以前から地上、あるいはハッブル宇宙望遠鏡などからの観測によって、冥王星の表面が赤っぽいことは知られていましたが、今回その「生の姿」を探査機が捉えました。ニューホライズンズが撮影した冥王星のカラー画像は、まさに衝撃ともいえるものです。

ニューホライズンズがとらえた冥王星のカラー画像(説明付き)

ニューホライズンズがとらえた冥王星のカラー画像(説明付き)。左側は最接近時に観測を行う側の半球。右側はその反対側。((c) NASA/JHUAPL/SwRI)

ニューホライズンズがとらえた冥王星のカラー画像(説明なし)

上記カラー画像の説明がないバージョン ((c) NASA/JHUAPL/SwRI)

左側は最接近時に観測を行う側の半球、右側はその反対側の半球をとらえたものです。
まず目を引くのが、反対側の半球の下側(赤道付近)にみえる謎の黒い領域です。この領域、ほぼ等しい間隔で並んでいるだけではなく、結構な大きさがあります。直径は大体480キロ(300マイル)ほどで、NASAの記事では「ミズーリ州ほど」とありますが、日本でいいますと北海道の真ん中におくと北海道を少しはみ出すくらいの大きさです。冥王星自体の直径が約2400キロですから、この黒い点の大きさが大体想像できるかと思います。

もちろん、この黒い点がなぜできたのか、まだ全くわかっていません。同じように、左側にある黒い大きな領域もその成因は不明です。さらに、黒い点がなぜ同じ(ような)間隔で並んでいるのかもわかりません。何もかも「わからない」だらけです。
「とにかくまさに謎だ。この黒い領域が一体何なのか、まったくわからない。ともかくそれをすぐにでも解明しなければならない。」と、プロジェクトマネージャーのアラン・スターン氏も述べています。
さらにスターン氏は、冥王星とその衛星カロンとの違いに触れて、「これまでも謎であったが、冥王星が比較的明るいのに対し、その衛星カロンが暗いのはなぜだろうか。これも解明しなければならない問題だ。」と述べています。

今回のカラー画像は、広範囲カメラ(LORRI)が撮影した画像に、冥王星カメラ(Ralph)が取得したカラー画像を重ねあわせています。LORRIは白黒でしか撮影できませんが、比較的広い範囲を捉えることができます。Ralphはその逆で、カラー(可視光スペクトル)での撮影は可能ですが、範囲はやや狭くなります。そこで、両方の画像を合成して、広い範囲のカラー画像を得るという仕掛けです。ただそれでも、現在のところ冥王星の半分くらいしか撮影できていません。

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