今年(2017年)末までに月面にローバーを着陸させ、一定距離を走行させたうえで映像・画像を送信した最初のチームに賞金を授与するという技術レース「グーグル・ルナーXプライズ」(GLXP)について、実行チームは24日、最終的に候補となる5つのチームを発表しました。
そしてその中には、日本のチーム「ハクト」も含まれています。

月面ローバー「ハクト」の最終デザイン

2017年打ち上げ予定の月面ローバー「ハクト」の最終デザイン (© HAKUTO/KDDI)

GLXPにはこれまでに16のチームが参戦し、技術を競い合ってきました。しかし、GLXP実行チームは、「2016年末までに、打ち上げロケットを確保できないチームには、その後の参戦を認めない」という極めて厳しい条件を突き付けていました。
これを受けて、ハクトはインドの「チーム・インダス」と組んで、インドのロケット(PSLV)での打ち上げに相乗りすることになりました。
実行チームはこれらの打ち上げ契約などを確認したうえ、今回5つのチームを最終候補として決めたのです。すなわち、優勝賞金2000万ドル(日本円で約22億円)もがかかった壮大なレースの優勝者は、この5つのチームのうちのどれか、ということになります。

  • スペースIL (SpaceIL)…イスラエルのチーム。非営利団体としてチームを運営。スペースX社のファルコン9ロケットを打ち上げ機として確保。チームの目的は教育に「アポロ効果」をもたらし、次世代のイスラエル国民(若者)を鼓舞することだそうです。
  • ムーン・エクスプレス (Moon Express)…アメリカの企業。名前もストレートで、すでに月への物資輸送などについての研究開発を重ねている実績のある会社です。2020年までに月への輸送を3回にわたって行う契約をアメリカの打ち上げ会社と結んでいます。ムーン・エクスプレスは、月資源開発を企業のメインとしており、地球軌道を超えた領域における商業宇宙活動の発展を目指すことを社是としています。
  • シナジー・ムーン (Synergy Moon)…国際協力チーム。インターオービタル社のネプチューン8ロケットを打ち上げに使用します。シナジー・ムーンは15カ国から参加者を集めているチームで、最終的には有人飛行の実施、個人レベルでの衛星打ち上げや低価格での太陽系探査など、野心的な目標を掲げています。
  • チーム・インダス (TeamIndus)…インドのチーム。すでにお伝えしている通り、インド宇宙機関(ISRO)のロケットPSLVを打ち上げに使用します。
  • ハクト (HAKUTO)…日本のチーム。チーム・インダスとの相乗り契約を締結し、PSLVロケットによって打ち上げます。

なお、GLXP発表の文書では、ガイドラインが改定され、これまで2017年末(12月31日)までに打ち上げが完了していなければならない(原文では「completed」)となっていた部分が、打ち上げ準備開始(原文では「initiated」)となったと述べています。
ですので、ハクト及びチーム・インダスの打ち上げが12月28日であっても、条文上は打ち上げ準備をスタートしていれば(その過程で延期になったとしても)GLXPの優勝及び賞金獲得資格を持つことになります。もちろん、他のチームが先に打ち上げていなければ、の話ですが。

またGLXP主催者は、ここまで残ってきた16チームに対し、100万ドル(日本円で約1億1000万円)の「ダイバーシティ賞」を分配すると発表しています(単純計算であれば1チームあたり6万2500万ドル…日本円で約718万円となります)。

この発表を受けて、「ハクト」、及びそれを運営する株式会社ispaceの袴田武史代表はコメントを発表し、草の根の活動から7年経過してようやく最終段階を迎えつつあると心情を発表しました。一方で相乗り先がチーム・インダスに変更されたことで各種設計の変更などがあり、それに追われているという状況も公表し、追加の打ち上げ資金が必要になるとも述べています。これについては「近くクラウドファンディングなどを行うことも計画しています。」と述べており、近日中に何らかの発表があるかも知れません。

レース自体は今年末に向けて一気に盛り上がってくると思いますが、舞台は整いました。各チームの活躍を期待すると共に、その先への展望についても見守っていきましょう。

【1月27日午前11時 記事修正】ダイバーシティ賞の記述について、16チームそれぞれに100万ドルを分配すると書いておりましたが、正確には、16チームに対し100万ドルを分配する形でした。それに合わせ、該当部分を修正しています。失礼いたしました。