月自身が回転する、月の自転周期と、月が地球の周りを回る公転周期がほぼ等しく、約27.32日だからです。
太陽系内の天体は、軌道運動力学的にいくつかの規則性を持っています。例えば、一つの天体の公転周期と自転周期が簡単な整数比(例えば1対1,あるいは3対2)で表される場合を尽数(じんすう)関係にあるとといいます。その他にも、2個以上の天体の公転周期が簡単な整数比で表される場合にも尽数関係にあるといいます。
このような関係にある天体は、特に木星や土星の衛星によくみられます。
月の場合には、地球の周りを回る地球−月系の公転周期と自転周期の比は1対1の尽数関係になっています。
なぜこのように自転と公転の周期が同じになったのかについては、まだ科学的にはっきりとした説は出ていません。ただ、多くの科学者は、次のように考えています。
月は、質量の分布が実は少し偏っています。つまり、質量の中心と形の中心はずれているのです。そのため、地球の引力によって、その重い面が引っ張られ、その引力によって、自転の速度が次第に遅くなっていきました。
そして、最終的に、地球に同じ面を向けるような形、つまり自転と公転が一致するところまで自転の速度が落ちたのではないかと考えられています。