アラブ首長国連邦(UAE)で宇宙開発を計画しているアラブ首長国連邦宇宙機関(UAESA)は、2020年の打ち上げを計画している火星探査機「アル・アマル」について、打ち上げサービスを三菱重工業に委託したと発表しました。三菱重工業側も本日プレスリリースを出しています。
H-IIAが海外からの打ち上げ受注を獲得したのは、21号機における韓国の衛星アリラン3号、29号機におけるカナダの静止衛星テルスター12バンテージ、さらには2017年度に打ち上げを予定しているUAEの地球観測衛星ハリーファサットに続き4機目となりますが、月・惑星探査分野でははじめてのこととなります。

アル・アマル探査機の想像図

アル・アマル探査機の想像図 (© UAESA)

アル・アマル(Al-Amal)はアラビア語では「希望」(hope)を意味し、UAEとしてはもちろん、中東地域ではじめての月・惑星探査計画となります。この計画では、2020年に探査機を打ち上げ、2021年に火星周回軌道へ投入、1年弱(2023年までという情報もあります)にわたって観測を行う予定です。詳細については、記事下のリンクにある月探査情報ステーションの記事をご覧下さい。
2021年はUAE建国50周年にあたり、その建国を祝うという目的でもあります。

H-IIAはこれまで成功率96.7パーセント(30機の打ち上げ中失敗は1回のみ)という高い成功率に裏打ちされた信頼性が世界的にも有名でしたが、打ち上げ価格が他国のロケットに比べて高いという点が指摘されていました。
今回は、おそらくではありますが、官民合わせての受注にむけた働きかけがあって実現したのだと思います。もちろん、その高い信頼性や、これまでの月・惑星探査機の打ち上げ実績などをUAEが評価したということもあるかと思います。
下のブログ記事を書いた時点では、打ち上げ機をどうするか(UAEがロケットも含め自主開発するのか、どこかから調達するのか)という点をアル・アマル計画の懸念材料と考えていたのですが、これで最大の懸念材料もなくなり、あとは衛星の開発に邁進するのみ、ということになります。

なお、UAEで火星探査を担当しているのは、UAESAの下にあるムハンマド・ビン・ラシド宇宙センター(MBRSC)です。

さらに22日、JAXAはUAESAと連携協定を締結しました。これまでにも地球観測衛星に機器を搭載するなどの協力関係を保ってきましたが、今後は人材育成や国際宇宙ステーションの日本モジュール「きぼう」の利用(ここでも「hope」です)などで協力していくとのことです。もちろん本日の発表というタイミングは、このH-IIAでの打ち上げの発表に合わせたものといえるでしょう。今後、火星探査関連、あるいは月・惑星探査でも協力関係を築いていく可能性もあります。

私は、「希望」(hope)という名前を聞くと、かつて日本で構想されていた宇宙往還機HOPEを思い起こします。これもH-IIAの前身であるH-IIで打ち上げる計画でした。さらに、日本が打ち上げた火星探査機は、同じ名前の「のぞみ」でした。
何かの運命の糸がつながっているような気がするのは私だけでしょうか。「のぞみ」は火星に到達できませんでしたが、「アル・アマル」はその志を継いで、ぜひ日本のロケットの力で火星へと向かって欲しいと思います。