サーベイヤー計画は、アポロ計画での有人軟着陸に必要な技術とデータを取得するための無人月探査計画です。1966年5月〜1968年1月の間に、テスト用の1号機を含め7機が打ち上げられました。2号は着陸に失敗し、4号は着陸寸前に通信途絶しましたが、その他は無事に軟着陸に成功しました。また4機は月の厳しい夜の環境にも耐えることができました。
探査機は打上げ時重量が1トン、高さ3.3メートル、直径4.5メートルで、3本足の上に測定機器を載せ、3平方メートルの太陽電池パネルとアンテナを4本持っていました。軟着陸は3.5メートル上空でエンジンを切ってから自由落下するという方法がとられました。
1、3、5、6号機はアポロの着陸候補地であった月の赤道付近の海に降り、どこが着陸に最適であるか各地点のデータをとりました。7号は科学調査のため、ティコ・クレータのそばの高地に降りました。
軟着陸技術を取得のほかに、アポロ宇宙船を設計するために必要な科学的情報が次のように観測されました。
- ● テレビカメラによる観測
- 1ミリメートルの解像度で86000枚以上の写真が撮影されました。この写真によって探査機の近くの月面の様子、クレーターや岩の個数、分布、大きさがわかりました。写真は表面土壌の特性、磁気特性、表面物質の組成調査にも使われました。
- ● 表面の特性
- 表面の特性については、着陸ギアに載っているひずみ計測器や、3号、7号に搭載された表面サンプラーで測定が行われました。また土壌の侵食の様子を観察し、土壌の特性を決定するため、バーニアエンジンとジェットが着陸後に操作され、その様子がテレビカメラで観察されました。
- ● 月面の温度と温度特性
- 表面温度や温度特性を計測する機器はどの探査機にも搭載されていませんでした。しかし、太陽電池パネルに付属した放射温度センサーによってデータが得られました。
- ● 月面の磁気特性
- 5、6、7号機は、磁気特性と土壌の組成を測るために着陸脚に磁石がついていました。磁石に土壌が付着した状態をカメラで観察し、地球で同様の実験を行った場合と比較することで組成が推定できました。
- ● アルファ線散乱化学分析
- 5、6、7号機にはアルファ線散乱装置が搭載されており、6つのサンプルが分析されました。これは初めての月面物質の化学分析です。
サーベイヤー探査機 (写真: NASA)
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サーベイヤ探査機が撮影したティコクレーター付近のパノラマ (写真: NASA)
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■関連ページ
- Surveyor Program – http://www.lpi.usra.edu/expmoon/surveyor/surveyor.html (月惑星研究所: 英語)
- サーベイヤー計画 – 月探査機