来年(2020年)打ち上げ予定の中国の火星探査機の姿がはじめて公開されました。人民網日本語版が伝えています。

2020年打ち上げ予定の中国の火星探査機

2020年打ち上げ予定の中国の火星探査機。微博によりはじめて公開された。(人民網日本語版より)

中国が2020年に火星探査機を打ち上げることについては、すでに中国のメディアなどでも何度も伝えられており、ほぼ確実と考えられてきましたが、その情報はなかなか伝わってきませんでした。今回はじめて火星探査機の姿が公開されたことで、開発が確実に進められていることがわかりました。

上記写真は、中国版のツイッターといえる「微博」(ウェイボー)により明らかにされました。中国の宇宙開発において開発を一手に担っている企業である中国航天科技集団の公式微博アカウントから発信された画像です。

中国の火星探査機は、周回・着陸・ローバー探査の3つを同時に行うとされています。上記の画像をみますと、上部に特徴的なカプセル型の物体があり、その下に六角形、あるいは八角形(多角形)のようにみえる、金色の遮熱膜で覆われた周回機らしいものがみえます。おそらくカプセルは着陸機およびローバーを収めたものではないかと思われます。
火星は大気がありますので、着陸するときに大気により発生する熱から着陸機などを保護する必要があります。カプセル型の部分はそのような役割を果たすものと思われます。

下に立っている人間と比べますと、周回機の大きさは高さが2メートルくらい、カプセルは高さが3〜4メートルくらいでしょうか。また、探査機の下にある赤字に白の幕には、右側、若干切れていますが「熱試」という文字がみえます。左側には「真負責」ともあります。従って、これらの文字から、この機体がおそらくは熱真空試験モデルではないかと推測されます。
但し、試験に使われた機体に問題がなければそのまま打ち上げ機として使うということも日本も含め各国で行われていますので、本機が打ち上げのために使われる可能性もあります。

記事でも触れていますが、火星探査機が1機で周回・着陸・ローバー探査を実施するのは(成功すれば)世界初ということになります。
中国はかつて2012年に「蛍火1号」という探査機をロシアの探査機と相乗りで打ち上げましたが、そのロシアの探査機の打ち上げが失敗したため、火星に届かなかったという苦い経験があります。今回は(蛍火1号もそうですが)純国産で開発、そしてロケットも中国のロケットで打ち上げるとみられています。また、蛍火1号と比べ探査機ははるかに大型で多機能です。
火星探査機の開発には、おそらくこれまでの中国の月探査機「嫦娥」シリーズにおける経験も十分に役立っているものとみられます。

2020年には、4機の火星探査機が地球から飛び立つ予定となっています。アメリカの「マーズ2020」、ヨーロッパとロシア共同開発の「エクソマーズ」の2020年打ち上げ分(ロシア開発のローバー)、アラブ首長国連邦(UAE)が開発する火星探査機「アル・アマル」(なお、打ち上げは日本のH-IIAロケットで行われます)、そしてこの中国の火星探査機です。
これらの火星探査機がどのような発見を行い、火星に関しての新たな知見をもたらしてくれるのか、興味が尽きません。