NASA、小惑星探査「サイキ」ミッションの2022年打ち上げを断念

NASAは6月25日、今年(2022年8月)に打ち上げられる予定であった小惑星探査ミッション「サイキ」の打ち上げを延期し、2022年中には打ち上げないと発表しました。なお、延期されたあとの具体的な打ち上げ日程は発表されていません。NASAは探査機飛行用ソフトウェア納入の遅れなどが原因としています。 探査目標である小惑星プシケに近づく探査機「サイキ」の想像図Photo: Maxar/ASU/Peter Rubin サイキは、火星と木星の間の小惑星帯にある金属質の小惑星「プシケ」を探査するミッションです。これまで世界中でいくつかの小惑星ミッションが実施されましたが、金属質の小惑星を探査するのは史上初となります。そのため、科学的な面、また小惑星の資源開発という面などから、ミッション成果に期待が集まっていました。 サイキの打ち上げは2022年8月に予定されていましたが、直前になって中止ということになってしまいました。 NASAは原因として、探査機が飛行するために使用するソフトウェア、及び試験装置の納入が遅れているためと説明しています。なお、遅延の理由など詳細についてはプレスリリースでは伝えられていません。打ち上げ可能期間は今年の10月11日までとなっていますが、NASAは、この納入遅延によって、その期間中に必要な試験を完了できないとして、今年中の打ち上げ断念を決定したものです。 今回の「飛行ソフトウェア」は、誘導ナビゲーションのソフトウェアのようです。これは、探査機がプシケへの飛行中、目的地へと正しく導けるようにするためのもので、重要というよりもまさに探査機の根幹をなす不可欠なソフトウェアといえるでしょう。 [...]

By |2023-07-10T10:01:14+09:002022年7月6日|サイキ|NASA、小惑星探査「サイキ」ミッションの2022年打ち上げを断念 はコメントを受け付けていません

「今日の月」にて異なる月齢が表示されていました

月探査情報ステーションの「今日の月」において、3月1日から本日(7日)昼ごろまで、本来の月齢と異なる月齢の月の写真及びイベントが表示されていました。なお、現在は正常に戻っております。 原因は、月齢を記述するデータファイルが3月以降昨年(2021年)のままのデータとなっていたためです。このため、昨年3月1日〜7日の月齢で表示が行われておりました。これを修正して正常化しております。 ご利用の皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

By |2022-03-08T10:16:19+09:002022年3月8日|月探査情報ステーション|「今日の月」にて異なる月齢が表示されていました はコメントを受け付けていません

エクソマーズ、ウクライナへの軍事侵攻の影響で今年の打ち上げは困難 – ヨーロッパ宇宙機関発表

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は2月28日、ロシアと共同で開発を進めてきた火星探査機「エクソマーズ」について、現下の情勢では今年9月の打ち上げは困難であると発表しました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、ついに宇宙開発、さらには月・惑星探査分野にも具体的な影響を及ぼし始めた形です。 エクソマーズ2022で打ち上げが予定されているヨーロッパのローバー「ロザリンド・フランクリン」(手前)と、ロシア製の着陸プラットホーム「カザチョク」(後方)の想像図© ESA/ATG Medialab エクソマーズは、ヨーロッパ(ESA)とロシア(ロスコスモス)が共同で実施する火星探査です。 打ち上げが2段階となっているのが特徴的です。2016年には第1弾の打ち上げが行われ、周回機「微量ガス探査周回機=TGO」と、ヨーロッパの着陸実証機「スキアパレッリ」が打ち上げられました。TGOは火星周回軌道への投入に成功し、2022年3月時点でも探査を継続しています。一方、スキアパレッリは着陸実験に失敗しました。おそらく火星表面に激突したものとみられています。 さらに第2弾は、ヨーロッパが開発したローバー「ロザリンド・フランクリン」と、ロシアが開発した着陸プラットホーム「カザチョク」を載せ、2018年に打ち上げられる予定でした。ところが開発の遅れにより2020年に延期、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響でさらに2年延期され、2022年の打ち上げとなりました。 なお、火星探査機の打ち上げ好機は、火星と地球の公転軌道の関係から、2年に1回やってきます(逆にいうと、2年に1回しかチャンスがなく、そこを逃すと次は2年後となります)。従って、打ち上げ延期が2年毎となっているわけです。 [...]

By |2023-07-10T10:01:14+09:002022年3月3日|エクソマーズ|エクソマーズ、ウクライナへの軍事侵攻の影響で今年の打ち上げは困難 – ヨーロッパ宇宙機関発表 はコメントを受け付けていません

2022年、編集長より新年のごあいさつ

皆様、新年あけましておめでとうございます。 旧年中は月探査情報ステーションをご愛顧いただきまして、ありがとうございました。 * * * 新型コロナウイルスのパンデミックで世界的に暗い1年であった2021年ですが、宇宙開発という面からみると、将来につながるような大きな発展が見受けられました。 7月、民間宇宙企業のヴァージン・ギャラクティックとブルーオリジンが相次いで初の民間人を乗せた試験有人宇宙飛行に成功しました。これは、民間企業が一般の人を乗せて宇宙飛行を行う、いわゆる「商業宇宙飛行」あるいは「宇宙旅行」にとっての画期的かつ大きなステップでした。これまで何年も、民間宇宙飛行の実現が叫ばれながらもズルズルと先延ばしになってきていたのです。 この2つの飛行、そしてスペースXなども実施している有人飛行などが、今年以降定常的かつ安全に実施されていけば、有人宇宙飛行へのハードルが劇的に下がると期待されます。 民間人の宇宙飛行という意味では、前澤友作さんが12月にソユーズ宇宙船でISSに赴いたことも大きな話題となりました。宇宙への敷居が少しずつ、また確実に下がり始めています。 月・惑星探査の分野でも着実な前進がみられました。 2月には2020年に打ち上げられた3機の火星探査機がいずれも無事に火星に到着しました。この中には、初の火星探査となるインドとアラブ首長国連邦(UAE)の探査機が含まれます。3機とも2021年末現在順調に稼働しています。特に中国の天問1号は、中国初の火星探査機ながら、周回・着陸・ローバーのフルセットであり、それらをすべて成功させました。ここでも中国が持つ月・惑星探査レベルの高さが示された形です。 10〜11月には、アメリカの小惑星探査機が2機、相次いで打ち上げられました。10月に打ち上げられたルーシーは、初の木星のトロヤ群探査を目指す探査機であり、太陽系のごく初期の頃の物質がそのまま残っている小惑星を探査できるのではないかという期待が高まっています。また、11月に打ち上げられたダートは、小惑星の地球衝突問題に焦点を当てたはじめての探査機であり、その探査の成果が注目されます。 [...]

By |2022-11-28T16:48:05+09:002022年1月2日|月探査情報ステーション|2022年、編集長より新年のごあいさつ はコメントを受け付けていません

NASA、木星のトロヤ群小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げに成功

NASAは10月16日、木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」を打ち上げました。打ち上げは成功し、ルーシーはこれから12年にわたる長旅に出発しました。 木星のトロヤ群小惑星を探査する探査機「ルーシー」の打ち上げ。ロケット打ち上げから2分30秒にわたって露出を行って撮影され、ロケットの航跡がきれいにみえている。打ち上げはアトラスVロケットが使用され、成功した。Photo: NASA/Bill Ingalls ルーシーの打ち上げは現地時間(アメリカ東部夏時間)2021年10月16日午前5時34分(日本時間では同日午後6時34分)、アメリカ・フロリダ州のケープカナベラレル打ち上げ基地から、アトラスV 401ロケットで行われました。打ち上げ後約58分でロケットから探査機が分離され、打ち上げは成功しました。 その後、太陽電池パネルの展開にも成功し、ルーシーは自分自身が発電する電力で探査機として動作し、まさに「独り立ち」したというわけです。 午前6時40分(アメリカ東部夏時間。日本時間では午後7時40分)にはルーシーからの最初の信号が送信されました。 [...]

By |2023-07-10T10:01:15+09:002021年10月17日|ルーシー|NASA、木星のトロヤ群小惑星探査機「ルーシー」の打ち上げに成功 はコメントを受け付けていません
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