ヨーロッパ(ESA…ヨーロッパ宇宙機関)とロシアが共同で実施する火星探査機「エクソマーズ」は、いよいよ火星到着の緊張するフェーズに入りました。
16日、探査機は着陸実証機「スキアパレッリ」を切り離すことに成功しました。現在スキアパレッリは探査機と共に飛行を続けています。
ヨーロッパ中央標準時で16日の午後4時42分(日本時間では午後11時42分)、スキアパレッリは予定通り周回機から切り離されました。ただし、火星と地球とは非常に距離が離れているため、光(電波)が届くには時間がかかります。地上での確認は午後5時2分(日本時間では翌17日の午前0時2分)で、地上では電波のドップラー効果から確認がとれました。また、インドのプーネ近郊にある巨大メートル波電波望遠鏡 (GMRT: Giant Meterwave Radio Telescope)でも、極めて弱いながらも周回機からの信号を受信することに成功しました。
午後5時27分(日本時間では17日午前0時27分)、エクソマーズのフライトディレクター(飛行管制担当)のマイケル・デニス氏が、スキアパレッリの切り離しを確認しました。また、再度周回機からの信号を受信することに成功しました。
ところが、この時点の信号では周回機のテレメトリーデータ(周回機の状況を含むデータ)を送信していませんでした。この点はトラブルであり、ESAでは状況の確認及び復旧に努めました。この結果、ヨーロッパ中央標準時で午後6時43分(日本時間で17日午前1時43分)に復旧が完了し、ESAのマラグルエ通信局(アルゼンチン)でテレメトリーデータを受信することに成功しました。
なお、最新の状況としまして、ヨーロッパ中央標準時で17日午前5時5分(日本時間午後0時5分)に、周回機の軌道変更に成功しました。周回機は軌道を上昇させています。そのままの軌道をとっていると、着陸機のスキアパレッリと同様、火星へ突っ込むコースになってしまいますのでよろしくありません。
周回機は1分46秒にわたってエンジンを噴射、火星上空数百キロメートルのところを飛行する軌道にシフトしています。
このあとエクソマーズは19日にスキアパレッリの火星大気突入及び着陸、そして周回機の火星軌道投入という最大のイベントが待っています。下に記したESAのページでは随時最新情報が更新されていますので、本ブログを待ちきれない方はぜひチェックしてみて下さい。
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