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1998年1月に打ち上げられたルナープロスペクターは、月面にある水素の量を見積もることができる、中性子分光器という装置を搭載していました。水は水素と酸素でできていますから、水素の量を見積もることで、ある程度水の量を知ることができるはずだ、という考え方です。

1998年3月5日、ルナー・プロスペクターが月の南極と北極に大量の水素を発見し、月の両極付近に氷が存在する可能性が高いと発表されました。
それによると、氷が存在すると考えられている地域は、北極で広さ10000~50000平方キロメートル、南極で5000~20000平方キロメートルに及んでおり、クレーターの土の中に0.3~1パーセントの割合で氷が含まれるとすると、氷の総推定量は1000万トン~3億トンと予想されました。
さらに観測と分析を続けたNASAは、1998年9月、この予想を大きく上回る総推定量60億トンの氷が月に存在すると発表しました。

NASAによれば、この60億トンの氷で4万人が100年間暮らせるそうです。
もしも本当にこんなにたくさんの水が月にあるとすれば、将来月面で人間が活動するときにも利用できますし、分解すれば液体酸素・液体水素というロケットの燃料も作り出せます。

しかし、ルナープロスペクターの探査は、あくまで上空からの探査であり、月に実際にどのくらい水が存在するかは、直接確かめる必要があります。
実際にどのくらい水が存在するのか、という点に関し、2009年に打ち上げられたアメリカの探査機「エルクロス」が、月面に激突して、その上記の中の水分子を観測するという手法での探査を実施しました。
その結果、衝突したカベウスクレーター領域には、重量比で5.6パーセント(誤差は上下に2.9パーセント)という、高い比率で氷が含まれていることが明らかになりました。
このような高い比率での水の存在はこれまでの予想を大幅に覆すもので、月面には予想以上に多くの水が存在するのではないか、という期待を抱かせるものとなりました。

ただ、このような大量の水がそもそも月面全体に存在するのか、また、極地域(カベウスクレーターは月の南半球の高緯度地域にあります)全体にまんべんなく存在するものなのか、ということは今後より詳しく調べる必要はあります。
ただ、エルクロス探査により、月に存在する水を利用できるという可能性はさらに大きくなったといえるでしょう。今後は水の取り出し方、輸送方法なども含め、月面基地へ向けての水の利用方法の検討を進める必要があります。


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