今年の9月、インドの火星探査機「マンガルヤーン」が火星周回軌道への投入に成功し、アジアではじめて、火星周回機を成功させた国になりました。これが影響しているのか、中国も火星探査に力を入れ始めるようです。

中国南部、珠海で行われた第10回の珠海航空ショーには、火星探査機の模型が展示されました。
この会場で、中国航天科技集団第五研究院副院長の李忠宝氏は、火星探査機の実現に自信を持っていると公表しました。人民網日本語版が伝えています。

中国航天科技集団の構想では、火星探査機は火星周回機(周回モジュール)と着陸機とにより構成されるということです。つまりこの時点で、中国が狙っているのは周回だけでなく、火星表面への(無人)軟着陸であることがわかります。「『初の周回』はインドに取られたが『初の着陸』は中国が取り返す」ということでしょうか。
両者の構成はアメリカの火星着陸探査などと同様のオーソドックスなものです。周回探査機は火星上空からの科学探査を実施すると共に、着陸機からの通信を地球に中継する役割を果たします。着陸機はパラシュートと支持脚で火星に着陸し、ローバーを搭載することで広範囲の探査を可能にします。ただ、この記事では、どの程度のところまで開発が進んでいるのか、またローバーの活動可能範囲などの詳細な情報は入っていません。

以前の記事では、中国の月探査の父、欧陽自遠氏が、2020年頃に火星への着陸探査を実施、2030年頃にサンプルリターンを実施すると述べています。2020年に着陸探査を実施するとしたら、相当システム開発が進んでいることが想定されますが、今回展示された模型がどのくらいまで実際の検討を反映したものなのかも不明です。ただ、いずれにしても、中国が月だけでなく、火星(さらには小惑星?)にも舵を切り始めているということは注目すべきでしょう。