ヨーロッパが中心となり、日本も一部機器を供与する木星探査計画「ジュース」(JUICE: JUpiter ICy moons Explorer)について、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の科学プログラム委員会が次の段階への移行を承認しました。2022年に計画されている打ち上げに向けて重要なステップを上ったことになります。

マドリッド近郊にあるヨーロッパ宇宙天文センターで11月19~20日に開かれていたこの会議において、ジュース計画は次の段階である開発段階(implementation phase)への移行を承認されました。
ESAが進める太陽系探査プログラム「コズミックビジョン」に基づいて2012年5月に承認されたジュース計画は、2022年に打ち上げられ、木星には2030年に到達するという遠大な探査計画です。
この探査では、木星の大気や磁気圏、輪などを調査するほか、木星の衛星、とりわけ衛星の中でも大きなガリレオ衛星(それも氷衛星であるガニメデ、エウロパ、カリスト)の探査が重要視されています。特にガニメデについては、最終的にはこの衛星を周回する軌道に投入されることになっており、実現すれば、木星の衛星(さらにいえば外惑星の衛星)の周りを周回することになるはじめての探査機となります。

搭載機器については、カメラ、スペクトロメーター、レーダー、高度計、電波科学実験装置、プラズマ測定装置などが検討されています。合計11の機器が搭載されますが、そのうち、サブミリ波観測装置、ガニメデ用レーザー高度計、電波・プラズマ波観測装置、中性粒子計測装置については日本が開発を担当することになっています。従って、ジュース計画は日本にとっても重要な探査といえるわけです。
2013年2月に、科学プログラム委員会は、ヨーロッパ16ヶ国、アメリカ、及び日本が協力して機器開発を行うことを承認しています。

今回の科学委員会では、ジュース計画に関する多国間協定が締結されました。この協定では、各国の宇宙機関(ESAは各国の宇宙機関が共同で運営する組織です)で開発・提供される機器についての法的な枠組みが設定されています。
今回のジュース計画に資金を拠出する宇宙機関は、ESAに加え、イタリア宇宙機関(ASI)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、スウェーデン国立宇宙委員会(SNSB)、イギリス宇宙庁(UKSA)です。さらに、オーストリア、ベルギー、チェコ、ギリシャ、ポーランド、スイスも計画に参画します。