今年(2017年)中に月にローバーを打ち上げ、一定走行距離を走行し、画像・映像を地球に送信したチームに賞金を授与するというグーグル・ルナーXプライズ、今年に入ってから最終チームが5つに絞り込まれるなど、徐々に白熱してきています。
このレースに日本から唯一参戦するチーム「ハクト」、ここに新たに、IT企業のミツエーリンクスがサポーティングカンパニーとして参加することを発表しました。

月面ローバー「ハクト」の最終デザイン

2017年打ち上げ予定の月面ローバー「ハクト」の最終デザイン (© HAKUTO/KDDI)

ミツエーリンクスは、ウェブにおけるアクセシビリティ(どのようなユーザーであってもウェブ内容を閲覧・理解できる技術)をはじめ、システム開発、ウェブ構築からアクセス解析などのコンサルティング的な部分に至るまで、ウェブについてのサービスを幅広く提供する企業です。とりわけアクセシビリティ分野ではその高い技術力に定評があります。
今回のミツエーリンクスとの提携は、一見すると月面探査とは関係がなさそうにみえますが、そうではありません。今後増加が予想されるハクトのウェブページ、とりわけオフィシャルストアにおけるアクセシビリティの向上や維持について、ミツエーリンクスが持つ高い技術を提供するとのことです。

今回のサポーティングカンパニー参加決定について、ミツエーリンクスの木達一仁取締役社長(実は編集長は、彼とはもう20年近い仲間であり、同僚であり、よきアドバイザーでありまた目標でもあります)は、同社ウェブページのコラムにて4つの理由を挙げています。

  1.  夢のあるハクトの挑戦に対して会社として応援をしたい
  2.  やはりベンチャーとしてスタートしたミツエーリンクスとして、今回の挑戦にベンチャー企業として参加するハクト(株式会社ispace)を応援したい。
  3.  宇宙開発とIT分野とは実は近い間柄にあり、特に今回のレースはそもそもグーグルという巨大IT企業がスポンサーでもある。
  4.  月、そしてその先へのアクセスを目指すispaceの挑戦と、アクセシビリティという「誰もがどのようなデバイスからもアクセスできる」という幅広さとは共通点がある。

私(編集長)とも長い付き合い、と述べましたが、木達さんはもともと「人力飛行機」の分野からこの世界に入り、宇宙開発分野にも身を置いていました(ですので、私とも一緒に働いていたこともあるのです)。いまでこそIT企業の社長ではありますが、長年にわたって宇宙開発を愛してきました。宇宙開発を知る多くの人は彼の存在をよく知っています。
コラムの中でも、ispaceの前身である「ホワイトレーベルスペースジャパン」に彼が一時期ボランティアとして参加していたことが述べられています。

このようにして、ハクトはいろいろな人の思いに支えられて前進しているのだといえるでしょう。私も、今回の決定を心から歓迎すると共に、同じ宇宙、そして宇宙開発を愛する人間として、ハクトの挑戦を支えていきたいと思います。

なお、今回のハクトのリリースでは、12月末に本サイトで報じた新たなサポーティングカンパニー(ヤマウチマテックス)の参加についても触れられています。

本日(1月31日)現在でのハクトのサポート企業は以下のとおりとなっています。

オフィシャルパートナー

最上位のパートナーで、ハクトと共に月面競争にチャレンジします。

コーポレートパートナー

プロジェクト全体を支援するパートナーです。(6社)

サポーティングカンパニー

ハクトのローバー開発に必要となる、あるいはハクト開発を支える個々の技術を提供します。(15社・団体)

【2月2日 午前11時10分修正】上記記事で、「株式会社ミツエーリンクス」と表記すべき箇所が「ミツエーリンクス株式会社」となっておりましたので修正いたしました(「株式会社」の位置が逆になっておりました)。大変失礼いたしました。