ニューホライズンズでは、まだだれも詳しくみたことがない冥王星や衛星カロン、さらにはカイパーベルト天体の表面などを詳しく調べるために、カメラを搭載しています。特に対象物に最接近するのが数時間程度というフライバイ探査ということもあるため、その前後に広い範囲を撮影できるカメラを搭載していることが特徴です。
また、電磁場などの環境を調べるための装置も搭載しています。
■紫外線スペクトロメーター (Alice)
重さは4.5キログラムです。非常に感度の高い紫外線スペクトロメータで、大気中の微量成分の観測などに威力を発揮します。
■冥王星撮像装置 (Ralph)
文字通りニューホライズンズの「目」となる装置です。可視光線及び近赤外線領域での観測を行い、冥王星やカロンの表面のマッピングなどに活躍します。可視光カメラは天体の地形や表層の様子、冥王星の軌道や直径などの測定などに使われます。近赤外カメラは窒素、メタン、二酸化炭素や水蒸気などが大気中にどのくらい含まれているか測定します。重さは合計で10.3キログラムです。
■広範囲観測カメラ (LORRI)
大型の望遠レンズを搭載したカメラで、長距離からでも精密な撮像が可能です。冥王星への最接近から200日も前からこのシステムで写真を撮ることができます。90日前からは毎日冥王星の写真を撮影し、ハッブル望遠鏡を上回る解像度で冥王星系の様子を地上に送ります。
■電波科学実験 (REX)
探査機からの電波が冥王星で隠されるタイミングを利用した実験で、冥王星の大気の様子を調べます。
■太陽風測定装置 (SWAP)
冥王星に届く太陽風を観測し、太陽風と冥王星の上層大気との相互作用を観測します。冥王星は重力が小さいため、大気が常に流出していると考えられていますが、その状況がどのようになっているか、大気流出の鍵を握ると考えられている太陽風の様子などを調べます。重さは3.3キログラムです。
■冥王星高エネルギー粒子測定装置 (PEPSSI)
冥王星の大気から流出した中性分子や、太陽風によりイオン化された高エネルギー粒子などの量を観測します。
■宇宙塵計測器(ダストカウンター) (SDC)
この略称にある「S」は、Student(生徒)の「S」です。文字通り、コロラド大学ボールダー校の学生たちが作り上げた計測器です。ダストカウンターは、太陽系内に浮かぶ塵(ダスト)の量を測るための装置で、冥王星に到着する前に太陽系内のダストの量を軌道に沿って調べます。また、冥王星周辺のダストの量も調べます。
電力の源となる原子力電池
これらの測定機器を動かすためには、電力が必要になります。しかし冥王星は太陽からあまりにも遠いため、太陽電池では十分な電力を発生させることができません。
そこで、ニューホライズンズ探査機には、放射性元素の自然崩壊によって生じる熱を利用して発電する、原子力電池(RTG)を搭載しています。
11キログラムの二酸化プルトニウムを利用したこの発電装置は、打ち上げ時で240ワット、冥王星到着時でも200ワットの電力を供給し、観測装置の唯一の動力源となります。