月のウサギ模様を示す暗い領域を海と呼びますが、この地域すべてが玄武岩という黒い溶岩の平原で、そこに溶岩洞窟は無数に存在すると考えられています。溶岩洞窟が崩壊すると曲がりくねった溝として写真上に現れますが、その地形は実にありふれたものです。
かつては、月の流水地形(Moon River…そんな映画もありました)として議論されたこともありました。
地球の溶岩洞窟は、例えば富士山麓の氷穴・風穴が有名ですが、それら溶岩洞窟の成因は月も地球も同じです。粘性が小さく、さらさらした溶岩の固まっていない部分が外殻を残して流れ去り、その流路が溶岩洞窟として発見されます。
唯一異なるとすれば、月の溶岩洞窟は天井が崩れないと写真上で見つからないので、新鮮なものが見あたらない、ということでしょう。
2008年、日本の月探査衛星「かぐや」が、月面のマリウス丘という場所で縦穴を発見しました。ここはこのような洞窟の一部が崩れ落ちて穴が開いた場所と考えられており、将来月面に居住する際に有利に使えるのではないかと思われています。