太陽系内の天体は、軌道運動力学的(太陽の周りを回る上での力学的な性質)にいくつかの規則性を持っています。
例えば、一つの天体の公転周期と自転周期が簡単な整数比で表される場合があり、そのことを「尽数(じんすう)関係にある」といいます。
尽数関係という言葉は、2つ以上の天体の公転周期などが簡単な整数比で表される場合にも使います。

月の場合には、公転周期と自転周期の比は1:1の尽数関係になっています。つまり、自転周期と公転周期が、まったく同じなのです。
そのため、月は地球に対していつも同じ表側を向けています。
その他に、木星のガリレオ衛星(イオ、エウロパ、カリスト、ガニメデ)もまた公転周期と自転周期が1:1になっています。

このような尽数関係は、すべて潮汐力の結果と考えられています。
たとえば、月の場合、地球の重力によって月はわずかながら変形します。この力は潮の満ち引きを起こす力と同じであって、そのため潮汐力と呼ばれています。
西洋なしのように変形した月が公転周期よりも早く自転していると、地球重力は自転にブレーキをかけるように働きます。逆に月が公転周期よりも遅く自転していると、地球重力は自転に加速をかけるように働きます。
このような力の作用により、最終的に公転と自転が同じ周期を持つ状態に必ず落ち着きます。


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