今年3月に打ち上げられたヨーロッパとロシア共同の火星探査機「エクソマーズ」。この3月に打ち上げられたのは、火星大気中の微量ガスを探る周回機「微量ガス探査周回機(TGO)」と、着陸実証機「スキアパレッリ」でした。そして、2年後の2018年には引き続いてローバーなどが打ち上げられる予定でした。しかし、探査を主導するヨーロッパ宇宙機関(ESA)とロシアの宇宙機関・ロスコスモス(ROSCOSMOS)は2日、この2018年打ち上げ予定の探査機について2年打ち上げを延期し、2020年打ち上げとすると発表しました。
当初2018年に打ち上げられる予定だった「第2弾」の探査では、ロシアが開発した火星地表探査プラットホーム(着陸船)、及びヨーロッパが開発したローバーが打ち上げられる予定でした(スキアパレッリは、そのための技術習得を目的として打ち上げられています)。
ところが、これらの探査機については開発が遅れており、2015年末頃からESAとロスコスモスが特別チームを編成、開発企業なども入って、2018年の打ち上げに間に合わせるための方策を議論してきました。
このほどモスクワで開催されたエクソマーズの共同運営会議では、確実な火星探査の成功を保証するため、また探査機や科学機器の開発の遅れの状況を考慮し、これらの打ち上げを2018年ではなく、2020年と2年遅らせることが最適と判断したものです。
これについて、ESAのヨハン・ディートリヒ・ベーナー長官とロスコスモスのイゴール・コマロフ長官が議論し、特別チームの結論をもとに、2018年の次の火星打ち上げ好機に当たる2020年の打ち上げが適当と結論づけました。これに基づいて開発スケジュールは再設定され、ヨーロッパとロシア双方で、この新しい打ち上げ目標に向けた開発が実施されることになります。
エクソマーズは、そもそもの計画が遅れ続きというあまり幸運ではない火星探査でした。本来の打ち上げは2011年に計画されていましたが、予算などの関係でもめた末、当初のパートナーであったアメリカ(NASA)に代わりロシアがパートナーとなり開発が進められてきました。
遅れ続きとなるエクソマーズは、ヨーロッパ及びロシアの月・惑星探査全体に影響を与える可能性があります。
このエクソマーズ「第2弾」の打ち上げ遅れに伴い、2018年以降の火星探査機の打ち上げは(現時点で)以下の通りとなります。
- 2018年打ち上げ
- インサイト (アメリカ)
- 2020年打ち上げ
- エクソマーズ (ヨーロッパ・ロシア)
- アル・アマル (アラブ首長国連邦)
- マーズ2020 (アメリカ)
- 中国の火星探査
- 2022年?
- 火星衛星サンプルリターン計画 (日本)
- ESAのプレスリリース