NASAは、火星ローバー「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」の1台、「スピリット」との交信回復のための作業を終了すると発表しました。最後の交信は2010年3月22日に行われました。交信作業の終了は5月25日になります。
この10ヶ月間、NASAでは、太陽光が十分に得られない火星の冬が過ぎ、太陽光が十分に得られるようになれば、「スピリット」が再度交信可能になる可能性が高いとして、積極的な交信の試みを行ってきました。しかし、内部機器を保温するヒーターに十分な電力が供給されなかったためか、ローバーは昨年のうちに、これまで経験したことがない非常に低い温度にさらされたと思われます。この低温により、重要な部品が損傷し、探査機は回復が不可能なダメージを負ったものとみられています。
数ヶ月にわたる技術者の検討により、「スピリット」との交信が回復する可能性が低いことが示されました。また、NASAが「スピリット」との交信に長年にわたって使用してきた、深宇宙ネットワーク(DSN)を含む通信設備は、この11月に打ち上げられる予定の「マーズ・サイエンス・ラボラトリ」のために使用されることになっています。そのため、「我々は、この通信設備を次世代の探査機『キュリオシティ』(マーズ・サイエンス・ラボラトリのローバーの愛称。英語で「好奇心」を意味する)のために使用することにした。」(NASAの太陽系探査プログラム部長、デーブ・ラベリー氏)
しかし、ラベリー氏は、「スピリット」との交信回復の可能性はきわめて低いものの、深宇宙ネットワークでは折をみて通信を試み、弱くはあっても何か電波が届いていないかどうかを確認する予定にしていると述べています。
「スピリット」は、2004年1月4日(日本時間。アメリカ現地時間では3日)に火星に着陸、当初は探査期間を3ヶ月と想定しましたが、それよりはるかに長い間働きました。基本探査目標を達成したあと、さらに追加探査目標をもクリアするなど、多くの活躍を成し遂げました。
なお、「スピリット」の約3週間後に着陸したもう1台のローバー「オポチュニティ」は現在でも活動を続けています。
・JPLのプレスリリース (英語)
  http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-156&cid=release_2011-156
・マーズ・エクスプロレーション・ローバー (月探査情報ステーション)
  http://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MER/
・マーズ・サイエンス・ラボラトリ (月探査情報ステーション)
  http://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MSL/