オバマ大統領はこのほど、NASAジェット推進研究所(JPL)にある、火星探査機「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL: 愛称「キュリオシティ」)の運用チームと電話をし、「君たちは我々が誇りに思えるような仕事を成し遂げた。」と激励しました。
この電話は、先日見事に成功したキュリオシティの着陸を祝福するもので、JPLのチャールス・エラチ所長と運用チーム全体に対してのものです。
大統領は、「今回の着陸は、まさにアメリカン・スピリットを体現したものだ。私たちは、キュリオシティの着陸から、これまで知らなかったことを知ることができ、そしてさらに将来に控える、私たちの究極の目標…有人火星探査への道を開いてくれたと考えている。」と、その意義をたたえました。
大統領はまた、今回のキュリオシティの着陸は、アメリカにおける教育、とりわけ、科学技術教育(STEM: 下の編集長注参照)に大きな意味を持つと述べ、「全国の子供たちに大きな刺激になることだろう。この探査を見た子供たちは、両親に『火星探査に加わりたい』と言うだろうし、ひょっとしたら『火星に行きたい』とすら言い出すかもしれない。」と語りました。
エラチ所長はオバマ大統領の言葉に謝意を表し、「着陸を見た数百万人の若い人達を鼓舞したい。」と語りました。
オバマ大統領はさらに、「スタッフの皆さんは本当に私たちの誇りである。私たちを前に進ませる原動力はまさに好奇心(=キュリオシティ)であり、知らないことを発見する、より多くのことを知る、そして知識の境界線をよリ広く外側に押し広げることである。」と語りました。
さて、ローバー運用チームは、先の記事でお知らせしたソフトウェアの更新作業を進めており、4日かかるとされる作業のうち3日を経過しました。このソフトウェア更新のあと、ローバーの機器が正常であることを確認する作業を実施します。探査マネージャーのアート・トンプソン氏は、「この1週間くらいで最初のローバー走行ができると考えている。」と述べ、順調にいけば来週にもローバーの初ドライブが実現することになりそうです。
もちろんこの初ドライブは、機器の初期検査の一環として実施されます。
※編集長注…アメリカでは、STEM(本来の英単語では「茎」の意味)という言葉がよく使われます。このSTEMというのは、Science, Technology, Engineering and Mathematicfs(科学・工学・技術・数学)の略で、いわゆる「理数系教育」と考えてもよいでしょう。アメリカが現在世界でもこの理数系教育の分野でも遅れをとっていることから、この分野での教育に力を入れるこころみが全国各地で行われています。NASAもそのためにかなりの協力をしています。
・NASAのプレスリリース (英語)
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2012/aug/HQ_12-279_Obama_Calls_Rover_Team.html
・マーズ・サイエンス・ラボラトリー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MSL/