NASAは22日、ホワイトハウスの大統領執務室に、アポロ17号で採集され、地球に持ち帰られた月の石が貸与され、展示されることになったと発表しました。現在アメリカが進めている有人月探査計画「アルテミス計画」を象徴する展示品となるようです。

大統領執務室に展示されることになった月の石

バイデン新大統領の大統領執務室に展示されることになった月の石。アポロ17号で採集されたもの。標本番号は76015,143。
Photo by NASA

ホワイトハウスのバイデン新大統領の大統領執務室(部屋の形から「オーバル・オフィス」=楕円形のオフィスとの愛称があります)展示として新たに選ばれたものの一つが、この月の石です。

月の石はバイデン新政権の要請によってNASAから貸し出されたものです。展示の意味は、もうおわかりかと思いますが、アメリカのこれまでの輝かしい歴史の象徴として、そして現在進めているアルテミス計画、さらには「月から火星へ」(Moon to Mars。NASAは最近この言葉をよく使うようになってきました)という宇宙探査計画を象徴するものとしての展示品となるようです。

アポロ計画で採集された月の石は総計で約380キロという膨大な量に上ります。これらは、テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センター内に設けられた「月試料研究室」に保管されています。月の石は地球の物質からの汚染を避けるために厳重に隔離された環境で管理され、現在でも研究を希望する研究者に貸し出されているほか、今回のような展示などのための貸出にも応じています。

今回大統領執務室に貸し出されたサンプルは、サンプル番号「76015,143」というものです。「7」はアポロ17号、「6」は採集地点である「ステーション6」、「015」はサンプルの通し番号です。アポロ計画の最後のミッションとなったアポロ17号により、月のタウラス・リトロー谷で採取されました。重さは332グラム。おそらく、約39億年前に起きた「雨の海」を形成した巨大衝突によって放出された物質が固まった「角レキ岩」という岩石です。

なお、サンプルの一部は切り取ったような平面になっていますが、これはその通り、切り取った跡です。NASAの試料保管研究室で、試料分析のために切り取っています。また、岩石の表面には、小さな物質がぶつかってできた微小クレーターが大量に存在します。

「月の石」がバイデン新政権の宇宙政策を象徴するものになるのか、それとも大きな転換の予兆なのか。おそらくあと1〜2年後になると予想される新政権の宇宙政策への動きをしっかりとみていきましょう。