まず、公転の定義をはっきりさせておきましょう。
月が太陽の周りを回転することを指す場合には、単に「公転」ということにします。
次に、月が地球の周りを回転することを指す場合には、「地球−月系の公転」ということにします。
はじめに、太陽系形成過程のあらましをみてみましょう。
太陽系は、銀河系内空間に漂うガスと固体微粒子からなる星間雲(地球の雲を想像して下さい)から作られます。
我々の太陽系は、もともと回転していた星間雲が46億年前に収縮を始めました。その結果、中心に太陽が生まれ、太陽の周りにはガスと固体微粒子が円盤状に取り巻いて太陽の周りを回転(公転)しています。固体微粒子は、やがて微惑星という半径10キロメートルほどの惑星の卵に成長します。
微惑星は、互いの重力で引き合うことによって衝突合体し、現在の惑星や衛星になりました。
惑星が作られる過程を通して、もともと星間雲に含まれていた固体微粒子の回転(公転)がそのまま保存されるため、固体微粒子から成長した惑星や衛星は太陽の周りを公転しているのです。
ですから、月の公転も月を作った固体微粒子の公転が保存されたためなのです。
次に、月の月−地球系の公転や月の自転は、月の形成(起源)に関わる重要な問題です。しかし、月がどのようにして形成されたか、よくわかっていないため、現在の月の月ー地球系の公転や自転の起源について詳細に答えることはできません。
月の形成については、次のような仮説が提案されています。
- 月は地球に捕らえられた天体である(捕獲説)
- 月は地球からちぎれて作られた天体である(分裂説)
- 月は地球と一緒に作られた天体である(双子説)
- 火星サイズ の天体と地球との衝突によって作られた天体である(巨大衝突説)
いずれの仮説も一長一短があり、どれが正しいのかは今後の研究を待たなければなりません。
特に、 月形成の仮説を検証する新たな観測結果が待ち望まれています。「かぐや」をはじめとする月探査によって得られたデータの解析が進むことで、月の形成に関する有力な情報が提供されると期待されています。
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