まず、その両方がどういう意味を持っているか、調べてみましょう。

三省堂の新国語中辞典を開きますと、この2つの言葉は次のように解説されています。

仲秋…《秋の三ヶ月(七・八・九)の中の意》陰暦八月の別称。なかのあき。
中秋…陰暦八月十五日。「–の名月」

中秋の名月は、陰暦(旧暦)で8月15日、つまり秋の真ん中の日の月のことを指します。従って、陰暦8月15日を示す「中秋」という言葉の方がふさわしいことになります。

仲秋という言葉は、旧暦で8月を示す言葉の1つです。もともと旧暦の月の呼び方の中に、季節の真ん中の月(春なら2月、夏なら5月、秋なら9月、冬なら11月)に「仲」をつけて呼ぶ言葉があります。例えば、「仲春」といえば2月、「仲夏」といえば5月となります。もちろん、「仲冬」という言い方もあり、これは11月を指します。
「名月」という言葉を「満月」と解釈すれば、「仲秋の名月」でも間違いとはいえなくなりますが、もともとの「8月15日の月」という言葉からすると、「仲秋の名月」よりは、「中秋の名月」の方がより正しい、ということがいえると思います。

もっとも、この「仲秋」と「中秋」は、長い歴史の中でだんだん区別されずに使われてきているようにもみえます。「広辞苑」第4版をみてみますと、「中秋」と「仲秋」は同じ言葉として扱われています。


■参考資料

  • 三省堂新国語中辞典、三省堂編修所編、1967
  • 広辞苑第四版、新村出編、岩波書店、1991