金星探査機「あかつき」は、4月4日午後4時28分(日本時間)に軌道修正のための噴射を実施しました。
噴射は、本体の姿勢制御用エンジンを利用して、約15秒間にわたって行われました。

今回の軌道修正は、「あかつき」が飛行する軌道を変更することによって、探査機の観測可能日時を延ばすためのものです。
当初の軌道ですと、「あかつき」は800日後には日陰(太陽からみて影の部分)に入ってしまいます。しかもこの日陰はかなり長い時間にわたります。当然、この間は太陽電池での発電はできなくなりますので、探査機のバッテリーを動員して探査機のシステムや観測機を暖めなければならなくなります。ただ、長い時間にわたって発電ができないとなれば、バッテリーを使い切ってしまい、最悪の場合観測機器、さらには探査機が故障してしまうおそれもあります。それでなくても設計寿命を超えている探査機、あまり無理をさせるのはよくありません。

今回の軌道修正によって、「あかつき」が観測できる期間はその800日から2000日程度にまで伸びます。それだけ、日陰による探査機への影響を避けられるとともに、より長い期間観測が行えることにもなるわけです。

「あかつき」はまもなく本格観測に入ります。すでに試験観測でも金星のいろいろな画像(ただ、金星は分厚い大気に覆われているため、どうしてものっぺりした特徴のない画像となりますが)を見せていますが、どのような成果が得られるか、これからが楽しみであると同時に、探査の本番でもあります。