科学者たちは、フェニックスが数週間前に採集した火星の土についての分析を続行しています。
先月、2つのサンプルが、フェニックスに搭載されている顕微・電子化学・伝導度分析装置(MECA)の湿式化学分析装置で分析されました。その結果、このうちの1つのサンプルから、過塩素酸塩の構成物質が検出されました。この過塩素酸塩という物質は、非常に酸化力が強いものです。フェニックスの科学者たちは、熱発生ガス分析器(TEGA)による分析結果を待っています。こちらの装置によっても、過塩素酸塩の存在をみつけることができ、補完的な分析ができるからです。TEGAはちょうどオーブンが並んだようなもので、サンプルを暖めて出てきた気体を分析するものです。
過塩素酸塩が発見されたことは、今後の探査や一般向けの発表などに影響があると考えられます。TEGAにより先の日曜日(8月3日)に行われた実験では、過塩素酸塩は発見されませんでした。
フェニックス計画の主任科学者であるピーター・スミス氏は、「以前のTEGAによる実験とは整合性があるが、過塩素酸塩のようなものは発見できなかったので、驚いている。」と述べています。
アリゾナ大学内に設置されているフェニックスの科学探査センターでは、科学者が火星の土についての科学的な情報を注意深く分析しています。
「我々はさらに厳密な分析を行う必要がある。私たちはまだ土壌のサンプルの分析を終えてはいないが、中間的な結果は、非常に興奮させられるものである。MECAによる初期分析では、火星の土壌は地球に似ていると思われた。さらにに分析することによって、土壌には地球と異なる化学的な側面があることがわかってきた。」(スミス氏)
科学チームでは、さらに、この過塩素酸塩が地球由来である、つまり、探査機のどこか、あるいはサンプルそのものに紛れ込んでいたものが検出されてしまっている可能性についても調べています。
「驚くべき結果が見つかったときには、我々は打ち上げ前の物質混入防止の過程をもういちど調べ、それが確かであることを確認したいのだ。」(フェニックスのプロジェクトマネージャである、JPLのベリー・ゴールドスタイン氏)
MECAの湿式化学分析装置では、水溶液を使い、水に溶ける化学物質を分析します。それぞれの箱のビーカーには26のセンサーが設置されていて、酸性や元素の存在度などを調べます。また、このビーカーはマグネシウムやカルシウム、カリウムなど、塩類を構成する元素などが多くあれば、それを検出することも可能です。
探査機はきわめて正常に機能しており、探査は当初の予定から1ヶ月延長され、9月30日まで行われることになっています。
・JPLのプレスリリース (英語)
  http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-154
・フェニックス (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/mars/exploration/Phoenix/index.html