本ブログ、あるいは月探査情報ステーションにいつもアクセスしてくださっている皆様にはおなじみの、中国月探査の父、欧陽自遠氏が、中国の月探査と火星探査について発言しました。今回は、国際プラネタリウム総会の席での発言で、北京青年報の記事を人民網日本語版が伝えています。

それによると、まず月探査については、今年(2014年)末には、嫦娥5号の試験機を打ち上げるということです。
嫦娥5号はサンプルリターンを行う探査機として、2017年に打ち上げられるとみられています。サンプルリターンは、これまでの周回や月着陸・ローバー探査よりも格段に難しくなります。そのため、それに向けた試験機を今年中に打ち上げるのではないかという報道が出ていました。今回の欧陽自遠氏の発言はそれを公式に裏付けたものとなります。
嫦娥5号についての新たな発言としては、帰還モジュールについて、地球大気圏突入時の高温の問題を解決するため、宇宙と大気圏の間を数回往復させるということです。具体的にどのような仕掛けをとるのか、これだけでは判然としませんが、大気圏に回収カプセルが突入すればその表面が1万度くらいにはなるといわれていますので、その問題の解決策を考えているということでしょう。

また、将来探査については小惑星探査、とりわけ小惑星資源探査にも言及している点が注目されます(もっとも、あまり具体的な内容はなかったみたいですが)。また、火星探査について、2020年に火星着陸探査を、2030年にはサンプルリターン探査を行うと発言している点は注目されます。
実施年については大まかなのでかなり幅があると考えた方がよいと思いますが、中国の月・惑星探査が小惑星も含めて全方位方向に向かいはじめていることを示す発言であるといえるでしょう。