秋の月がきれいな理由は、単に心理的な問題だけではなく、いくつかの科学的にみて正当な理由があります。

1つめは、秋の空気が比較的乾いている、もう少し具体的にいうと、空気中の水蒸気量が少ないということです。これによって、大気がぼやけたりすることがあまりないため、くっきりとした月が見えます。逆に夏は水蒸気量が多いため、どうしても少しぼんやりとした月になってしまうことが多いようです。

また、月の高さの問題もあります。月の通り道の関係で、実は月が見える高さは季節によって異なります。冬の月は空高く、夏の月は割と低い位置にあります。
月が低い位置にある場合、地表付近のちりや明かりなどにじゃまされて、きれいにみることができません。また大気によって光が吸収されるため(減光といいます)、低い月はどうしても暗くなってしまいます。
では、高い位置にあれば見やすいかというとそういうわけでもありません。確かに大気の影響は少なく、くっきりとした月にはなるのですが、「見る」という行為からすると、高い位置にある月は見上げるのに結構大変です。そもそも冬の寒い時期に、外で長時間月を眺めるのはかなりつらいことでもあります。

こうしてみると、適度な高さにある春と秋の月が見やすいということになりますが、春はよく「おぼろ月夜」といわれるように、空気中のちりや花粉などが多い季節でもあります(黄砂なども春に多いですね)。そのため、年間でいちばんきれいな月が見える季節は、実は秋という結論になるわけです。

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