月の石といっても、なにか特別なものでできているというわけではありません。地球で見かける岩石と、実際のところよく似ています。

月は、大きく海と高地(それぞれ、月の黒っぽい部分と白っぽい部分で代表されます)の2つに分けることができます。
このうち、海を構成しているのは、主に玄武岩と呼ばれている岩石です。この玄武岩は火山岩の一種で、地球でもハワイをはじめ、富士山や三原山などの溶岩がこれにあたります。実際、月の海の岩石は、こういった火山から出てきた溶岩とよく似ています。

いっぽう、高地に多い白っぽい岩は、斜長岩(しゃちょうがん)と呼ばれています。これは、岩石に斜長石と呼ばれる、白い鉱物が大量に含まれていることからその名があります。斜長石自体はそれほど珍しい鉱物ではないのですが、それが多く集まった斜長岩となると、地球上ではそれほど多い地域では見つかりません。
地球上では太古の時代、20~30億年前に多く噴出した火山岩として見つかり、アフリカなどに分布しています。

さて次に、月の石が「何でできているか」について、元素の面からお答えします。月の岩石に最も多く含まれている元素としては、ケイ素と酸素があげられます。ケイ素は半導体にも使われていますし、石英や水晶は二酸化ケイ素(ケイ素と酸素が結合したもの)です。月の海の岩石は、半分以上がこの二酸化ケイ素で占められています。
この二酸化ケイ素は地球上の岩石の主成分でもありますから、ここでも月の岩石は地球の岩石とそれほど大きく違わないことがわかります。
その他には、アルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウム、マンガンなどが、比較的多く(数パーセント~十数パーセントの割合で)含まれているのが一般的です。
その他にも、月の海の岩石には、チタンを多く(20パーセント弱)含むものなども見つかっています。


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