残念ながら、月面車や星条旗がみえる可能性はきわめて低いものと思われます。
「かぐや」に搭載されている月面カメラの解像度は、だいたい1ピクセルあたり10メートルを少し上回るくらいです。つまり、10メートルより若干小さいものが見分けられるという性能を持っています。
一方、アポロの月面車は長さが3.1メートル。星条旗はせいぜい1メートルもないでしょう。従って、これらが明確に写真に写るということはまずないと思われます。
唯一可能性があるとしますと、例えば月面の朝や夕方のように、太陽光が低い角度から照らしている場合です。このようなときには影が長く映るため、何か長い影をたなびかせているものがみえるかも知れませんが、それが月面車や旗なのかまで識別することは難しいと思われます。
最終的に、「かぐや」探査では、アポロの物体を直接映し出す、ということはできませんでした。しかし、アポロ15号の着陸船の噴射跡を発見することはでき、アポロ以来はじめて、またアポロ宇宙船以外でははじめて、アポロ宇宙船の着陸跡を捉えることに成功しています。
さらに、2009年に打ち上げられたアメリカの探査機「ルナー・リコネサンス・オービター」は、「かぐや」を上回る、最大解像度50センチというカメラを搭載しており、アポロ着陸地点を撮影し、過去のアポロ探査機の跡などを次々と捉えています。
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- かぐや よくある質問 (「かぐや」プロジェクトサイト)
- 月周回衛星「かぐや(SELENE)」の地形カメラによるアポロ15号の噴射跡の確認について (JAXAプレスリリース)
- かぐや (月探査情報ステーション)
- ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス (月探査情報ステーション)