカー。これは光ることによって本体に着陸点を認識させるのですが、この実物大模型のターゲットマーカーは光を反射して光るのです。どのように着陸に貢献したのかはぜひ生解説で。
  • 光るイオンエンジン!
    宇宙科学研究所の開発チームの協力を得て、イオンエンジンの本物の色合いも再現しています。イオンエンジンってなに?という方はぜひ、会場で。

生解説

会期中、「はやぶさ2」に精通した宇宙開発のプロフェッショナルが、模型を通してはやぶさ2のミッションと実機について語るイベントです。計画の概要から現在の状況、あるいはちょっとしたトリビアまで、10種類以上の内容を用意しています。
動く模型であることを活用して、模型を動かしながら解説も行います。このように模型を動かしての解説は普通は見ることができません。
なお、編集長(寺薗)も解説員として参加します。

<解説員のご紹介>(一部)

  • 寺薗淳也
    元・「はやぶさ」(初代)プロジェクトチーム。はやぶさ2には「先輩」という立場から関わる。月・惑星探査のエキスパート。
  • 金木利憲
    宇宙開発系のフリーランスライターとして、「はやぶさ2」についての取材を数多く行う。現場の状況に精通し、メンバーからの情報も豊富。
  • 鈴木雄大
    東京大学の大学院生として、リュウグウなどの惑星、小天体の研究を行う。

クラウドファンディングご協力のお願い

【2021年9月14日午前11時追記】本クラウドファンディングは9月10日午後11時59分をもちまして終了となりました。おかげさまで、終了時点で58万5946円ものご協力をいただき、本クラウドファンディングは成功いたしました。ご支援いただきました皆様に心からお礼を申し上げます。いただいた資金は、学校巡回展示及び本イベントに十分に活用させていただきます。

本展示を実現させるには、模型の輸送費用、当日のスタッフ人件費、解説動画用の機材費などお金が必要となります。
今回の展示では、その資金の一部をクラウドファンディングで賄うこととしました。
多くの人たち、特に(このコロナ禍で外出もままならない)子どもたちに、実物大模型を通して宇宙開発のすごさ、楽しさを伝えていきたいと考えております。感動を将来につなげたい。そのような思いを持っています。皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

クラウドファンディングイメージ

ご支援頂いた額に応じた返礼をご用意しております。

感染防止策へのご協力

折からの新型コロナウイルス感染拡大を受けまして、本会場でも感染防止策を徹底しながら開催をいたします。皆様のご協力をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 会場内ではマスクをご着用下さい。
  • 手指の消毒などを行って下さい。
  • 人数が多くなりすぎないよう入場人数を制限することがございます。

展示者連絡先

まると 深津貴成
〒197-0003 東京都福生市熊川1035-8
042-848-2245

2021年9月20日(月)|Categories: これまでのイベント|

イベント情報を更新しました

今週末、9月18日(土)〜19日(日)に行われる、昭島市での「はやぶさ2」実物大模型展示について情報を更新しました。
先週金曜日(10日)にて終了したクラウドファンディングについてのご報告を掲載したほか、学校巡回展示についての情報を追加しています。

2021年9月14日(火)|Categories: 最新情報|