あります。月にも地震が起こります。
アポロ計画では、月に地震計を持っていって、地震の観測を行いました。その結果、月にも地震があることがわかり、「月震」と名づけられました。英語ではmoonquakeといいます(地震を英語でいうとearthquakeなので、ちょっとした「しゃれ」です)。
月に起きる地震は、大きく分けて4種類になります。
- 深発月震
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月の深いところ(主に深さ800~1100キロメートル)で起こる地震です。規模はマグニチュードでいうと1~2と、地球の地震に比べるとごく小さいものですが、数はもっとも多く起こっています。29.5日周期で起こることなどから、地球と月の引力(潮汐力)に関係して起きると考えられています。
- 浅発月震
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月の比較的浅いところ(300キロメートル付近)で起きていると考えられている月震です。しかし、アポロの7年間にわたる観測でもたった28例しか見つかっていないため、実体は不明です。規模は比較的大きいものです(最大でマグニチュード3~4にも達します)。
- 隕石の衝突
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厳密にいうと月の(内部に起因する)地震とはいえないかも知れませんが、アポロの月震計には多数の隕石の衝突と思われるデータが記録されています。衝突した物体の重さは、500グラム~50キログラム程度と見積もられています。
- 熱月震
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これも地震というには少し小さすぎるのですが、アポロの月震計に記録されていたものです。月面にある岩が、昼と夜の間の温度差に耐えかねて割れるときの音が記録されているものです。地震としてはごくごく小さいものです。
- 人工月震
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アポロ計画の中では、人工的に月に地震を起こして、その波形を観測するということも試みられました。たとえば、アポロ13号は、それ自体は月に到達することはありませんでしたが、不要になったロケットを月面に衝突させ、その振動を月震計で観測するということが行われました。これは実際、アポロ13号が唯一「月面上で」行ったミッションといえるでしょう。その他にも、火薬などを使って月震を起こすことも行われました。
なお、それぞれの月震の数は、次の通りです。
人工月震 | 9 |
深発月震 | 3145 |
隕石の衝突 | 179 |
浅発月震 | 28 |
分類できないもの | 7633 |
合計 | 12558 |
(出典: Nakamura,1982)
■関連ページ
- 月震の部屋 (寺薗淳也のウェブサイト)