月の内部構造は、地球の場合と同じ方法で調べることができます。
そのうちもっとも有効なのは、月の地震波(月の地震を月震といいます)の伝播を調べる方法です。そこで、アポロ計画では月に月震計が設置され、月震の観測が行われました。
これらの月震データから、月内部には、地球ほどはっきりとはしないものの、いくつかの層構造が存在することがわかりました。

表層から深さ60キロメートルまでの層が、月の地殻です。ただし、60キロメートルという地殻の厚さは、地震計の置かれた場所(月の表側の海)の厚さを表すものであって、これが月の地殻の代表的な厚さを表すものではありません。
実際、その他の観測(重力分布等)から、地殻の厚さが場所によって変化していることが推定されています。特に、月の裏側では地殻の厚さが100キロメートル以上もあると考えられている一方、最近の「かぐや」などの観測で、東の海(オリエンタル盆地)では厚さが4キロメートル程度という場所もみつかっています。

深さ60〜300キロメートルの層は、月の上部マントルといわれ、地球の上部マントルに似た組成を持っていると考えられています。
深さ300〜800キロメートルの層は、月の中部マントルといわれ、月をつくった始原物質であると考えれています。

深さ800キロメートル以深の内部構造はよくわかっていません。深さ1300〜1500キロメートルより浅い層は、月の下部マントルで部分的にせよ溶融状態にあると考えられています。それより深い層(すなわち半径400〜200キロメートル)は、核があると考えられています。

最後に、地球との違いをみていきましょう。
地球の表面は厚さ10~30キロメートルくらいの、岩石でできた地殻に覆われています。その下はマントルと呼ばれる、岩石質の厚い層になります。その下は、液体の金属(鉄やニッケル)などでできた外核と呼ばれる部分、その下は同じく金属ですが、固体でできている内核になります。
なお、よく「地球の中心はマグマですか?」という質問を受けますが、地球の中心は内核ですので、マグマ(これは、火山などから噴出する、溶けた岩石の総称になります)ではなく、金属でできていることになります。


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