疑惑
アポロで撮影された写真の中には、月面と背景の山の間に、境目が写っている写真がある。この線は、実は(手前の)セットと(背景の)山の境目で、これは月面の写真が、室内のセットで撮影された証拠ではないか。また、山は背景に描かれた絵なのではないか。
「疑惑」とされる写真の1つ。アポロ17号のミッションにおいて撮影された写真。探査地域を、背後の山をバックに撮影している。この山と手前の月面との間に境目がある、というのだが…。
写真番号: AS17-140-21355、Photo by NASA, 出典: Apollo 17 Digital Picture Libraries in Lunar Surface Journal,
http://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/alsj/a17/images17.html
上の写真から地平線部分を切り取って拡大したもの、ややわかりにくいが、境目があるようにもみえる。
Photo by NASA. 写真は、上記の写真(AS17-140-21355)のうち、背景と山の境目部分を150%に拡大した上で、シャープネス処理を行ったもの。
真実
地球上で地平線を見ても不思議でも何でもないのに、月で地平線を見るとなぜ、「ねつ造写真」になってしまうのでしょうか?
結論から先にいいましょう。これは、月の地平線が見えているのです。
月は地球の4分の1の大きさしかありません。そのため、月面での地平線は、地球に比べて近い位置になります。計算してみますと、月での地平線までの距離は、たった2.35kmしかありません。
従って、何キロ、十数キロ先にある山は、地平線の向こうに見えることになります。
さらに、別の項目でも説明しましたが、月には空気がないために、遠くの山も近くにみえます。そのため、地平線の向こう側に山が見えているにもかかわらず、距離感が全くなくなってしまい、背景の山が間近にみえてしまいます。
そのような写真を見てしまうと、いかにも山が背景に描かれているかのような印象を持ってしまってもおかしくはありません。しかし、よく調べてみますと、月が小さいこと、空気がないことといった、ごく基本的な事実が積み重なった結果でしかないのです。