実は、太陽系全体で眺めると、必ずしも丸い天体ばかりではないのです。
下の図は、日本の小惑星探査機「はやぶさ」がとらえた、小惑星「イトカワ」です。大きさがさしわたし約540メートルの天体ですが、ごらんの通り、球形とはほど遠い、ラッコというか枝豆というか、ちょっと変わった形の天体であることがわかります。
ほかにも、私たちが知っている小惑星の中には、球形ではなく、不規則な形をした天体が多数あります。
小惑星ばかりではありません。衛星などの中にも球形ではないものがあります。火星の衛星フォボスとデイモス、土星の衛星などにも、球形ではないものがあります。
このように、球形ではない天体には1つの共通点があります。いずれも小さいということです。
天体は、太陽系を漂っている岩のかけらなどが少しずつ集まってできたと考えられています。物質には重力があります。物質が集まってくると、それ自体が重力を持ち、内部(重心)に向かって引っ張ろうとする力が次第に強くなります。
小さい天体の場合、その重力が小さいため、物質自体の強度が重力よりも強く、重力によりつぶされることがなく、それ自体の形を保ち続けます。しかし、ある程度物質が大きくなると、重力の方が上回るようになります。
重力が、天体の中心に向けて均等に働くようになると、中心に向かって平均して同じ力が働くような形になってきます。その形が球形なのです(中心から等しい距離の形になる)。
では、どのくらいの大きさの天体が、丸くなるかならないかの限界なのでしょうか。これは、内部を構成している物質によっても変わりますが、だいたい直径300キロが1つの境目ではないかと考えられます。たとえば、木星の衛星アマルテアはさしわたし260キロですが、形はいびつです。一方、土星の衛星ミマスは直径380キロですが、球形です。
このあたりが、球形になるかならないかの境目ではないかと考えられます。