1957年に旧ソ連が最初に人工衛星の打上げに成功したあと、短期間のうちに火星探査の計画が旧ソ連、及びアメリカで進められました。しかし、火星探査機はいつでも打上げられるわけではありません。探査機の打ち上げ機会は、地球と火星の軌道の関係からほぼ26ヶ月ごとにしか来ません。
最初に火星へ向かった探査機は1962年に打ち上げられたソ連のマルス1号です。マルス1号は火星から195,000キロメートルの地点を通過しましたが、その前に通信が途絶し、観測は失敗しました。
以後、ソ連のマルス探査機シリーズ、米国のマリナー探査機シリーズが次々と打ち上げられ、1971年にはマルス3号が最初に火星軟着陸に成功しました。1975年に米国のバイキング探査機が火星に着陸し、3種類の装置を使用して生命の探査が行われましたが、生命の痕跡につながる証拠は発見されませんでした。
バイキングの後しばらく火星探査が中断していましたが、1988年にソ連のフォボス、1992年に米国のマーズ・オブザーバー、1996年にロシアのマルス96、米国のマーズ・グローバル・サーベイヤー、マーズ・パスファインダーが打上げられています。
1998年の火星探査の好機には、アメリカは「マーズ・サーベイヤ98」計画を立ち上げ、マーズ・ポーラ・ランダとマーズ・クライメイト・オービタを打ち上げましたが、両方とも失敗してしまいました。この失敗の影響で、アメリカの火星探査計画も大幅な見直しを余儀なくされました。
見直された火星探査計画に従い、2001年には、2001マーズ・オデッセイ探査機が打ち上げられ、2003年の火星大接近に合わせて、さらにマーズ・エクスプロレーション・ローバー、そしてヨーロッパ初の火星探査機、マーズ・エクスプレスが打ち上げられています。日本の「のぞみ」も残念ながら火星周回はならなかったものの、火星へのフライバイを行い、惑星探査につながる数多くの技術や科学的な成果を修得しました。
2005年の打ち上げ好機にはマーズ・リコネサンス・オービターが打ち上げられました。最高解像度数十センチメートルという驚異的な性能を誇るカメラで、火星の地表を撮影し、火星についての認識を塗り替えつつあります。
2007年の打ち上げ好機には着陸機「フェニックス」が打ち上げられました。火星の極地域に着陸するという意欲的な探査で、掘削によリ、地表下の氷の存在を確かめることができました。
2011年にはマーズ・サイエンス・ラボラトリーが打ち上げられました。重さ1トン近くもある大型ローバー、愛称「キュリオシティ」は、探査名称の通り数多くの分析装置を備えた火星表面の研究室(ラボラトリー)として、火星表面の調査を行っています。
2011年にはロシアのフォボス・グルント、中国の蛍火1号の打ち上げが行われましたが、いずれも失敗しました。
2014年の打ち上げ好機には、インドの火星探査機マンガルヤーンが打ち上げられました。火星周回軌道への投入に成功し、アジア初の火星周回機となりました。また、この年にはアメリカの火星探査機「メイバン」(MAVEN)が打ち上げられました。メイバンは火星大気の調査をメインとする探査機で、火星周回軌道投入がかなわなかった日本の「のぞみ」と目的が似た探査機です。
2016年にはヨーロッパの火星探査機「エクソマーズ」が打ち上げられました。着陸機は失敗したものの、周回期は順調に火星を周回し、火星表面と大気の調査を行っています。
2018年にはアメリカの火星探査機「インサイト」が打ち上げられ、着陸に成功しました。インサイトは火星探査史上はじめて、火星の内部構造を調査することを目的に、火星の地震(火震)を調べることを目的にしています。
2020年は火星探査打ち上げの当たり年となりました。史上始めて、1年に3機もの火星探査機が打ち上がりました。アラブ首長国連邦(UAE)の「アル・アマル」、中国の「天問1号」、そしてアメリカの「マーズ2020」(愛称: パーセビアランス)です。3期はそれぞれ2021年2月に相次いで火星に無事到着、探査を開始しています。


これまで行われた火星探査

現在進行中の探査については「火星探査 〜赤い星への挑戦〜」をご覧ください。

計画されたものの実施されなかった火星探査


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