月も、おそらく地球のように成層構造をしていると思われます。これは、月のような大きな天体は、できたときにいったん溶けたと思われますので、そのときに重いものは下へ、軽いものは上へと動いて、結果的に物質が分かれてしまうと考えられるからです。
アポロ計画では、月で起きる地震(月震)を使って、月の中がどうなっているかを調べました。地震波がどのように伝わるかによって、月の中の物質がどのようなものなのかを推定しようとしたのです。
その解析の結果、月の中心部には半分溶けた金属の核(コア)が存在すると推定されました。しかし、月震はたいへん小さく、また、地震を観測した地点が表側に限られているなど、観測に不利な条件が多数あったことから、実際にそのようなコアがあるかどうか、またあるとしてどのくらいの直径なのかは、よくわかっていません。
1994年に打ち上げられたアメリカの探査機クレメンタインは、月のまわりを回って探査を続けました。このときの探査機の軌道を詳しく調べて、月の重力がどのようになっているかを図りました。その結果から、月の地殻の厚さを推定することができました。
1998年、アメリカの探査機ルナープロスペクターが打ち上げられました。この衛星の軌道を解析した結果、月の中心部には金属でできた(少なくとも、重い物質でできた)コアがあることはほぼ間違いないようです。コアの大きさは半径200~500キロメートルくらいで、おそらくは半径300キロメートルくらいのコアがあるものと思われます。
また、2011年1月には、アメリカの研究者が、アポロ計画で取得された月震データを再解析することにより、月には外核と内核が存在し、その半径は内核が240キロメートルほどで、外核の半径は330キロほどと推定しています。
また、外核の外側には一部溶けた部分があるという分析も行っており、非常に注目されます。
しかし、このような測定は、間接的に中身を推定しているだけですので、直接調べるためには、実際に月震をより精密に測定し、月の中身を正確に調べることが必要になります。
このような探査は、かつて日本の月探査機、ルナーAで計画されていました。ルナーAでは、地震計を搭載したペネトレーターと呼ばれる探査機を2機月面に激突させ、月の地震を調べ、そのデータから月の中がどうなっているかを調べる計画でしたが、開発の遅延などから2007年に計画は中止されました。
このペネトレーターを、ロシアが2013〜2014年頃に計画しているルナグローブ計画に搭載し、月内部を直接探査しようということも構想されています。
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(月探査情報ステーションブログ)