先日、火星での初サンプル取得に成功した火星探査機マーズ・サイエンス・ラボラトリー(愛称「キュリオシティ」)ですが、岩石取得に成功したことを確実に確認できる画像が送られてきました。これで、世界初の快挙となる、他の天体での無人でのドリルによるサンプル採取成功が確認できたことになります。

今回確認できたのは、掘削した岩石をスコップへと移送できたことを示す写真で、20日(アメリカ現地時間)にNASAが受信しました。
今回のサンプル採取では、キュリオシティのロボットアームの先端に取り付けられたドリルを使用して、岩盤に深さ6.4センチメートルの穴を開けました。岩石は、2011年に亡くなったマーズ・サイエンス・ラボラトリー計画の副プロジェクトマネージャーの名前をとり「ジョン・クライン」と名付けられています。
今回のスコップは、ローバーの装置の1つである、その場サンプル分析用採集・移送装置(CHIMRA。読み方は「キムラ」)の一部です。サンプルの移送が終われば、次の段階はサンプルの処理ということになります。CHIMRAの中に送り込まれたサンプルはふるいにかけられ、直径150マイクロメートル以下の細かいサンプルだけが分析にかけられます。

今回、NASAジェット推進研究所(JPL)にある同じ装置での試験の結果、このサンプル移送・処理に際してはなるべく機械的な振動を減らして行うことになりました。というのは、先のCHIMRAのふるいのうち1つが、何回も使用したあとで外れてしまうことがわかったためです。ただ、性能には影響がありません。そのため、キュリオシティのチームでは、サンプル装置を慎重に運用するようにしたのです。

掘削システム技術者であるJPLのスコット・マクロースキー氏は、「ドリルからスコップへ送られた粉末状のサンプルをみることで、はじめてサンプルをこの目で確認することができる。私たちの多くはこの日のためにずっと働いてきた。サンプル取得を最終的に確認できたことはとても満足のいくことである。サンプル採取チームにとっては、着陸の際に着陸担当チームがあれだけ大喜びしたのに匹敵する喜びである。」と述べています。