この先予定されている、世界の火星探査についての記事です。
将来火星探査の最新のトピックスにつきましては、将来火星探査トピックスまたは月探査情報ステーションブログをご覧ください。

将来火星探査についての年表

現時点(2018年7月)で判明している火星探査についての打ち上げ時期の年表です。
探査計画名にリンクがあるものは、そのページヘのリンクを示します。
探査計画名にリンクがない場合は本ページに計画の簡単な解説があります。
なお、打ち上げ時期についてはあくまでも現時点での計画に基づくものです。今後、延期、さらには中止される場合もあります。最新の計画進行状況については、月探査情報ステーションブログなどの各種情報をご参照ください。

計画名 打ち上げ時期 打ち上げ計画国
インサイト 2018年5月 ※2年延期
(打ち上げ済み)
アメリカ
マーズ2020 2020年7月 アメリカ
アル・アマル 2020年7月 アラブ首長国連邦(UAE)
天問1号 2020年7月 中国
エクソマーズ 2016年3月14日(打ち上げ済み)
2022年9月 ※4年延期
ヨーロッパ、ロシア
ミーロス計画 2020年代
※中止された模様
日本
火星衛星サンプルリターン計画 (MMX) 2020年代前半 日本
スペースX社の有人火星探査計画 2024年? アメリカ
有人火星探査 2030年代半ば アメリカ

アル・アマル

アル・アマル (Al Amal)は、2015年5月に正式に発表された、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査計画です。
この計画では、2020年7月に探査機を打ち上げ、9ヶ月の飛行の後、2021年に火星に到達する予定です。2020年はUAEの建国50周年にもあたり、それを記念するという意味もあります。
探査機は3方向に突き出た太陽電池パネルが特徴的な形状をしており、重さは打ち上げ時重量で1500キログラムとなっています。観測機器は3種類を搭載します。
打ち上げの目的は、火星大気の科学的な探査となっています。
「アル・アマル」は、アラビア語で「希望」を意味します。


マーズ2020

マーズ2020は、アメリカが開発した火星ローバーで、2011年に打ち上げられ、2020年現在も火星で活躍するローバー「キュリオシティ」の後継機です。
マーズ2020の目的は、火星における水の存在、そして生命の存在の有無を確かめることとなっています。着陸場所は、かつて水が流れていたことがわかっているジェゼロ・クレーターの内部です。
マーズ2020は、キュリオシティの設計を極力流用することで開発期間とコストを抑える一方、自律的な動作などについては性能を飛躍的に向上させ、より広い範囲を探査することが期待されています。
観測装置は火星の表面や大気の観測のための装置が搭載されています。また注目すべきは、将来火星からのサンプルリターンに備え、採取したサンプルを一時的に保管しておく機能を持っていることです。
マーズ2020は、2020年3月に「パーセビアランス」(忍耐、不屈といった意味)という愛称がつけられました。
打ち上げは2020年7月30日に予定されており、2021年2月18日に火星に着陸する予定となっています。


天問1号

天問1号は、中国が開発した火星探査機です。中国が自国のロケットで火星探査機を打ち上げるのははじめてとなります。
天問1号は、周回機・着陸機・ローバーの3つから成り立っています。初の本格的な火星探査でいきなり「フルセット」の探査を行うという意欲的な構成となっています。
「天問」とは、中国の有名な詩人、屈原の詩から取られた名称で、宇宙の真理を探るという意味が込められています。なお、天問は火星探査を含めた今後の中国の惑星探査機につけられる名称となっています。
詳細な探査機の仕様などについては情報が公開されていません。
天問1号は7月下旬に打ち上げられ、2021年の早い時期に火星に到達するとみられています。


将来火星探査計画

日本では、2020年代の実現を目指して、ミーロス(MELOS)計画が検討されています。本計画では、火星の総合的な探査を目指しており、現在、どのような機器を搭載するのかについての検討が行われています。ローバーや着陸機、飛行機など、様々な機器の搭載が検討されています。
また、日本(JAXAなど)は2015年に、火星の衛星からサンプルを持ち帰る計画(火星衛星サンプルリターン計画=MMX: Martian Moons eXploration)の検討を開始しました。これは、火星の衛星(フォボスまたはデイモス)からサンプルを持ち帰るもので(どちらの衛星から、あるいは両方からサンプルを持ち帰るのかはまだ決まっていません)、持ち帰られたサンプルの分析により、火星の衛星の成り立ちや、火星そのものの物質などの解明(火星の衛星の表面には、火星からの物質が付着しているとも考えられています)などが期待されています。この計画は現在科学者などによって精力的に検討が進められており、2020年代前半の打ち上げを目指しています。


有人火星探査

火星探査基地とローバ
火星探査用の基地と、そこから発進する火星面車(ローバー) (NASA)

火星探査は、やはり最後は人間が直接訪れるのが、究極の目標ともいえるでしょう。実際、1989年にはアメリカのブッシュ大統領(当時)が、有人火星探査の検討を開始することを宣言しています。しかし、全体に検討は遅れ気味といえるでしょう。
それでも、NASAなどでは有人火星探査についての検討が進められています。今のところ、火星への往復に要する期間などで、3種類のミッションが検討されています。短期間型のミッションでも400〜650日、エネルギー節約型の長期間ミッションでは900〜1000日に及ぶという、これまでにない長期の有人宇宙探査計画になりそうです。
問題は、この有人火星探査がいつ実現されるかです。今のところ、NASAの火星探査計画の中にも、明確に有人探査計画があるわけではありません。しかし、全ての状況が整えば、早い時期に実現される可能性はあります。多くの技術者や科学者は、早ければ2020年代には、有人火星探査計画が実現するのではないかと考えています。しかし、そのためには、資金ねん出や長期滞在技術など、克服すべき課題がまだまだ山積みになっています。
有人火星探査に最も熱心な国はアメリカです。2004年、当時のブッシュ大統領は、アメリカの新宇宙政策を提示、この中で、目標を明示しないものの、有人火星探査をアメリカの究極の宇宙開発のゴールと設定しました。
この目標に向けて、2006年からは「コンステレーション計画」が始動、まずは月に着陸し、その後火星に向けて探査機を月から打ち上げるというシナリオに基づき、ロケット、宇宙船の開発がスタートしました。
しかし、予算超過やスケジュールの遅れなどが目立ち、開発が順調でなかったことから、次のオバマ大統領の時代(2010年)になって本計画はキャンセルされました。
ただそれでも、アメリカの目標が有人火星探査であることには変わりありません。オバマ大統領のもとで策定された新しいアメリカの宇宙探査計画では、2030年代なかばに有人火星飛行を実現するというビジョンが示されています。また、このために宇宙船やロケットの開発を行うことが示されています。コンステレーション計画のもとで開発されてきた宇宙船「オライオン」の開発は継続され、よリ強力なロケットであるSLS(宇宙輸送システム: Space Launch System)の開発が始まっています。

一方、アメリカ政府以外でもこういった計画を進めている組織があります。はじめて民間人として国際宇宙ステーションに(自分のお金で)滞在した富豪、デニス・チトー氏は「インスピレーション・マーズ」という財団を立ち上げ、2018年に火星への有人飛行を行うとアナウンスしました。しかしその後計画が具体化されたという話はなく、計画は頓挫、あるいは消滅したものとみられます。
オランダに本拠を置く会社が計画する「マーズ・ワン」計画は、2020年代なかばを目標に、火星に数人〜数十人の人間を送り込む計画です。この計画の変わったところは、火星に行ったまま帰ってこない、という計画になっていることです。火星に行った人間は自分自身の力で火星基地を構築し、生きながらえていくことになります。計画自体は野心的ではあるといえるのですが、倫理的な問題に加え、資金調達が困難になっているのではないかという疑惑が頻繁にメディアで指摘されるなど、計画が順調にいっている様子はみえません。
アメリカの宇宙ベンチャー、スペースX社のCEO(最高経営責任者)、イーロン・マスク氏は、2016年9月、2024年に火星に人類を自身のロケットで送り込むという大胆な計画を発表しました。この計画では、スペースX社のロケット「ファルコン9」の大型ロケットを使用し、火星着陸のために特別に開発された宇宙船を使用して人類を火星に着陸させるというものです。これに先立ち、2018年中にスペースX社が無人探査機を打ち上げる予定となっています。ただ、この計画は全体像があまり明らかになっておらず、またロケット打ち上げ失敗や極めて多い衛星打ち上げの停滞状況などからみて、実現を疑問視する声もあります。