火星探査機「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」(MSL: 愛称「キュリオシティ」)は、週末を、ソフトウェア更新で過ごします。
着陸後、10〜13日には新しいソフトウェアを、ローバーに搭載されている2台のコンピューター(1台はメインコンピューター、もう1台は予備)に移植、今後の探査に備えることになりました。
NASAジェット推進研究所の技術者であるベン・シシー氏は、「MSLはもともと、ミッションの途中であっても、その内容に合わせてソフトウェアを入れ替えることができるように設計されている。これまでの『飛行用ソフトウェア』は、その名のとおり飛行フェーズ及び着陸フェーズに合わせたものである。したがって、その機能の多くはもはや不要というわけである。そこで、今回は着陸後の行動に最適化されたソフトウェアに変更した。」と、その理由を述べています。
特にこの、表面行動用に最適化されたソフトのポイントは、障害物検知です。ローバーは火星表面を動き回りますが、ときおり、このローバーでも乗り越えられない障害物(岩や急な崖など)に出会うことがあります。ここでいちいち地球の判断を待っていたら、時間がかかってしまうか、間に合わないかのどちらかということになります。そこで、ローバーがこういった障害物の回避を自分で判断するようにできるようにするわけですが、今回この点が大幅に改良されています。また、ロボットアーム運用などについても改良が加えられました。
探査チームは現在、キュリオシティから送られてくる画像の分析を急いでいます。これによリ、まずどこから探査を開始するかを決定することになります。また、探査機の初期状態のチェックなども実施されます。
・NASAのプレスリリース (英語)
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2012/aug/HQ_12-276_Curiosity_Rover_Software_Update.html
・マーズ・サイエンス・ラボラトリー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MSL/