フェニックスが次に取得する火星の土壌のサンプルは、いままでの深さからすると3倍ほど深いところから採取したものになりそうです。
8月26日、フェニックスは、目標であった火星での稼働日数(90火星日)を達成しました。本来はこの90火星日間の稼働が予定されていましたが、探査はさらに約1ヶ月延長され、9月末までの探査を行うことになりました。
「私たちが、最初に考えていたようなフル期間の探査に近づいていくにつれ、この探査がどんなふうに進んでいくのか、大変わくわくしている」と述べたのは、フェニックス計画のプロジェクトマネージャである、JPLのバリー・ゴールドスタイン氏です。
フェニックスの主な探査は、「ストーン・スープ」と名付けられた深さ18センチほどのサンプル採取用の溝から、サンプルを掘り出すことです。探査後半では、ロボットアームを使って、湿式化学分析装置の3つめのセルへとサンプルを運び入れます。この装置は4つのセルを持っていますが、すでにそのうちの2つを使っています。
「最初の2つのセルでは、表面と氷の層の間にあるサンプルを分析した。結果は似たようなものであった。3つめのセルのサンプルの分析の目的は、まったくそれとは異なるものをみつけることだ。この『ストーン・スープ』の魅力として、さらに深いところからのサンプルが手に入ること、そして異なる種類の物質が集まっていることだろう。」(湿式化学分析装置を搭載しているMECAの科学者、JPLのマイケル・ヘクト氏)
「ストーン・スープ」は2つの低い、多角形をした丘の境目の谷のところに位置しており、このような谷は、フェニックスが着陸した極地域の典型的な地形です。溝は西に向いています。着陸船の北側、ロボットアームの端に当たります。
多角形をした中心部を掘っているときに、地表から約5センチメートルほどしたで、フェニックスは最初に、コンクリートほどの固さを持つ氷の混ざった土を掘り当てました。この溝「ストーン・スープ」の端にある部分では、このような氷の層は見つかっておりません。
「両方の多角形の間の部分は、ものが集まる場所となる。長い時間スケールでみると、縁で沈み込み、中心で上昇する、という物質の循環があるかも知れない。」(ヘクト氏)
フェニックスの科学チームでは、次の湿式化学分析用のサンプルの最終場所として、最終候補地を2箇所に絞り込んでいました。先週末になって、「ストーン・スープ」が採集地となったのです。「『ストーン・スープ』と、別の溝『アッパー・カップボード』の中の白い物体のどちらにするかでかなりもめた。もしその白い物質が塩分に富むものだと確認できていたなら、それを分析することに決めていただろう。しかし、いろいろな方法を使ってもその点は確かめることはできなかった。」(ヘクト氏)
両方の採取候補地点は、フェニックス探査機の活動範囲において、どのように塩分が分布しているのかをよりよく知るための手がかりがあるかも知れません。そのことによって、かつてこの領域に液体の水が存在したのかどうかを知ることができます。湿った場所に、塩分は濃縮して蓄積しているからです。
「ストーン・スープ」のサンプルを湿式化学分析装置で分析している間に、フェニックスは熱・発生気体分析装置を使って、別の溝から採集した、地表と氷の層との間くらいからの深さから採集したサンプルの分析を行っています。
・JPLのプレスリリース (英語)
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-165
・フェニックス (月探査情報ステーション)
http://moon.jaxa.jp/ja/mars/exploration/Phoenix/