NASAは12日(アメリカ現地時間)、昨年6月より行方不明になっている火星探査ローバー「オポチュニティ」と最後の交信を試み、その結果を13日(同)に記者会見を行って発表すると発表しました。

火星探査ローバー「オポチュニティ」

マーズ・エクスプロレーション・ローバーのうちの1台「オポチュニティ」。もう1台のローバー「スピリット」も同じ形。
(Photo: NASA/JPL-Caltech)

「オポチュニティ」は、2003年に打ち上げられた2台のローバー「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」の1台です。もう1台の「スピリット」(spirit)は2011年に活動を停止しています。

2台のローバーは2003年6月に打ち上げられ、2004年1月に火星に到着、活動を開始しました。
本来の寿命は90日のはずだったのですが、どういうわけか2台とも90日を過ぎ、1年、2年…を経過しても順調に活動を続けました。活動が90日と予想(予定)されていたのは、火星の大気中のチリがローバーの太陽電池に降り積もり、発電を不可能にして最終的に動作不能になると予想されていたからですが、おそらく火星の朝晩の気温差によって発生する露がこのチリを洗い流し、太陽電池をずっと動作可能としていたと考えられます。

到着直後の2004年3月には、火星表面にかつて水が存在した直接的な証拠を発見、生命が存在した(する?)可能性を大きく広げました。
2台のローバーはその後も活動を続け、火星表面を精力的に探査しました。しかし、もともと90日の動作を想定していたローバーですから、何年も経過するにつれて劣化が徐々に進んでいきました。

2011年3月を最後に、2台のうち「スピリッツ」と交信が途絶、NASAは2011年5月24日、スピリットの運用終了を発表しました
残るオポチュニティはその後も問題なく活動を続けていました。しかし昨年(2018年)に発生した火星全球規模の大規模な砂嵐の影響を受け、6月から通信ができない状態になっていました。
NASAはその後も通信回復作業を続けてきましたが、今回が最後のチャレンジとなります。半年以上にわたって通信が回復しないことに加え、すでに14年も経過していることから、老朽化により回復が難しいと判断しているものとみられます。

NASAによる最後の通信は12日夜(アメリカ現地時間)に行われ、その結果は翌13日午後2時(アメリカ東部現地時間。日本時間では14日午前4時)に開催される記者会見で発表されます。

なお、記者会見の出席者も発表されています。その中には、NASAのブライデンスタイン長官や、探査機を運用してきたジェット推進研究所(JPL)のマイケル・ワトキンス所長、マーズ・エクスプロレーション・ローバーのプロジェクトマネージャーであるジョン・カラス氏など、そうそうたるメンバーが並んでいます。長官までが出席するということで、この記者会見では、(残念ではありますが)ミッション終了を宣言するとともに、マーズ・エクスプロレーション・ローバーによる功績を振り返る場となるのではないかと考えられます。もちろん、交信が回復するいちるの望みを持つことも必要であり、そうなればまた異なった内容の発表になることはもちろんです。

また、記者会見には、来年打ち上げ予定のアメリカの大型火星探査ローバー、マーズ2020のプロジェクトマネージャー、ジェニファー・トロスパー氏が出席することになっています。記者会見の場は、過去・現在・未来の火星ローバー探査をつなぐ場となるのかもしれません。

6月から行われている交信の試みが未だ成功していない中、今回の最後の交信で成功するという劇的な「大逆転ストーリー」は、期待したいものの非常に望み薄とはいえるでしょう。とはいえ、希望は捨ててはなりません。そして仮に交信ができず、運用終了となったとしても、14年に渡るオポチュニティの成果は現時点でさえ大きなものといえるでしょう。
まさに最後の願いをかけた交信の試みに期待したいところです。