歩いても月がついてくるように感じる。昔からよく言われていることですね。これは本当に月がついてくるのではなく、実は錯覚の一種なのです。
歩いたり、乗り物に乗ったりして移動すると、回りの景色はだんだん変わっていきます。前の方、遠くにあったものは次第に近づき、通り過ぎてまた後ろの方に遠ざかってゆきます。このときに注意してみてみると、近くにあるものに比べて、遠くにある山などは少しずつしか動いていないように見えませんか?
このように、遠くにあるものは自分が動いてもあまり距離や見える方向が変わらないのです。
月は地球からおよそ38万キロメートル離れています。これはわたしたちが歩いたり、乗り物に乗って移動する距離に対してものすごく大きな距離です。
このため、どんなに動いても月との距離も、見える向きもほとんど変わりません。回りの近くの景色が動いて見えるのに、月が同じ場所に見える。このことが月がついてくるように感じられるのです。
特に、月は夜空の中で大きく、また明るい非常に目立つ存在ですから、余計にずっと同じ場所に見えるのが気になるのではないでしょうか。