JAXAは12月9日、JAXA相模原キャンパス(宇宙科学研究所)で記者会見を行い、2日前(12月7日)に金星周回軌道投入のためにエンジン噴射を行った探査機「あかつき」について、金星周回軌道に投入されたことを確認したと発表しました。日本ではじめての、惑星探査機の誕生です。

これまで日本は、月には「ひてん」(工学目的)、「かぐや」(工学・理学両方の目的)の2機の探査機を送り込むことに成功しており、小惑星には「はやぶさ」、彗星には「さきがけ」「すいせい」という探査機を送り込んでいます。しかし、金星や火星といった惑星には探査機を送り込むことができていませんでした。
歴史の偶然というのは恐ろしいもので、ちょうど12年前、2003年の12月9日、火星を目指して飛行していた探査機「のぞみ」は、探査機の故障から復帰することができず、安全性を考慮して火星周回軌道への投入を断念しました。歳月はめぐり、同じ12年後の2015年12月9日、同じ宇宙科学研究所で、日本初の惑星探査機の誕生、そしてアジア初となる金星探査機の軌道投入成功を発表することになったのです。
もちろん、本来であれば2010年12月に投入に成功していたわけで、5年の回り道を強いられたことにはなります。さらに、耐用年数をすでに超えている探査機の状態についても、今後さらに調べていくことは必要かと思います。しかし、この記者会見では探査機のカメラが撮影した金星の画像も公開され、カメラなどの観測機器の状態は問題がないという発表がなされました。今後の状況を見守る必要は依然残りますが、大きく期待が持てるといえるでしょう。

探査機は現在、軌道傾斜角3度、近金点(金星に最も近づく点)400キロ、遠金点(金星から最も遠い点)44万キロという、極めて細長い楕円軌道に投入されています。今後来年春頃(4月)からの本格的な観測に向けて軌道の修正を行い。最終的には遠金点が31万キロという軌道(9日間で金星を1周する軌道)になる予定です。

【この記事は速報です。12月9日に行われた記者会見の詳報については、記者会見の録画を確認しつつ記事を作成しますので、しばらくお待ち下さい。】